10月からスタートした日曜劇場『下剋上球児』(TBS系)の2話が10月22日に放送された。演技と野球の実技テストなど約半年間にも及ぶ過酷なオーディションを突破した役者が選手役を担うため、たどたどしいプレーはほとんど見られず、本気で野球ドラマを制作しようというスタッフ陣の気概を感じる本作。


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2話では、南雲脩司(鈴木亮平)が指導する三重県立越山高校野球部が、脩司のかつての恩師である賀門英助(松平健)が監督を務める強豪校・星葉高校との練習試合が繰り広げられる。その中で人気野球漫画を彷彿とさせるシーンが連続して、ついつい胸が熱くなった。

まず先発したエースの犬塚翔(中沢元紀)は中学時代、賀門からスカウトを受けて星葉高校進学を夢見ていたものの、受験で落ちてしまい仕方なく越山高校に進学した過去を持つ。人一倍闘志を燃やす翔は守りに不安があるため、極力自力でアウトを取ろうと序盤から飛ばす。

無失点ピッチングを続けていたが、味方のエラーに心を乱され、次第に撃ち込まれて5回に一挙5失点を喫す。5回途中で降板してライトにつくが、代わりにマウンドに立った根室知廣(兵頭功海)が後続を抑えて追加点を許さない。

ただ、ベンチに帰って落ち込む翔に対して、脩司から「周りを見ろ、こんなにいるぞ」と声をかけられ、チームメイトからも笑顔を向けられる。翔は先程までは見下していたチームメイトに対して仲間意識が芽生え出す。このシーンでは『MAJOR』(小学館)の“聖秀学院高校編“の海堂高校2軍との練習試合を思い出した。

野球部の無い聖秀学院高校に転校した主人公・茂野吾郎は無理矢理野球部を作るも、部員のほとんどが野球素人。当然、翔同様に吾郎もチームメイトではなく、自分のストレートを信じて相手を抑えようとする。

しかし、チームメイトのありがたさを理解しながら試合が進み、チームとしてのまとまりを見せていく。
やはりワンマンチームからチームワークが生まれていく展開はとても熱く、聖秀学院高校ナインと同じように越山高校ナインを見ていると自然と笑みがこぼれた。

ちなみに、海堂高校2軍との練習試合で相手選手の意図的なラフプレーを受け、吾郎は右足首の靭帯損傷という大怪我を負っている。そのため、「翔にも何かしらの不幸が降りかかるのでは」という心配が頭を過ったが、怪我無く試合が終わって謎の安心感を覚えた。

また、もう1つ熱かったシーンは翔が降板した後の根室のピッチングである。130キロオーバーの球をバンバン投げこむ翔とは違い、根室のストレートにスピードは一切ない。しかし、コントロールが良く、さらにはサイドスローの技巧派投手。その派手さはないものの安定感のある投球で星葉打線を封じる姿は、『ダイヤのA』(講談社)に登場する川上憲史を彷彿とさせた。

川上は降谷暁のようなストレートを投げられるわけではなく、沢村栄純のような捉えにくいボールを投げられるわけではない。それでも、マウンドに上がれば大崩れすることなく要所をしっかり抑える渋い働きを髄所に見せている。地味で、目立たない選手ほど、ついつい目が行ってしまうものではあるが、根室にも川上のように思わず注目してしまう。

根室にくぎ付けになるのは川上と相通ずるものがあるからだけではない。根室は眼鏡をかけている。
眼鏡をかけている変則投手と言えば、日本ハムの鈴木健矢が挙げられるが、やはり東北高校でダルビッシュ有と一緒にチームをけん引した“マカベッシュ”の愛称で親しまれた真壁堅守さんを重ねてしまう。絶対的エースの存在で隠れてしまいがちだが、堅実かつ確実なマカベッシュのようなピッチングを根室にも期待したい。

野球の話ばかりになったが、ラストでは脩司が"無免許教師"だったという衝撃な事実が発覚して、野球のシーンばかりではなくストーリーにもますます目が離せそうにない。無免許教師は『伝説の教師』(日本テレビ系)以来、ドラマでは久しぶりに聞いた言葉であり、またまた勝手に昔を懐かしんでテンションが上がってしまった。3話以降も野球はもちろん、野球以外の部分でも引き込まれていきそうだ。

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