ミュージカル『刀剣乱舞』シリーズなどの2.5次元舞台で注目を集め、‘23年は「仮面ライダーギーツ」の晴家ウィン/パンクジャック役で話題となった俳優・崎山つばさが料理本『つばさ食堂』(東京ニュース通信社)を12月22日に発売する。「料理はリフレッシュ」だという崎山の“お料理男子”な一面や’23年の活動を振り返ってなど話を聞いた。


【写真】レシピ本を発売した崎山つばさの撮り下ろしカット【6点】

本書は、「TV ガイドStage Stars」の料理連載「つばさ食堂」をまとめた料理本。レトルトカレーをプロデュースするなどカレー好きでも知られている崎山とあって、メイン料理のみならずプリンなどのデザートまで、計20品のレシピすべてがカレー味、というこだわりだ。

「料理連載をやるなら、単にレシピを紹介するより、カレー味でいろんな料理を作った方が面白いんじゃないかなって。続けていくなかでカレー粉の万能さにも気づいて、こんなにいろいろ作れるんだという驚きもありました。デザートもカレー味にするのは、最初はどうかな? と思ったんですけど、スパイスが効いてすごくおいしくできたんですよ。カレー粉の可能性は無限です!」

簡単に作れるものも多くあるとあって「献立に迷ったときの参考にしてほしい。この本をきっかけに、皆さんが料理を好きになってくれたらうれしいですね」と笑顔を見せる。

「僕も先日、この料理本のレシピから自宅でポテトパイを作りました。カレー味のポテトサラダを餃子の皮に包んで焼くだけなんですけど、ちょうど餃子の皮とポテトサラダが余っていたので、これは!と思って(笑)。普段、料理をしているときに『カレー粉を入れたらどうなるかな』と考えることも多いんですよ。『これ、次の連載でやってみよう』と思ったりして、連載が実験になっていることもありましたね」

クリスマスのおもてなしとして作るなら?

「タンドリーチキンかなぁ。その場で混ぜて浸して、という作り方もありますけど、僕はわりとじっくりと味を染み込ませたいタイプ。
前日から準備して振る舞いたいですね。と言っても、僕は人を家に入れないので(笑)。料理好きですけど、友人にふるまうとか一切したことないんです。この本で作ったものも、全部ひとりで楽しんでいます。俳優仲間に『食べたい』と言われても、うまくかわしますね(笑)。健康に仕事をするため、完全に自分のための料理です」

‘18年から、約5年半の連載を1冊に。レシピのみならず、料理をしている様子や当時のポートレート、インタビューなども再録されている。

「今見ると若いですよね(笑)。当時やっていた役とか環境で体つきも全然違いますし。自分でも懐かしい感じがします。この料理連載を通して、食に関してはかなり意識が変わったように思います。食材にもこだわるようになりましたし、低カロリー高たんぱくなものを作るようになりましたね。
最近は、発酵食品に興味があるんですよ。納豆を自作できると聞いたので、近々挑戦してみようかなと。納豆もカレーでアレンジできたら面白いですよね!」

連載当時は、2.5次元舞台での活躍で注目を集めていた崎山。近年はその枠を超えドラマや映画など、役者として活動の幅を広げている。

「2.5次元舞台がなかったら今の自分はないし、自分を作ってくれた世界でもあるので、すごく感謝しています。今、いろいろな役をやらせていただいていますけど、演じることに関してはすべて一緒。どんなジャンルの作品に対しても柔軟に対応していける人間になっていきたいですね」

さまざまな役を演じるようになったからこそ、「自分ってどんな人間なんだろう」と分からなくなる瞬間もあると明かす。

「そういうときは、一度立ち止まって自分としっかり向き合うように意識しています。自分を大切にしたいというか、その作業をすると迷わずに済むんですよね。最近は自分とかけ離れた役が多いので、そういうマイペースさを大事にしたいとより強く思うようになりました。自分は感情の起伏があまりないというか、怒るなんてエネルギーが無駄だなと思ってしまうタイプ。だからこそ、真逆の発散系の役には没頭できるんですけど、自分のなかに近しい要素がないので、糸口を探すために映画や舞台を観たり、街中の人を観察してみたり。
日常から取り入れたことを自分に落とし込んでアウトプットしています」

スピンオフが製作されるなど話題となった「仮面ライダーギーツ」のパンクジャック役も、自分とは真逆のキャラクターだったそう。

「自分が仮面ライダーになって『変身!』という日がくるなんて思わなかったですよね。しかも、パンクジャックは自分と似た要素がほとんどないトリッキーなライダー。一度舞台でご一緒したことのある高橋悠也さんが脚本を手がけていたので、『僕のどこにパンクジャックっぽい要素があったんですか?』と聞いたら、『つばさならできると思って』と言ってくださって。僕のことをよく知っているからこそ、演じられると思ってくれたのかなと。それはうれしかったです」

‘23年は「出会いを大切に感じた1年だった」という崎山。「新しい自分とも出会えた年でした」と振り返る。

「『仮面ライダー』もそうですけど、自分が過去に出会ってきた人たちとのつながりで実現したものも多くて。無我夢中で向き合って続けてきたことが実を結んだのかなと。これまで自分の強みって、どこなんだろうとずっと探し続けてきたけど、継続する力も武器になっているのかなとも思いました。もちろん、続けさせてくれた周りのスタッフさんや家族、ファンの方の力もありますけど。今回の料理本もそうですよね。


料理本を出すということは、自分の料理好きという部分に説得力が増すこと。でも、それは5年半続けてこられたからこそ、なので。‘23年は出会いと縁がつながって、実った1年だったので、‘24年はそれをもっと咲かせたいなと。実ったものをより広く知ってもらえる1年にしたいです」

‘24年2月には、白井晃演出の舞台『エウリディケ』への出演も控えている。今後、挑戦したい役どころは?

「なんでもやってみたいけど、最近は自分に近しい役をあまりやっていないので少し穏やかな歴史上の人物とかも演じてみたいですね。そういえば、この間イベントでファンの方と、穏やかな歴史上人物と言えば誰だろうと話していたんですけど、千利休じゃない?となったんですよ。

完全にお茶のイメージですけど(笑)。でも、いろんな逸話がある人物なので面白そうではありますよね。2.5次元の舞台も面白いコンテンツが多くなってきて、可能性がすごく広がっていますし、今後もジャンルや枠にとらわれず、自分に足りないものを見出してくれるような役に出会いたいなと思っています。料理好きなところが活かせる役もいいですね!」

取材・文/吉田光枝

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