【前編はこちら】映像業界の実話が映画化・主人公をどん底に落とすヒロイン役の小西桜子「人格を否定せずに演じた」
【写真】『ありきたりな言葉じゃなくて』ヒロイン役の小西桜子
──映画『ありきたりな言葉じゃなくて』で主人公の拓哉はあらぬ噂話に翻弄されることになりますが、SNSの台頭によって同じような苦しみを味わうケースは増えていると思います。小西さん自身のネットとの付き合い方は?
小西 私も生活するうえでインターネットに載っていることを参考にすることはいっぱいありますけど、ネットに答えがすべてあるとは決して思えないんです。そこは普段から意識していることかもしれません。たとえば私自身のWikipediaを見ても「そこはちょっと違うんじゃないの?」みたいなところがありますし(笑)。
──Wikipediaは結構、事実とは異なることも書かれていますからね。
小西 それにネット上には昔の発言とか情報がずっと残るのも怖いですね。社会の常識とか人の考え方ってどんどんアップデートされていくものなのですが。それなのに何年か前の発言を切り取られて、「この人はこういう考え方をする」とか決めつけられるのは疑問に思いますし。いずれにせよ、インターネットを全部鵜呑みにしてはいけないというのは肝に銘じています。
──この作品を観る人に、どんなことを感じてほしいですか?
小西 物事って冷静に突き詰めていくと「原因があって、結果がある」ということになるはずなんです。だけど同時に、一面から見ただけでは理解できない部分もあると思うんですよね。だからこそ、多面的な見方をすることが大事じゃないかなって。
──なるほど。非常に現代的なテーマかもしれません。
小西 たとえば自分から見たら、この人は悪い人だ。だけど、本人の中ではきちんと正義を貫いているのかもしれない。そういうのって結局は想像力の問題も絡んでくると思うんですね。この作品を観ることで、なるべく寛容で多様な価値観を持つきっかけになればいいなと思っています。
──小西さん個人の2024年を振り返ってみると、9月には芸能事務所トライストーン・エンタテイメントの所属となりました。
小西 本当に所属させていただけることになり、ありがたい限りです。未来に向かって少しでも可能性を感じていただけたということだと思うので、自分もそれに応えられるよう、これからは一つひとつの仕事でいい結果を残していきたいと考えています。
──実際、仕事や心境の面で変化したこともありましたか?
小西 それまでは完全にフリーランスでやっていましたから、先輩とか同期みたいな存在がいなかったんですよ。今は周りに年齢が近い人たちもいるので、いろんな影響を与えてもらっています。一緒に切磋琢磨していくような感覚もありますし、すごく恵まれた環境だと感じますね。日々、「私も頑張らないとな」という気持ちにさせていただいております。
──これまでのキャリアを振り返って、ターニングポイントになったのは?
小西 『猫』(テレビ東京系)というドラマです。今でも「あの作品はよかった」って言われることが多いんですよ。私自身も大好きで思い入れがある作品ですし、今思うと『猫』で主演を務めさせていただいたのは大きな出来事だった気がします。
──最後に最近ハマっていることを教えてください。
小西 キックボクシングを習い始めたんですよ。それがすごく楽しくて!
──試合は出ないんですか?
小西 いやいやいや……試合はさすがに(笑)。キックの試合で闘うって神聖なものですからね。そんなおいそれと出るわけにはいかないです。
▽こにし・さくらこ
1998年3月29日生まれ、埼玉県出身。20年には応募総数約3000人の中から映画『初恋』のヒロインに抜擢される。そのほか、『ファンシー』『猿楽町で会いましょう』『映像研には手を出すな!』『佐々木、イン、マイマイン』や、連続ドラマ「猫」「レンアイ漫画家」「スイートモラトリアム」など映画やドラマで幅広く活躍している。今後も12月20日公開の映画「ありきたりな言葉じゃなくて」、来年1月11日スタートのドラマ「風のふく島」(テレビ東京系)、1月14日スタートのドラマ「まどか26歳、研修医やってます!」に出演する。