壮絶な過去、人気レイヤが『ドラクエ』から学んだ生きる力「『誰かのせい』じゃなくて『誰かの為』がいい」

「家が燃えている！」2023年12月30日、冬のコミケ前夜にコスプレイヤーのミンミコさんに実家の母親からかかってきた電話は現実とは思えないものだった。結果、家族が住んでいた家を含めて、近隣17軒が全焼。だが、彼女の不幸はその時始まったことではない。父親が働かなくなったことで高校時代からの極貧生活。入った歌い手グループは社長がセクハラ上等の“ヤバすぎる”やつ。一人暮らしを始めた家はなぜか事故物件。現在も家をなくした家族を支えるために精力的に活動をを続けている、ミンミコさんに濃すぎる半生を聞いた。（前中後編の後編）＞＞前編・中編は下の関連記事からご覧ください。

【写真】コスプレイヤー・ミンミコさんの撮り下ろしカット【7点】

――最近した高い買い物は？

ミンミコさん　最近だと『ニーア オートマタ』に一番お金を使ったかもしれません。オーケストラ当選したのでそのチケットと、ブランドコラボのイヤリングです。コスプレ衣装類は経費になってしまいますので、月の出費だと家賃光熱費食費など含めても20万円も使ってないと思いますよ。

――ソファーとかベッドとか家具を買ったりは？

ミンミコさん　買わないですね。部屋に机はギリギリあるんですが、椅子もないですし。地べたに座ってます。ベッドはなくて布団で寝ているんですが、それも知人からもらったものを4年ぐらい使っています。その前はドンキ買ったタオルケットにくるまって床で寝てました。

――敷布団なしでタオルケット１枚ですか？

ミンミコさん　そうです。ただ、長い間そうだったので、慣れてしまってて。遠征の仕事でホテルを取ってもらってベッドで寝ると、贅沢だなぁって思います。

――救われたなという作品はありますか？

ミンミコさん　『ドラクエ』ですね。特に『ドラゴンクエストVI 幻の大地』が好きなんです。この作品ってメッセージ性が強くて、人間なのに、なりたいと思えば魔物になれたり、逆に魔物が人間になれたりするんですよ。スライムが自分より弱い魔物が欲しいと思ってぶちスライムが生まれたり、ホイミスライムが人間になりたいと思ってゲント族が生まれたり。「こうなりたいと思えば、なれるんだ」って教えてくれたんです。辛い状況でも「頑張れば何とかなるかも」と思わせてくれたんです。

――コミケでコスプレされた作品、『ドラゴンクエストIV 導かれし者たち』の冒頭では村が燃やされるシーンもあります。

ミンミコさん　あの作品って、世界を救うためじゃなくて、「仇をとる」っていう自分のために旅に出るんですよね。少なくとも私はそう解釈しています。勇者が仲間を集めるのもすごく時間がかかるしその間、ずっと一人で戦っているんです。村のみんなをなくして一人になって、帰る場所もなくて……。そんなときに「世界のため」なんて考えないですよね。憎い相手を倒すことにこだらないと生きられなかったんだろうなって思うんです。その姿を見て、「これくらいのメンタルが必要だな。見習おう」って思いました。『ドラクエ』シリーズの勇者で一番共感できる存在なんですよね。

――もし『ドラクエ』の世界に行けたら、どんなキャラになりたいですか？

ミンミコさん　別に行きたいわけじゃないですけど（笑）、行くなら勇者ですよね。これまでの人生、自分が何かしたというよりは、親が働かないとか、家が燃やされたとか、ストーカーとかセクハラ社長とか、ずっと誰かの尻拭いをしながら生きてきました。でも、どうせ尻拭いをするなら世界の尻拭いをしたいなと。救うなら働かない父親じゃなくて、もうちょっと大きなもの、世界を救いたいですね。（※編集注。ストーカー話とセクハラ社長の話はまた別の機会で）

――いろいろ経験されて、悟りの領域に行っちゃったんですね……。

ミンミコさん　でも、それは本当に思いますよ。去年、火事の件で１回貯金がゼロになったんですが、どうせゼロになるんだったら、「誰かのせい」じゃなくて「誰かの為」がいいですよね。

――なるほど……。ちなみに高校時代、友達は作らないと決めたとおっしゃっていましたが、東京に来てから、交友関係に変化はありましたか？

ミンミコさん　すごくありました。あの頃は地面に潜るようなひっそりとした生活だったんですけど、今は地上に出てきた感じ（笑）。深く付き合える友だちができました。世界ってこんなに明るかったんだなって思います。まだ眩しすぎますが。

――良かったです。これまで過去のお話をお聞きしてきたんですが、最後に将来の展望を教えてください。

ミンミコさん　楽しかったらいいなって思います（笑）。夢があってこの業界に入ったわけじゃなくて、流れ着いた場所が居心地よかったから、なんとなく続けてる感じです。でも、強いて言うなら「貯金がしたい」ですね。たとえば口座に300万円あっても、怪我したり税金や年金を払ったりすれば、1年で消えちゃう。でも1億円あったら、精神的に余裕が持てる気がして。だから今は「しっかり働こう」って思っています。

――ちなみに結婚願望は？

ミンミコさん　あります。だって、私、頼りない家族しかいなかったから。結婚って、唯一“自分で家族を選べる”ことですよね。ゲームで言うところの“リセマラ”みたいに、自分に合う人をちゃんと選べる。だからこそ、結婚したいんです。自分で選んだ家族に憧れます。

――どんなパートナーを望みますか？

ミンミコさん　アウトドアじゃない人がいいですね。家にいてくれる人。友達と飲みに行ったりするのはいいけど、毎日飲み歩くような人はちょっと……。仕事を頑張って帰ってきたときに「おかえり」って言ってくれるだけで嬉しいです。この前、友達が泊まりに来てくれていて、私が帰ったら「おかえり」って言われて、それだけで泣きそうになったので。

▽ミンミコ
10月23日生まれ、身長154cm。父親が働かない極貧家庭に育ち、高校時代から家計を支えつつ、大学進学後は複数のバイトを掛け持ち。コロナ禍を機に活動を始める。大学卒業後、生家が差し押さえられたタイミングで上京。現在は一人暮らしをしながらコスプレイヤー、配信者として活動。2023年12月冬コミ時に投稿した「速報！ 実家が全焼したのにコミケに来た勇者（ドラクエ4）」がバズ。各誌でグラビアも披露。特技は殺陣、テコンドー、格闘技。

▽公式X:https://x.com/minmikoooooooo
▽公式Instagram：https://instagram.com/mikomiko967/reels/
▽公式TikTok：https://tiktok.com/@minmiko

【前編】「実家が全焼したのにコミケに来た勇者」でバズ！人気レイヤーが語る投稿の裏側と本当の不幸