【写真】映画『恋は光』で初共演した神尾楓珠×西野七瀬の撮り下ろしカット【21点】
昨年、社会現象を巻き起こした『silent』の村瀬健プロデューサー、脚本・生方美久らスタッフが再集結し、さらには、多部未華子、松下洸平、今田美桜、神尾楓珠といった人気俳優が“クアトロ主演”を演じているドラマ『いちばんすきな花』。
話題性は十分だった中、テーマとして設定されたのは「男女の友情」。公式サイトやCMでも“男女の間に、友情は成立しますか?”と問いかけ、強くテーマを打ち出した。だが、実際のところはもっと世の中全体の小さな違和感がテーマとなっているように感じる。
本作では、4人それぞれが「二人組」という単位を苦手とし、残酷な記憶も持っている。多部未華子演じる潮ゆくえは結婚によって大事な男友達を失い、春木椿(松下洸平)は結婚が直前で破談となった。深雪夜々(今田美桜)や佐藤紅葉(神尾楓珠)にしても世の中に生きづらさを感じ、4人全員が違和感も持っている。
放送終了後にSNSを見ると、「4人全員に共感した」という声もあれば、「〇〇の気持ちはわかるけど、■■は全く理解できない」といった意見が見られた。ただ、共通して言えることは世の中の人の多くが持っている“小さな違和感”を4人がそれぞれ示してくれているということだ。
「友人関係であるのに、男女というだけでなぜ密室に二人で遊んではいけないのか?」、「友達として仲良くなりたいだけなのに、なぜ二人というだけで恋愛と捉えられてしまうのか?」など、二人という単位をテーマに一度は考えたことのある違和感をこちらへと突きつけてくる。
こうしてテーマをつらつらと書き連ねると理屈っぽいドラマのように感じるが、実際はそんなことはない。それは『silent』では見られなかったようなコメディ要素も見られるからだ。
ゆくえと親友である赤田鼓太郎(仲野太賀)がカラオケでふざけ合うシーンはある種1話のハイライトのようであったし、4人が初めて揃い、椿が「オクサマ」と書かれたアイスの棒を庭先に立てるシーンではすれ違いコント(実際は妻を寝取られた状況だが、他の3人は亡くなったと思っている?)のような状況が生まれていた。
もちろん、『silent』同様、ひとつひとつのセリフ選びや音楽の使い方まで細部にまで工夫が凝らされている。「みんなのいい人にはなれるのに、誰か1人の一番いい人にはなれなくて」という椿の言葉は誰かの胸には深く突き刺さるだろうし、赤田の「今度生まれ変わったら女の子になるから。そしたらまた友達になろうね」というセリフは、想像すればコメディだが、感動を誘うシーンにもなっていた。
『silent』以上に大きな反響を呼びそうな気配のある『いちばん好きな花』。話題作として今チェックしておかない手はない。
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