韓国の5人組ガールズグループNewJeans。高い音楽性とキャッチーなビジュアルイメージによって多くの人々を魅了しており、2023年にリリースした2nd EP『Get Up』はアメリカのビルボードアルバムチャート“Billboard 200”で1位に輝くなど、豊富な実績を持つ人気アイドルである。
そんなNewJeansのプロデューサーのミン・ヒジンは、影響を受けた音楽を日々自身のInstagramストーリーでシェアしている。中でも高頻度でシェアしているのは、TOWA TEIだ。

TOWA TEI(テイ・トウワ)は、日本を拠点に活動する音楽プロデューサー/DJ。ボサノヴァ、ドラムンベース、ヒップホップなどを軸に、洗練されたサウンドを生み出している。1990年にダンスミュージックグループ・Deee-Liteのメンバーとしてアメリカでデビュー。全米シングルチャート4位の大ヒットを記録し、各国でゴールド・ディスクを獲得した。1994年にアルバム『Future Listening!』でソロデビュー以後、日本で活動開始。これまでミン・ヒジンをはじめ、多くの人々に影響を与えてきた。

TOWA TEIの一番の魅力は、知性を感じる類まれなセンスだ。知的な音選びのバックグラウンドには、膨大な音楽知識があると考えられる。コマーシャリズムに毒された音楽を聴いていたら、決して生み出すことのできないサウンドをTOWA TEIは作る。

代表曲「TECHNOVA」は、ブレイクビーツのフォーマットにボサノヴァを落とし込んだ1曲。
ブラジルの音楽家・Antonio Carlos Jobimの楽曲「Lamento」をサンプリングしてチョップしており、キーボードには坂本龍一とSatoshi Tomiieが参加している。ボサノヴァというスタイリッシュな大人の音楽にグルーヴィーなブレイクビーツを組み合わせるというのは、当時革新的だったのではないだろうか。

TOWA TEIの音楽はハイセンスな芸術を好む知識層だけでなく、流行の中心にいる若者たちにも好まれるだろう。NewJeansの台頭、そしてm-flo再評価の流れが来ている現在、TOWA TEIが改めて脚光を浴びる可能性は高いと筆者は考える。TikTokやInstagramのBGMとして使用され、バイラルヒットを起こすことも想像できてしまう。レジェンドミュージシャンであるTOWA TEIの動向に今後も注目していきたい。

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