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なんと、本来のゲストは紅しょうが・稲田美紀だったが、小田のマネージャーが名前の一致からアインシュタイン稲田にオファーしてしまったというまさかのキャスティングミス。番組冒頭、小田が苦笑いで謝罪する中、稲田は戸惑い気味で、テンションはやや低めの滑り出しとなった。
それでもトークが進むにつれて稲田の表情は次第にほぐれ、「芸人の幸せ」というテーマにじっくりと向き合っていく。小田から「2025年現在、アインシュタイン稲田は……幸せですか?」と問いかけられると、「幸せだと思いますよ。“めっちゃ幸せ!”って時もあるし、“しんどいな”って時もある。でも全部ひっくるめて、幸せやと思う」と真摯に答える。さらに、自身の芸人人生を振り返りながら、若手時代には「1日1回カネの話で悩んでいた」と明かしたり、かつてのコンビ解散後、ピン芸人として初めて立った舞台では「逃げ出そうかと思ったほど怖かった」と語るなど、その道のりは決して平坦ではなかったことが伺えた。
そんな稲田と小田との出会いはある地下ライブだった。稲田によれば、舞台裏で先輩芸人から厳しいイジりを受けていたところ、小田だけが化粧台の鏡越しにそっと援護射撃してくれたという。「初めて肉眼で見た小田さんは、後ろ姿でした」と笑いながら語る稲田に、小田は記憶になかったものの、「鏡越し」だったことを「クールぶっている」と反省しきり。
番組中盤では、稲田が「幸せを感じた瞬間トップ3」を披露。その1つ目は、『人志松本のすべらない話』(フジテレビ系)での出来事。
2つ目は、関西の年末恒例番組『オールザッツ漫才』(MBS)での優勝。初出場での快挙に、「昔から見てた番組やからこそ、舞台に立てただけで感動した。芸人さんたちと一緒に笑いを共有できたのが嬉しかった」と喜びをにじませた。人生で“優勝”という経験がなかった稲田にとって、大きな自信につながった瞬間だったという。
3つ目は、昨年出演した明石家さんま座長公演『笑輪の笑い』でのひと幕。13人の豪華芸人が集結するなか、打ち上げの場でさんま本人から「稲ちゃんMVP」と称賛されたという。さらに中川家や次長課長といった実力派芸人たちからも「稲ちゃんはこのチームのフォワード」と声をかけられ、「普段そういうことを口にしない人たちから認められたことが、本当に嬉しかった」と感激の面持ちを見せていた。
「幸せって、楽しいことばかりじゃないと思う。不幸があるからこそ見えてくるものもある。もちろん不幸なんてないに越したことはないけど、それがスパイスになってることもある」「乾きがないとあかんと思います、人生でも」と語る稲田の言葉には、酸いも甘いも噛み分けた芸人としての深みが宿っていたが、小田も「負のオーラがない」とその人柄を絶賛。
偶然のキャスティングミスから始まった今回の収録だったが、結果として引き出されたのは、稲田の“芸人としての幸せ”に真っ向から向き合った希少な語り。誤って呼ばれたゲストが、視聴者の心に残るトークを展開する、まさに芸人バラエティの醍醐味が凝縮された神回であった。
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