4月29日、平手友梨奈が野外音楽フェスティバル『JAPAN JAM 2025』に出演した。平手がライブステージに立つのは、2019年に欅坂46として東京ドームに立って以来、約6年ぶりとなった。


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初のソロステージを長年待ちわびたファンの熱気は、平手の登場前から高まるばかり。ファンはそれぞれ、欅坂46時代の「推しメンタオル」など平手グッズを持参し、最高の雰囲気を創り上げていた。また、その観衆の間では多様な言語が飛び交い、平手の変わらぬ海外人気がうかがい知れた。

待望の平手登場で、会場から大きなどよめきと黄色い声援が飛び交う中、1曲目は昨年移籍した新事務所・クラウドナインでの1作目である『bleeding love』だった。

最新曲『イニミニマイニモ』MVでは奇抜な青髪を披露していた平手だが、この日は黒いショートヘアに様変わり。白いジャケット風ミニワンピースにド派手なサングラス姿は、さながら海外セレブのようだった。白く長い手脚は健在で、ステージを右に左にと練り歩き歌唱する平手の一挙手一投足に、悲鳴のような歓声が沸く。

持ち時間はおよそ30分だが、平手は現事務所でのリリースが3曲のみため、欅坂46時代のソロ曲や、当時の事務所でソロアーティストとして発表した楽曲なども披露されるか注目されていた。だが、2曲目は意表を突く光GENJIの『ガラスの十代』のカバーだった。サングラスを外し、オリジナルの振付けを交えつつ歌う歌詞は「こわれそうなものばかり集めてしまうよ 輝きは飾りじゃない ガラスの十代」と、多感な10代を過ごしたであろう平手を想起させる。平手の哀愁を帯びた表情も、昭和歌謡によく似合っていた。

3曲目はCoccoのカバー曲『Raining』。
オリジナルへのリスペクトからか、裸足になり、コンテンポラリーダンスを挟みながら、痛切な歌詞をしっとりと歌い上げた。その流れから、現事務所2作目となるバラード『ALL I WANT』が続く。平手がマフィア役に扮し、「少し危険で危ない恋」を描いた同曲MVは400万再生を超えており、ステージでその情感が再現される。『Raining』、『ALL I WANT』といった切ないバラードでは、平手の楽曲への没入感がより際立つ。

5曲目には裸足から白いロングブーツを履き、中島美嘉が『NANA starring MIKA NAKASHIMA』名義で発表した『GLAMOROUS SKY』のカバーを披露。もし令和に実写版『NANA』をやるとしたら、パンクロックファッションの大崎ナナを平手に演じて欲しい――そんな風に想像したことがあるファンも多いのではないだろうか。このステージに1曲限定で、令和版ナナが存在したように見えた。

ラストはMV再生650万を超えている『イニミニマイニモ』で、この日一番の盛り上がりを見せた。ここまで平手は、ウェーブがかった髪で目が隠れたり、視線もあまり観客に向けていなかった。MCも挟まず、楽曲紹介もバックバンドメンバーに任せた平手だったが、同曲パフォーマンスでは椅子の上に立つなど観衆に煽りを入れ、ボルテージは最高潮。

「Eeny, Meeny, Miny, Moe!」の大合唱で盛り上げた後、歌詞を変えて「来月新曲発売!」と叫ぶと場内が歓喜に沸く。あまりの歓声に、平手も思わず笑みをこぼしてしまう。
孤高のカリスマと思われがちだが、ここでようやく、イタズラとサプライズが大好きで茶目っ気のある平手を思い出させた。

初のソロステージを終え、バックバンドと横一列になり一礼した後、最後に一人深々とお辞儀をした平手。その所作の美しさと礼儀正しさは、欅坂46時代から変わっていない。何年も待ち焦がれたファンにとっては、熱狂と涙で溢れた幸福な“再会”でもあり、平手にとってはソロアーティストとしてのステージの第一歩を刻んだ瞬間でもあった。

終演して間もなく、スクリーンのVTRに欅坂46結成日を意味する「2015.08.21」が表示され、平手が緑のペンキらしきものをぶちまけ、「2025.8.21 Zepp DiverCity」の文字が映し出された。欅坂46のメンバーとしてお披露目されてからちょうど10年のその日に、平手が初のソロワンマンライブ『平手友梨奈 1st LIVE “零”』を開催するという驚きの発表だった。

チケット代は無料(ドリンク代別)で、終演後に観客がパフォーマンスを観て投げる額を決める“投げ銭”スタイルが導入されている。ソロワンマンに向け、今月発売予定の新曲を含めたオリジナル楽曲の追加があるのか、同事務所所属以前のソロ楽曲の披露があるのか、はたまた新たなカバー曲への挑戦があるのか。詳細は不明ながら、『イニミニマイニモ』MV公開時に同事務所社長が「ぜひ今の彼女をご覧ください」と記していた通り、“今の平手友梨奈”のすべてをぶつけてくる渾身のワンマンライブとなりそうだ。

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