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「Chilli Beans.」は、「音楽塾ヴォイス」に通っていたMoto、Maika、Lilyの3人からなる2019年に結成されたバンド。当時は3人ともソロで活動するシンガーソングライターを目指していたのだが、最終的にLilyがギター、Maikaはベース、Motoがボーカルという形に落ち着き、曲によってはLilyやMaikaが歌うこともある。
ちなみにドラムはいないため、DTMを一から学び、打ち込みで作っているのだそう。2021年のライブでは初めてサポートドラマーを加える形で演奏していた。
彼女たちのライブで一番印象的なのは、ボーカルのパフォーマンスを楽器隊が支えるというステレオタイプとは違い、3人が3人ともフロントマンということだ。元々それぞれがソロ活動を目指していたこともあり、独立した個性が不思議なバランスで噛み合っている。
なぜそのような“全員が主人公”と言えるようなコンセプトのバンドになったのか。理由として、アメリカの4人組ロックバンド「Red Hot Chili Peppers(レッド ホット チリ ペッパーズ)」の影響が大きいのだろう。
実は彼女たちは様々なところで「Red Hot Chili Peppers」からの影響を公言しており、バンド名の「Chilli」の部分もレッチリから来ているのだという。確かにボーカルのアンソニーだけでなく、フリーもジョンもチャドもそれぞれが個性を炸裂させているあの感じは、「Chilli Beans.」に受け継がれているように思える。
他にも「Chilli Beans.」の3人に共通して、古き良きポップスから多くの影響を受けているという。実際に彼女たちの曲がどこかノスタルジックな響きを秘めているのは、そのためなのだろう。
音楽だけでなく、VIDEOTAPEMUSICがディレクションした『lemonade』や『アンドロン』などのMVも、どことなく90年代を思わせる雰囲気。また『マイボーイ』のMVは“好きな子がいるパーティーに行くまでの準備”がコンセプトになっており、2000年代の流行を再現した、いわゆる“Y2Kファッション”を取り入れていた。
そんな「Chilli Beans.」が醸し出すレトロ感が、Z世代の若者たちに刺さっているのかもしれない。彼女たちが「音楽塾ヴォイス」で同期のシンガーソングライター・Vaundyと共同で作曲し、話題を呼ぶきっかけとなった『lemonade』もそうだが、ギターのカッティングのフレーズなどがガールズバンドの曲としては良い意味で渋い。
そして懐かしさすら感じさせる演奏と、Motoの透明感のある歌声が合わさり、今の若者たちが大好きなレトロかわいい世界観を作り出しているのだろう。
こうして今やすっかり人気バンドになった「Chilli Beans.」は、4th EPの収録曲『Raise』がTVアニメ『ONE PIECE』(フジテレビ系)の新ED曲に採用された。ちなみに同作のEDテーマ復活は、2006年9月放送の第279話以来、実に17年ぶりのことである。
とはいえ今は大阪を拠点に活躍する4ピースバンド「ハク。」や、同じく関西の実力派3ピース「TETORA」なども頭角を現しており、ちょっとしたガールズバンド戦国時代の様相を呈している。
そのなかで「Chilli Beans.」はどこまで突き進んでいけるのか、そして正式なドラマーが入る予定はあるのか。今後の活躍と“Beans”たちの成長に期待したい。
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