女優の小芝風花の演技力が絶賛されている。6日に放送されたNHK大河ドラマ『べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~』で圧巻の「別れの演技」を披露し、多くの視聴者の心を震わせたのだ。
キュートなルックスでアイドル女優的に見られることもあった小芝だが、老若男女の幅広い視聴者に「実力派女優」であることを強烈に見せつけた格好だ。

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6日に放送された同ドラマの第14回「蔦重瀬川夫婦道中」では、主人公の「蔦重」こと蔦屋重三郎(横浜流星)の幼なじみで花魁の「瀬川」こと瀬以(小芝)が、不当な高利貸しをとがめられて捕縛された富豪の夫・鳥山検校(市原隼人)と離縁。自由の身となった瀬以は、長く共に思い合っていた蔦重から求婚され、一時は結ばれたものの、ある夜に唐突に姿を消してしまう。

残された手紙には、蔦重の「吉原を人々があこがれる場にする」という夢を実現するためには、逮捕者の元妻という「いわくつき」の自分の存在が足かせになるのではないかとの旨が記されていた。蔦重と所帯を持って店を営むという望みが叶う寸前に、彼のためを思って吉原を去ったのである。

瀬以が除夜の鐘を耳にしながら涙ながらに別れの手紙をしたためるシーンは切なく、多くの視聴者の感動を誘い、放送後に印象的なフレーズ「おさらばえ」がSNSでトレンド入りする大反響となった。手紙を読み上げる小芝のひと言、ひと言が真に迫っており、観る者の心を打つ名演技だった。20代でこれほどの演技ができる女優がはたしてどれほどいるだろうか、と思えるくらいだ。

SNS上でも「小芝風花さんがこんなに演技が上手く、色気のある女優だったとは…!」「小芝風花ちゃんの演技が初回から退場まで素晴らしかったなぁ」「小芝風花、もともと可愛くて好きだったけど、べらぼうでの演技の垢抜け方すごい」などと称賛コメントが続出。

共演した市原隼人も「ご一緒できることを幸せだと感じさせていただける女優さん」などとべた褒めし、撮影後に「すごくあなたのお芝居のファンです」と直接伝えたことを明かしている。

あまりに「別れの演技」のインパクトが強すぎたため、『べらぼう』視聴者からは「小芝風花ロス」を訴える声まで上がっている状況だ。

小芝といえば、2015年度下半期のNHK朝の連続テレビ小説『あさが来た』でヒロインの娘役を好演したことで注目され、2019年にNHKで放送された主演ドラマ『トクサツガガガ』が出世作に。
以降も多くのドラマや映画に出演してきたが、かわいらしいルックスの影響で「人気先行」のようなイメージで見られることも多かった。

しかし、以前から業界内では「まじめでプロ意識が高い実力派」と評判で、セリフは基本的にすべて頭の中に入れてから撮影に臨むという。膨大なセリフ量だった2023年4月期の主演ドラマ『波よ聞いてくれ』(テレビ朝日系)で共演した北村一輝は「きっとNGが出るだろう」と思って現場入りしたが、「(小芝が)見事にほとんどNGを出さずに何テイクも重ねていてビックリした。膨大なセリフが最終回まで続いたのにNGなしでやりきっていた」と述懐。「現場での姿勢やスタッフに愛される気遣いも勉強になった」などとも語り、手放しで称賛していた。

演技力が高く性格美人でもあり、現場での評判もいい。CM契約の多さから分かるように清潔感があって視聴者からの好感度も高く、どこにも非の打ち所がないレベルだ。さらに今回の『べらぼう』の演技で一皮むけたことで、若手の中で「実力派」の最右翼に名乗りを上げたといえる。

『べらぼう』で瀬以が吉原から退場した同日、小芝が主演するNHKのBS時代劇『あきない世傳 金と銀2』がスタート。さすがの売れっ子ぶりだが、彼女には特別な「悲願」がある。小芝はかねてから「朝ドラヒロイン」を目標にしていると公言してきたのだ。

『べらぼう』での演技がこれだけの評判になれば、NHKとしても起用を検討する可能性が高まる。
近年の朝ドラは現在放送中の『あんぱん』に主演する今田美桜をはじめ、伊藤沙莉、橋本環奈ら、すでに売れっ子になっている女優をヒロイン役にするケースが目立っている。

抜群の演技力を多くの人が目にしたことで、新規のファンが急増しているとも指摘されている小芝。大河ドラマでの名演技を経て、念願の「朝ドラヒロイン」の座を手にすることができるのかどうかも含め、演技派女優として覚醒した彼女の今後に注目だ。

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