「パイスラお姉さん」や「引っかかっちゃった」など、バズ動画を次々と生み出してきたTikTokerでありグラビアアイドルのなな茶。TikTokから始まり、雑誌グラビア、写真集、そして事務所設立へ——。
今やフォロワー数360万人を誇る彼女だが、その裏には綿密な分析と試行錯誤があった。動画づくりの裏側と、これからの展望を聞いた(前後編の後編)。

【写真】グラビアも話題に、なな茶の撮り下ろしカット【10点】

――TikTokを始めたきっかけを教えてください。

なな茶 もともとVineをやっていたんですけど、サービスが終わってしまって。高校生になってからTikTokを始めました。最初は顔だけの動画ばかりで、胸は出してなかったんですけど、それでもフォロワーは10万人を超えていました。でも、ある時水着動画を出してみたら一気に伸びて、「アイドル活動にもプラスになるかも」と思って本気で取り組むようになったんです。

――水着への抵抗はなかったですか?

なな茶 最初は体にコンプレックスがあったので、水着なんて出しちゃいけないと思ってました。でも、セクシーな衣装でコラボライブに出たら、グループ内で一番売れていなかった私にもファンがついてくれて。それでナイトプールで撮った動画が数時間で100万再生されて、そこからは毎日バズるようになりました。

――かなり分析されていたそうですね。

なな茶 はい。
どうしたらバズるかを毎日考えてました。投稿する時間帯、説明文の工夫、動画の最初の1秒の構成まで全部計算していて。30分おきに投稿して、どの時間が一番伸びるかを検証したこともあります。連休と再生回数の関係とかもデータを取ってましたね。

――完全に“狙って”伸ばしていたと。

なな茶 そう思います。正直、ただ胸を出してるだけでは300万フォロワーは無理です。

――「引っかかっちゃった」の動画も話題になりましたね。

なな茶 あれも狙いがあって、「なんでこんな場面で胸が揺れてるの?」って思わせたかったんです。家の中じゃなく、外で引っかかって揺れるって非日常じゃないですか? それに、中目黒っぽい場所で撮ったり、背景に自転車を入れて「後ろの自転車何色?」ってコメント欄を盛り上げる工夫もしてました。コメントが多いと再生回数も伸びるので。

――バズってから生活は変わりましたか?

なな茶 完全にTikTokドリームを掴みましたね。
「パイスラお姉さん」でバズったあとに『ヤングジャンプ』さんから声をかけていただいて、23歳のときにアルバイトをやめることができました。

――収入面でも変化が?

なな茶 インフルエンサーでやっていこうと決めた最初の1~2か月は収入ゼロで、貯金を切り崩してました。でも3か月目には16万円のお仕事をいただけるようになって。それだけあれば当時はかなり余裕を感じられました。

――コンプレックスは克服できた?

なな茶 はい。自分の体が「いいもの」だと気づいてからは気にならなくなりました。それからグラビア雑誌をよく見るようになって、当時『サキドルエース』に出ていた天木じゅんさんにはすごく憧れていました。同じTikTokerのゆでたまごさんが雑誌でグラビアをやっているのを見て、私もやりたい!と思ったのがきっかけです。

――『サキドルエース』では11代目グランプリを獲得されました。

なな茶 本来はグループで出場する企画なんですが、グループ内での人間関係が悪化してしまって。誰からも応援されない中でのソロ出場でした。「勝って見返すしかない!」って思って必死でした。


――何が原因だったんでしょうか?

なな茶 古い考えの事務所で「SNSは使うな」というルールがあって、TikTokも推奨されていなかったんです。でも私はライブハウスでファンを取り合うのが苦手で、SNSで自分のお客さんを呼ぶスタイルを貫いてました。他のメンバーからすると「SNSでファンを呼ぶなんて…」って感じだったんでしょうね。ちょうどavexへの移籍が決まった頃だったので、私だけ一歩先に進んでいるように見えてギスギスしてました。

――そこから活動の幅が一気に広がり、昨年には1st写真集も発売されました。

なな茶 グラビアアイドルにとって写真集って、地下アイドルで言うところの東京ドームみたいなものなんです。しかも、観光大使を務めている浜松市で撮影できたのが本当にうれしかった! 撮影場所の8割は自分で電話してアポ取ったんですけど、地元の方が「選んでくれてありがとう」って言ってくださって、撮影料も無料にしてもらったり。改めて「浜松って最高だな」って思いました。

――さらに、個人事務所「Clara Production」を立ち上げられました。どんな経緯があったんですか?

なな茶 グラビア系インフルエンサーって、マネタイズのポイントがファンクラブしかない子が多いんです。ただ、グラビア系インフルエンサーでもPRに向いている商品はたくさんありますし、実際に結果が出ているものも多いんです。それが企業さんに伝わっていなくて、フォロワー120万人いても焼肉屋でバイトしてる子がいたりして……。
「それっておかしくない?」って思ったんです。だから、ちゃんと仕事として成立させて、夢を追える環境を作りたくて事務所を立ち上げました。

――今後、どういう事務所に育てたいですか?

なな茶 水着になる以外の選択肢がある世界を広げたい。自分を売る方法はたくさんあるのに、そこに届いていない子が多いんです。夢を諦めなくていい、そんな場所を作っていきたいです。

――最後に、なな茶さんご自身の今後の目標を教えてください。

なな茶 今はSNSを活用して、企業さんの人手不足を解消する事業をやっています。SNS運用代行を数社お任せいただいているので、今後はそちらの事業拡大に力を入れたいです。正直、グラビアは去年で一区切り。でも、やりたくなったらまた戻ると思います(笑)。

▽なな茶(ななちゃ)
2月11日生まれ。静岡県浜松市出身。
中学3年で鉄道アイドルグループ「ステーション♪」に加入。以降、「アイドルカレッジ」「ALLOVER」「黒のシャーナ」などに所属し、「サキドルエース」11代目グランプリを受賞。TikTokでは「パイスラお姉さん」などの動画がバズり、フォロワー数は約360万人。2023年には浜松市の親善大使「やらまいか大使」に就任。2024年には個人事務所「Clara Production」を設立。

▽公式X
https://x.com/nanaki_chiba

▽公式Instagram
https://www.instagram.com/nanacha_0211 

【前編】なな茶、極貧だった地下アイドル時代 バイト5つ掛け持ちしても「お金はカツカツ」
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