まずは20周年を経て、夏にROCK IN JAPAN FESTIVALでのアツすぎるパフォーマンスで改めて注目を集めたモーニング娘。’19の「青春Night」。今年はベストアルバムとシングル1枚とリリースは少なかったが、しっかり爪痕を残した彼女たち。この曲は1度聴いただけですぐに歌えてしまうくらい耳に残る、まさに“赤羽橋ファンク”。
MVでは14期・森戸知沙希がフィーチャーされ、彼女がVRゴーグルをつけてコミカルに踊る姿はクールなダンスショットとのギャップが楽しめ、話題になった。曲中にはラップパートがあり、モーニング娘。では石田亜佑美が担当することが多い中で、今回メインとなったのは譜久村聖。色気がありつつも力強い彼女のラップは新鮮で、グループの表現の幅を広げたように思う。
初期メンバーの卒業が続き、大きな変化の年となったアンジュルムからはリーダー和田彩花卒業シングルの「恋はアッチャアッチャ」。2018年リリースの「46億年LOVE」もそうだが、底抜けに明るい曲を歌わせたら間違いないのが彼女たち。
7期の太田遥香、伊勢鈴蘭にとっては初参加楽曲で、各サビ前の「踊りたいの」とソロで歌い上げるフレーズでは、同じパートを担当した笠原桃奈とともに強いインパクトを残した。また、この曲を広めるためハロプロ選抜メンバーを中心に結成された「公式 アッチャアッチャ隊」による動画も、とにかくクセになるのであわせてチェックしてほしい。
強力な新メンバーを迎え、さらにパフォーマンス力がパワーアップしたJuice=Juiceといえば、今年の1曲はもう『「ひとりで生きられそう」って それってねえ、褒めているの?』一択。弱さを隠し、不器用に生きる女性の心情を彼女たちが高い歌唱力で表現し、これまで届いていなかった層にも支持されるように。
特にNHKの「うたコン」でのパフォーマンスは注目を集め、発売後に加入した新メンバーも歌う「New Vocal Ver.」が配信されて、短期間でJuice=Juiceの代表曲といえる1曲へと育った。披露するごとに表現力も歌声もブラッシュアップされていくが、特に今年ソロライブツアーを行った宮本佳林と、広島カープ対阪神タイガース戦の始球式で国歌斉唱した段原瑠々の歌声は、聞くたびに鳥肌が立つほど、どんどん研ぎ澄まされていくように感じる。
2019年のハロプロで大きなトピックのひとつとしてあげられるのは、カントリー・ガールズの現体制終了だろう。3月に梁川奈々美が卒業し、山木梨沙、小関舞、森戸知沙希、船木結の4人体制で活動してきたが、先日12月26日にラストライブを行った。
そんな彼女たちが今年の夏にリリースしたのが「One Summer Night~真夏の決心~」。恋した彼にも伝えられなかった決心を親友に告げ、前に進む姿が描かれた1曲だ。彼女たちの決心を見届けた今聴くと、これまでお互いに切磋琢磨し、支え合ってきた4人の姿と重なり、胸に込み上げるものがある。
プレイングマネージャーの嗣永桃子をはじめとしたメンバーの卒業・加入、さらには他グループの兼任と、紆余曲折も多かったカントリー・ガールズ。きっとファンには見えないところでの葛藤もあっただろう。それでも“ももちイズム”にのっとり、最後までアイドルとしての姿を見せてくれた彼女たちの行く先を、これからも応援したい。
そして今年ハロプロだけでなく、アイドル界を騒がせたのが8月にメジャーデビューした新ユニット・BEYOOOOONDS。デビューシングルに収録された「眼鏡の男の子」は、初披露からハロプロファンをザワつかせた1曲。
ひとりひとりに役があり、冒頭の寸劇を経て、歌い踊りながらどんどんストーリーが展開していく。その斬新さと彼女たちの濃すぎるキャラクター、MVやCMジャケットのビジュアル作りもあいまって、ハロプロファンはより深く、そして新たな層も引き込む強いグループに。
この曲は11月に発売した1stアルバム『BEYOOOOOND1St』にも収録されているのだが、気になった人にはぜひ8曲目「小夜曲“眼鏡の男の子”」から12曲目「元年バンジージャンプ」までを通して聴いてほしい。アルバムを経ての初単独ライブもこれまでにないカオスっぷりで、今後彼女たちがどのように進化していくのかとにかく楽しみだ。
今回挙げた5曲以外にも、今年わたしたちの心を奪った曲はまだまだたくさんある。また5曲の中では挙げられなかったが、つばきファクトリーの「三回目のデート神話」は耳から離れないフレーズでライブで盛り上がる1曲に成長し、こぶしファクトリーのアルバム『辛夷第二幕』はアカペラに各メンバーのメイン曲など、彼女たちの多様な魅力が堪能できる名盤だ。
1月にリリースされるモーニング娘。