アイドルグループを3年前に卒業し、得意の文筆業の他にもイベント出演やSNSの更新を続けている宮田愛萌。作家・タレント・さらには短歌研究員などの顔を持ち、このほど自作の短歌とグラビアによる“写真短歌集”『わたしのをとめ』を刊行した。
大学でも研究し、愛好してきた文学を仕事にできた実感や、ペンにとどまらない活動を続けている思いを聞いた(前後編の後編)。

【写真】卒業後も活動の幅を広げる宮田愛萌の撮り下ろしカット【4点】

――最近では、文筆業のほかにもYouTubeにインスタグラム、TikTokと、写真や動画での発信も続けています。

宮田 でも、動画まわりは1人では何もできないです(笑)。最近はインスタグラムのリールを覚えて頑張っていますが、スタッフさんや友達に助けられてばかりです。例えばYouTubeでお見せしている北米旅行の動画は、友達がことあるごとに『撮らないと!』ってタイミングを教えてくれて、素材ができました。拡散や宣伝も、多分私よりファンの皆さんの方がうまいですね。まだ素人なりに頑張っているところです。

――今回、写真と短歌で本を刊行。文章に限らず、例えば写真などで自分を表現することにも、関心はありますか?

宮田 被写体になること自体に抵抗はないですね。小さい頃から『可愛いね』と言われることはよくあって(笑)、高校時代も女子高生らしく友達とプリクラを撮っていました。大学でも就職に有利かも…とミスコンに出ようかなと考えたこともありました。

――大学では司書の資格も取得して、日向坂46を卒業した時も就職を考えていたそうです。
自身が表現者になる道は、むしろ考えていなかった。

宮田 アイドルをやっていなかったら、小説を出版するなんて絶対できなかったと思います。まだそんなに技量があるとも思っていなくて、既に私の名前が売れていたから、本に商品価値がついている面もあるかなと。昔趣味で書いていた小説なんて、とても見せられるレベルではないです(笑)。ただその分たくさんの人の期待を背負っているので、その人たちを裏切らないように作品のレベルも上げないと、という気持ちでいます。グループも出身大学も全て隠していないので、卒業生として恥じない仕事をしなければいけないですね。

――なるほど。大学1年生で初めて応募したけやき坂46のオーディションで合格。そこから意外な形で文学との縁も深くなりましたね。

宮田 ほぼ生まれた時から本の虫で、芸能よりも本との付き合いの方がずっと長いですね。大学もアイドルも卒業して、本の業界に関わっていきたいなと考えていたところに小説のオファーをいただいて。『会社員には何歳からでもなれるけど、小説を書くのは求めてくれる人がいないとできないよ』って皆が言ってくれて、確かにそうだな、と。
だから求めてくれる限りは創作を続けてみることにしました。

――そして、執筆の時のこだわりは?

宮田 フィクションであっても、私が頭の中で考えた世界に素直に書きたいです。創作ですから嘘を書こうと思えばいくらでもできますが、『皆には分からないから、この程度いいか』と執筆で手を抜きたくはなくて。虚構なら虚構なりに、その全体像を正確に作品に投影してみる。自分に正直でいるってこういうことかなと思って、大切にしています。

――だからこそ、宮田さんのつづる作品が愛されているのではないでしょうか。

宮田 ありがたいですね。写真短歌集も両親が喜んでくれているし、もらった愛をいろんな形でお返ししていきたいです。まだ慣れていない動画発信も頑張ります(笑)。

宮⽥愛萌(みやた・まなも)
作家・タレント。 1998 年 4 ⽉ 28 ⽇⽣まれ、東京都出⾝。2023 年アイドル卒業時にデビュー作『きらきらし』を上梓。
現在は⽂筆家として⼩説、エッセイ、短歌などジャンルを問わず活躍し、本に関連する TV/トークイベント/対談なども出演。現在、レギュラー番組にTV LIFE ラジオ番組『⽂化部特派員「宮⽥愛萌」』パーソナリティ、TBS ポッドキャスト 『ぶくぶくラジオ』。連載エッセイに小説現代『ねてもさめても本のなか』(講談社)、短歌研究エッセイ『猫には猫の・犬には犬の』(短歌研究社)を持つ。またスイーツブランド『バターの女王』アンバサダーも務める。

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