【写真】堺雅人、阿部寛、二階堂ふみ、松坂桃李、役所広司ら『VIVANT』豪華キャスト陣
監視カメラの映像から、財務部の太田(飯沼愛)が送金データを改ざんした真犯人だったことを特定。しかも彼女は、押収されたCD(なんで古今亭志ん生の落語だったんだ?)にハッキング記録が残されていたことから、超凄腕ハッカーのブルーウォーカーだったことも判明する。これまでほとんど出番がなかったこともあって、完全にモブキャラだと思っていたが、見事に騙された。常に視聴者の予想の斜め上をいくのが、福澤克雄流の演出なり。
そして彼女を裏で操っていたのは、乃木(堺雅人)の仲間だと思われていた山本(迫田孝也)。公安の野崎(阿部寛)は山本を密かに尾行して、太田の居所を突き止めようとするが、謎の工作員・黒須(松坂桃李)の手引きによって、彼は姿をくらましてしまう。松坂桃李、遂にキター!出演することは前々からアナウンスされていたものの、いつ、どんな役柄で登場するかは全く知らされていなかったため、これは不意打ちだった。
そして、第1話から別人格の「F」がたびたび登場していたことから、最初からだーいぶ怪しさ満点だった乃木が、影の諜報組織・別班のメンバーであることも判明。出世レースから取り残された“うだつの上がらない中年社員”は、仮の姿だったのだ。完全に「F」によって乗り移られた乃木は、半沢直樹ばりの恫喝力で山本を尋問する。
第1話で、乃木はサムというCIA局員から「学生時代の友達」という理由だけで情報を仕入れていて、さすがにそれは行動原理としておかしすぎると思っていたのだが、乃木が別班の工作員だったのならば説明がつく。日本政府の影として暗躍するこの組織は、CIAと繋がっていたのだろう。
テロ組織テントと通じ、日本を危機に陥れた山本を、乃木・黒須は首吊り自殺に偽装して殺害。っていうか、いきなりのダークヒーロー路線。この瞬間、このドラマは完全に別のスイッチが入った。
果たしてこのドラマは、この後どのような展開を見せるのか。薫(二階堂ふみ)との淡い恋模様も気になるし、野崎との友情がどのように変化するのかも気になる。その相棒・ドラムもバルカ共和国から来日を果たして、謎の翻訳アプリを片手に活躍をみせてくれることだろう。
バルカといえば、第5話の次回予告では、乃木を執拗に追い回していたバルカ警察のチンギスも来日するようだ。あの『蒼天航路』に出てきそうな強面がまた見れるのは、嬉しい限り。おそらく今後は、別班、公安、テント、バルカ警察の4すくみで、物語が展開していくのだろう。そこに、役所広司と二宮和也の“謎親子”がどのように絡んでいくのかも、気になるところ。
これは完全に筆者の妄想だが、「VIVANT」はクリストファ・ノーラン監督の「ダークナイト」シリーズのような様相を呈していくのではないか。闇の守護者バットマンが、警察と手を組んでゴッサム・シティの平和を守ったように、別班が公安と協力関係を結んで、テントと全面対決していく…みたいな。
主人公・乃木が殺人も厭わないダークヒーローであったことから、「VIVANT」は次回以降、これまでとは異なるトーンをまとっていくはずだ。新しいフェーズに突入した第5話を楽しみに待とう。
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