阿部寛「日曜劇場」、小泉今日子「月９」を抑え、ネットでバズった意外な春ドラマNo.1

6月をもって、多くの作品が最終回を迎える2025年の春ドラマ。今回はそんな春ドラマの中で、視聴率だけでは分からない“ネットでバズったNo.1”の作品を見ていきたい。

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まず、全話の平均世帯視聴率を見てみると、6月16日執筆時点で阿部寛主演の『キャスター』（TBS系）が唯一2桁を超え10.9％（ビデオリサーチ調べ、関東地区。以下／同）でトップとなっている。

それ以降は、小泉今日子と中井貴一がW主演の『続・続・最後から二番目の恋』（フジテレビ系）が7％台、内野聖陽主演の『PJ ～航空救難団～』（テレビ朝日系）と多部未華子主演の『対岸の家事～これが、私の生きる道！～』（TBS系）が6％台で続いている。

次に、若年層やドラマコアファンから支持されている、配信サービス・TVerお気に入り登録数の放送期間中最高値を見てみると、1位の『続・続・最後から二番目の恋』が127万台、2位の『対岸の家事』が121万台、3位の芳根京子主演の『波うららかに、めおと日和』（フジ系）が112万台だった。4位は、視聴率ではトップの『キャスター』で86万台。このように、春ドラマでお気に入り登録数100万超えを果たしたのは、3作品のみとなった。

『続・続・最後から二番目の恋』では、前2作からさらに齢を重ねた小泉演じる吉野千明と、中井演じる長倉和平のアラ還としての悲喜こもごもが描かれてきた。前2作から、長倉家の長女役・飯島直子、双子の次女・次男役の内田有紀と坂口憲二、和平の娘役・白本彩奈と、長倉家全員キャストが続投。特に10代前半から20代半ばとなり、大人の女性へと成長した白本の姿に驚いた視聴者も多いだろう。

今作から月9枠に移動したが、中高年層を中心に視聴率面でもネット上でも反響を呼んだ。そんな中、白本に対し、千明や和平たち兄弟は、そして大人である視聴者は、どう成長出来ているのだろうか、どんな自分でありたいかを常に問いかけられるようでもあった。

『対岸の家事』では、多部演じる村上詩穂の専業主婦としての苦悩をリアルに描いた。その対比で、ワーキングマザー、シングルマザー、育休パパなど、それぞれの立場の葛藤も炙り出された。ドラマを観る人の立場によって、誰に共感するかなど、全く見方が異なったであろう今作。それでも、お互いの価値観を尊重し、共生していく大切さを考えさせられた。

主人公が最後まで専業主婦を貫くドラマとして一つ気になったのは、一ノ瀬ワタル演じる夫の虎朗の収入のみで、一女を含む3人家族として、家計がどうなっているかという点だ。毎話、違う立場の人にスポットを当て、新たな問題提起をすることが可能な今作だけに、子どもが大きくなったら詩穂はどんな選択をするのかも含め、続編を見てみたいところだ。

『波うららかに、めおと日和』は全話平均世帯視聴率は5％台だが、芳根演じる江端なつ美と、本田響矢演じる夫“瀧昌様”の初々しい新婚生活を描き、『逃げるは恥だが役に立つ』（TBS系）以来の“ムズキュン”ブームを巻き起こした。芳根は純真ななつ美を演じながら、座長として今作を牽引。瀧昌役の本田は、NHK連続テレビ小説『虎に翼』の大庭光三郎役でも話題を集めたが、今作で本格ブレイクとなりそうだ。

気の強い女性役が多かった山本舞香は、なつ美の友人・芳森芙美子役でしとやかさや可憐さを見せた。また、真面目な恋の当て馬役が印象深かった小関裕太は、瀧昌の同僚・深見龍之介役として恋愛強者のプレイボーイっぷりを見せ、山本と共にハマり役となり、江端夫妻を盛り上げた。語り部である活動弁士として登場する生瀬勝久も、随所で物語を引き立て、漫画原作らしさを保ちつつ、今作をドラマとして成立させていた。

ここまでのお気に入り登録数100万台3作品で、特定ワードの検索数推移をグラフで可視化出来るGoogleトレンドを使い、過去3ヶ月のウェブ検索数を比較してみる。ウェブ検索の各作品の最大値1位は『波うららかに、めおと日和』で、その数値を100とすると、『対岸の家事』の最大値が93、『続・続・最後から二番目の恋』が74だった。

以上を鑑みて、『波うららかに、めおと日和』を2025年春ドラマの“ネットでバズったNo.1”作品と認定したい。

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