【写真】独演会ツアー『バカの恩返し』開催中の錦鯉の撮り下ろしカット【12点】
──今年も独演会全国ツアーが5月からスタートしました。錦鯉にとっては、もはや年中行事となっていますよね。
長谷川 ツアーというかたちでは3年目かな。その前の年も独演会はやったんですけど、このときは東京の1ヵ所だけだったんです。
渡辺 DVDを撮るのが目的でしたから。ちょうど『M-1グランプリ』で優勝した年でした。独演会と銘打っているのは、ゲストとか呼んで練習するのが面倒くさいから(笑)。それに自分たちの師匠にあたるハリウッドザコシショウとかバイきんぐも自力で毎年単独ライブをやる形式だから、そこに感化されたという部分もあるかもしれない。
長谷川 いや、でも冷静に考えたら自分でも驚きます。ゲストとかに頼らないで自分たちだけで公演するって、結構ストロングスタイルじゃないですか。
渡辺 まぁでも毎年やっていることで進化……というか、変化している部分は若干あります。
──実際、2人だけだと持ち時間も普段より長くなるわけですけど、ネタは入念に作り込むんですか?
渡辺 いや、まったくもって作り込んでいないです。一応は台本に起こしますけど、やってみて思っていたのと違ったら、どんどん変えていきますし。たとえば(長谷川)雅紀さんが違う動きをしても、「そっちのほうが面白いじゃん」ってすぐ変更しちゃう。
長谷川 だからツアーの最初と最後では内容も少し変わってくるんです。
渡辺 そうだね。余計な部分は削ぎ落として、短くなることが多いかな。でも、その代わりにネタ前にすげぇダラダラ余計なことばかりしゃべったりするんですけど(笑)。フリートークみたいな感じで。
──テレビでの活躍が増えましたが、今、ファン層ってどんな感じなんですか?
長谷川 うちはホントに老若男女いるんです。逆に20代は少ないんですけど。
渡辺 ジジィとババァ、あとは子供ばかり!
──そんな毒蝮三太夫みたいな毒づき方しないでください(笑)。
長谷川 すごい特殊!だって今人気のラランドとかすごいです。ワーキャー若い人たちから騒がれちゃって。僕ら、黄色い声援なんて聞いたことないですから。10代といっても、10歳の小学生が僕の真似をして「こんにちは~!」って大きい声で挨拶してくれるくらい。あとは小学校入学前の保育園児とかが笑ってくれる感じで。
渡辺 でも、これは自分たちでも謎なんです。この前も「子役が絡みたいタレントランキング」みたいなのをなにかの番組でやっていて、そこで1位になったんです。うちら、まったく子供に寄せてネタを作っていないんですけど。子供は友達だと思っているのかもしれない。なんなら雅紀さんは実写版オバQみたいなところがあるし(笑)。
長谷川 地方にロケとか行くと、お母さんたちが「ほら、“こんにちは~!”の人が来たよ」とか言って、子供が駆け寄ってきますから。
渡辺 たぶん知能レベルがナチュラルに子供と同じなんだと思う(笑)。
──高齢者に人気というのは、どういった理由が?
長谷川 これは子供以上に謎!誇張じゃなくて80~90歳くらいの方がふつうにいるんです。僕らがすごくうるさく騒いでいる中、客席で寝ていたりもしますし。お年寄りだから仕方ないんですけど。
渡辺 「病院を抜け出して来ました」とかいう方もいますから。おじいちゃんたちが『罵倒村』(Netflix)とか観ているとは到底思えないんだけど(笑)。『笑点』(日本テレビ系)に出たときも客席は高齢の方ばかりでしたが、めちゃくちゃやりやすかったです。だから最近はお年寄りの方にも喜んでいただけるように、グッズにも孫の手とかお薬手帳を用意しているんです。
──お年寄りファンからすると、2人が可愛い子供のように映るんですかね?
長谷川 どうだろう……。親しみやすいってことなんですかね?僕らの独演会って、お客さんとの距離がめちゃくちゃ近いんです。(渡辺)隆は普通にお客さんと会話したりしますし。
渡辺 「雅紀さんの好きな食べ物って何だと思う?」とか、本当にどうでもいいことばかりなんですけど……。でも、そういうのが不思議とウケたりするんだよなぁ。ライブ感がいいのかもしれません。逆にお客さんから話しかけられたりもしますし。観客参加型ライブといいますか。
長谷川 お年寄りの方が来てくれるのは、意外にそのあたりかもしれないですね。「話し相手が欲しい」みたいな感じで。
──ほかにテレビでは観ることができない“ライブならではの魅力”ってありますか?
渡辺 テレビって基本的に大人数で作るものだから、僕ら2人はみんなにいじってもらって初めて成立するんです。でも、独演会は2人だけでやるしかないじゃないですか。もちろんテレビも真剣にはやっているけど、独演会のほうが“仕事した感”は正直あります。
長谷川 たしかに。やっぱり自由にやれるのは独演会ですから。
渡辺 テレビは時間が短いから、ネタをやるにしても「これ!」って言葉を確定させないといけないんです。単独だとフリーの部分が長くなっちゃうのは、その“決められていない感じ”が心地いいからなんだと思う。
長谷川 だからライブ感があるし、内容も毎公演ごとに変わっていくんです。
渡辺 そもそもうちらは“作品”で勝負していないですから。コントをガチっとやる人たちだったら「これを観てほしい」という完成形があって、それを全力で披露するわけじゃないですか。うちらの場合、極端なことを言ったらネタなんてなんだっていい。ネタの面白さじゃなくて、人間の面白さで笑わせようとしているので。
──それはそれで非常に高度なことをやっている気がします。
渡辺 ほかの人たちがうちらのネタをやっても面白くもなんともないと思います。特にテクニックがあればあるほど、つまらなくなる。雅紀さんみたいなキャラ、どこを探してもいないですから。
長谷川 いやいや、僕のほうこそ隆に任せっきりなので。
渡辺 ライブで大変なのは確実に雅紀さんのほうです。覚えなくちゃいけないことがたくさんあるから。僕はそれに対して感想を言っているだけで。僕の言うことも基本的には決まっていないですし。
長谷川 でもね、今年は初日の東京公演をやったときにすごく楽しかったんです。もちろん今までも楽しんで舞台に立ってはいたんだけど、それを超える楽しさが感じられて。
──すごいことじゃないですか。これだけキャリアを重ねているのに、マンネリも感じず活動できているなんて。
長谷川 自分たちでやっていても、飽きるってことはまったくないです。
渡辺 そのへんはベテランらしさがゼロかも(笑)。雅紀さんを見ていると、いまだに新鮮な驚きがあるので、この面白さを独演会ツアーで伝えていきたいです。
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