2020年に「Nizi Project」に出演し、日本中の注目を集めたYUNA。番組終了後マルチタレントとして日本での活動をスタートし、恋愛リアリティ番組『彼とオオカミちゃんには騙されない』(ABEMA)への出演も話題に。
昨年10月にはソロアーティストとしてデビューし、これまで3曲の楽曲をリリースしている。今回は日本で活動することとなった経緯や楽曲の作詞作曲に携わったことについて聞いた。

【写真】マルチタレントとして活躍中、YUNA撮りおろしカット【6点】

──あらためて日本で活動することを決めた経緯を教えてください。

YUNA 「虹プロ(Nizi Project)」という番組からファンの方ができたり、日本で注目されたことがひとつの理由ではあるんですけど、私は日韓ハーフとして日本と韓国を行ったり来たりしていて、日本でも活動したいという希望をずっと持っていたこともきっかけになりました。

──今回の撮影中も通りがかった方から声をかけられたり、放送から時間が経っても「虹プロ」の影響力を感じるのですが、そういった反響というのはオーディションが終わってから知ったのでしょうか?

YUNA そうですね。インスタを開設したときにフォロワーが何十万人と増えていったんですけど、SNS自体が初めてだったので、フォローとフォロワーがなんなのか、DMをどこから開くのかもわからなかったんですよ。だからすぐ実感が湧いたわけではなかったんですけど、時間が少し経って日本に来たときに、今日みたいに声かけてくださる方がいるといろんな方に見られていたんだなと思いますね。

──YUNAさんは約1年前にソロデビューをされましたが、歌やダンスでの活動をスタートするまでにはどういった経緯があったのでしょうか?

YUNA 自分が今までずっと続けてきたものとして欠かせないのがダンスや歌だし、やっぱりファンの方が期待しているというか、見たい姿はこっちじゃないかなと考えたときに「今後活動のメインはアーティストにして、そこから他のいろんな活動をするのがいいんじゃない?」とアドバイスをいただき、アーティストを軸にしたマルチタレントとしてスタートすることになりました。

──グループを作るというのも可能性としてあったかと思うのですが、ソロでやることは最初から決めていたのですか?

YUNA そこは会社の方ともずっと相談していた部分でもあったんですけど、もうグループはいいかなという気持ちもあって。ソロでやることに自信があるわけでは全然ないんです。でも結局のところ、いろんな活動をしながらアーティストとしても活動するならソロがいいんじゃないかという結果になりました。

──これまで3曲リリースされていますが、「こんな姿を見せたい」「こういう曲にしたい」という意見もYUNAさんから出されているのでしょうか?

YUNA 今までは自分の意見を出すという考えがそもそもなかったんです。
ある程度プロデュースされる部分が多かったですし、グループだとコンセプトやメンバー全体で色合わせをする部分が強いから。なので、最初は言われたことを受け止めていたんですけど、ソロでやっていく以上はきちんと言わなきゃいけないなと、自分の意見を出すようになりましたね。

──例えばどういう意見ですか?

YUNA 自分の能力の限界値は自分が一番知っているし、見せ方も自分が一番分かっているから、あまりにもキュートすぎたり、ラブリーなものは私には合わないと思っていて。そういうことを伝えて曲を作ったりするので、雰囲気的にも明るくてポップな感じではなくて、落ち着いた感じやちょっとおしゃれな曲にシフトしています。

──楽曲の作詞作曲にも関わっていらっしゃいますが、これまでに経験はあったのでしょうか?

YUNA 作詞はがっつりと作ったことはなかったんですけど、韓国でトレーニングを受けているときにラップの授業とかで作詞をするので、そこでの経験はあります。逆に作曲は一回も経験がなかったので大変でした。すごく短いサビのフレーズを単純にキーボードを打つだけでも3、4時間かかりました。1個ずつ音を探して「あ、この音だな」みたいな。今後もいいメロディーが思いついたら、もしかしたらまた作曲することがあるかもしれません(笑)。

──作詞で印象的なことはありますか?

YUNA 私は日本語が母国語ではないのでそこの難しさもありますし、限られたフレーズの中で意味を伝えることや、全体の流れや言葉があんまり被らないようにとか、作詞は条件がすごく多いんですよ。それに完璧さの基準値が自分の中にあって、それが満たされないと「やっぱり違うな」「これはちょっとイヤです」と思ってしまうので、何回も修正をしていきました。

──もともと母国語ではない言葉で書くのはとても難しそうです。


YUNA そうですね、だからGoogleに頼るしかなくて(笑)。韓国に住みながら日本語を勉強してはいたんですけど、今思うとすごく片言で、幼稚な言葉でしか話せなかったんです。当時はそれでも自分なりに「完璧な日本語だ」と思っていたんですけど、今見ると完成度が低くて。それに日本の方々が見たときに「幼稚な歌詞だな」「かわいいな」と思われるのがすごくイヤで。

でも日本で暮らし始めて、作詞やインタビューなどいろいろな活動を重ねていくうちに、日本語の実力が伸びていって、使える文法や単語も大人っぽくなって、今は自分が表現したいことがパッと思い浮かんだりするようになりました。

もちろん、それでも日本人もあまり使わない、歌詞だけで使われるような日本語というものがあるじゃないですか。そういうものを覚えていきながら言葉を探すので、すごく時間はかかりますね。

──詞を書くときは、韓国語と日本語で違いがあったりするのでしょうか。

YUNA 日本語では意味が通じるけど韓国語では直訳できない部分があったりしますね。例えば韓国でカッコいい人やかわいい人がいると「君の顔はすごく面白い」と言うんです。それは「見ているだけで笑顔になるくらいカッコいい=面白い」という意味なんですけど、日本で言ったらめっちゃ失礼じゃないですか。こういう例がすごく多くて、歌詞でも「韓国語ではこれでいいけど、直訳すると長すぎてダメだな、全然違う言葉を使わなきゃ」みたいなことがあります。


(取材・文/東海林その子)
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