【写真】ベッドシーンにも挑戦、ドラマ『死ぬほど愛して』場面カット【6点】
城定は『性の劇薬』『女子高生に殺されたい』などを手掛け、『アルプススタンドのはしの方』では第42回ヨコハマ映画祭監督賞、第30回日本映画プロフェッショナル大賞監督賞を受賞した“鬼才”の異名を持つ実力派の監督だ。
――主演の成宮寛貴さん、妻役の瀧本美織さんはどのような俳優でしたか?
城定 2人とも、もう言うことがない俳優です。今回は役作りが難しかったと思いますが、「一緒に作っていきましょう」という感じで風通しよくやれたかなと思います。
2人とも技術的には何の問題もないですし、僕が言うのはおこがましいですけど、成宮さんも瀧本さんも僕にとっては完璧に近い俳優だと思います。その上でこの作品をどう個性的なものにしていくのか、ということについては「現場でやりながらみんなで組み上げていきましょう」という感覚でやらせていただきました。
――お二人と初めてお会いされた時の第一印象や印象的なエピソードを教えてください。
城定 第一印象はテレビで見る俳優さんですし緊張しますよね(笑)。どういう人かも分からないですし、何か質問されたら答えられるかなとか、そういう意味で緊張していました。
――3話は真人の殺害シーンが直接的に描かれていて、1つの転換点だと感じました。演出でのこだわりはどのようなところにありましたか?
城定 1、2話はスローな感じで始まるのですが、3話からは毎回見どころみたいな感じだと思います。殺害シーンはもちろん怖くは見せたいですけど、そもそも何で殺しているのかみたいなのが腑に落ちちゃうと面白くない物語になってしまう。その辺の複雑さみたいなところが僕も整理できていない部分ではあるし、真人自身も分かっていないようなものです。
かといって単純に無表情の演技でいいわけでもないし。ある程度、霧がかかったような表現にしないと、類型的なキャラクターになってしまうのかなとは思っていたので、この人物はこうなんだっていうような風にはあまり事前には決めないでやりました。
――3話時点では真人がいったい何者なのかがわからなかったです。
城定 それは最後まで分からないですし、それこそこの作品のテーマでもあります。ただ、「解釈が難しいですよ」みたいな演出はあまりしていないし、逆に単純な取り方もできます。これは真人自身もわからなくて、自分がなぜ自分なのかみたいな葛藤があると思います。
――本作の伏線回収のヒントを教えてください。
城定 とにかく1、2話は、真人は訳の分からないやつにするっていうことを一回思い切ってやりました。土砂降りの中歌っているシーンや配達員を蹴とばすシーンとかはまさにそうです。ただ、それはあまり先のことを考えないでやります。とにかく種を撒いておいて回収できたら残しておくし、回収できなかったら戻って種を捨ててやめるっていうような感じで脚本を作っていきました。
――本作がABEMAオリジナルドラマでメガホンをとる初の機会でしたが、監督ご自身が今回の作品で何か初挑戦されたことはありますか。
城定 本作はいつも私が携わる作品と比べると規模が大きかったので、今までやったことのないオープンセットを壊すとか、燃やすとかをやらせてもらいました。「お金のことは気にしないでやってくれ」みたいなことを言われることはなかなかないので(笑)
周りのスタッフはベテランで大がかりな演出をやったことある人が多かったので、わりと低予算育ちの僕はみんなに相談しながら「こうやって撮るんだ!」と学びや発見がありました。
――本作はセクシーなシーンが随所に出てきますが、監督としてこだわりや意識した点はどのようなところですか?
城定 ここは俳優陣、プロデューサーとも確認を取りながら慎重に進めました。「これはドラマとしてどこまで求められているんですか?」みたいなラインを都度確認しながら、僕のエゴにはならないようにしました。センシティブなシーンは、インティマシーコーディネーターをつけているので事前に相談しながら撮影しています。
成宮さんもこういったカットに関しては、「ちょっと今の見せてください」ってご自身で見たりとか、その辺はすごくプロ意識も高い。「そういうシーンに抵抗ありますか?」って聞いたら、「いや、ないです、芸能人である以上セックスシンボルであることが当たり前だと考えています」と言われていて。
一流のプロの俳優なのだと思いました。はっきり言えるなんてすごいことだなと僕は思います。成宮さんの肉体を美しく見せることは僕の仕事なので、そこが今回の作品の見どころのひとつになるように意識しました。
――最後に視聴者の方に向けて本作の見どころを教えてください。
城定 どんな見方をしても、様々な楽しみ方があると思います。
どの見方でも面白く見られると思うので、あまり構えずに見てほしいですね。ただ「どこか普通と違うぞ?」みたいなジャンルレスな感じにはなっているので、普通のドラマを見飽きた人もぜひ見ていただきたいと思っています。“普通のようで普通ではない”本作をこの先もお楽しみください。
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