現在放送中のNHKの2025年度前期連続テレビ小説『あんぱん』。その魅力は、今田美桜演じる主人公・朝田のぶと北村匠海演じる柳井嵩が織りなす心温まる物語はもちろんだが、彼らを取り巻く個性豊かな登場人物たちの存在と、それを演じる俳優陣の確かな演技力にもある。
オーディションでの出会いからキャラクター造形の裏側など、本作の人間ドラマを豊かにするキャストたちの魅力を、制作統括を務めるチーフ・プロデューサー、倉崎憲氏に聞いた。(全4回の4回)

【写真】第45回では朝田家を突然去っていってしまったヤムさん(阿部サダヲ)

脇を固めるベテラン、屋村草吉役の阿部サダヲの存在感も、本作に欠かせない彩りを与えている。

「ずっと『日本の朝には阿部サダヲが必要だ』と思っていて」と熱っぽく語る倉崎氏。新人時代に大河ドラマで阿部と仕事をした際の印象が強く残っており、今回の企画段階から出演を熱望していたという。

「阿部サダヲさんの顔を見て1日が始まるって、なんか素敵じゃないですか」と目を輝かせ、「阿部さんの力を借りて、この『あんぱん』を作品全体として明るくしていただきたい、という思いも託させていただいた」と、風来坊でありながらも深い人間愛を持つ屋村というキャラクターに込めた期待を語った。

さらに倉崎氏は、『あんぱん』の登場人物たち全てに『アンパンマン』のキャラクターが遊び心として重ねられているという、興味深い裏話も明かしてくれた。

「脚本の中園ミホさんから一番最初に我々の手元に来る原稿では、全部の登場人物に裏設定としてアンパンマンのキャラクターが当てられているんです。それを見るのが我々も楽しみ。当て方は人それぞれで、人物名を寄せている場合もあれば、セリフとか、衣装、外見で寄せている場合もあります」

倉崎氏は「例えば釜じいで言うと、かまめしどんで、蘭子はロールパンナ」と楽しそうに語る。

どの役柄がどのキャラクターとリンクしているのか、想像しながらドラマを見るのも、新たな楽しみになりそうだ。

オーディションでの慧眼、キャラクターへの深い洞察、そして俳優への揺るぎない信頼。倉崎氏の言葉からは、キャスト一人ひとりへの愛情と、彼らが織りなす人間ドラマへの熱い思いが伝わってくる。


個性豊かな俳優陣が、それぞれの役柄に命を吹き込み、紡がれる『あんぱん』の世界。彼らがこれからどのような感動を私たちに届けてくれるのか、ますます目が離せない。

【3】『あんぱん』制作統括が明かすキャスティング秘話「河合優実さんは『とにかくずっと見たくなる人」はこちらから
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