3月18日(水)にシングル『桜色カメラロール』でメジャーデビューをする真っ白なキャンバス(通称:白キャン)。6人のメンバーがグループに加入した経緯はそれぞれまったく違う。
「以前、違うグループでアイドル活動をしていた」「竹下通りでスカウトされた」「ずっとアイドルが好きだった」……。中でも、数年前までは自分がアイドルになる姿など想像もつかなかったというのが、結成から1年後にグループに加入した西野千明だ。

子供の頃から「男の子みたい」と言われて育った彼女は、いつしか自身もそうなりたいと思うようになった。学校の制服以外でスカートを履いたことはなかった。女の子的なもの、アイドルに憧れたこともなかった。

そんな彼女は今、衣装のスカートを履き、ステージ上で歌っている。今でも私服でスカートを履くのは少し抵抗があるという彼女に、アイドルになったきっかけとこの1年での心境の変化を聞いた。

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──まずは子供の頃のお話からお聞きしたいのですが、小学生の頃どんな子でした?

西野 髪の毛を短く切って、運動ばかりしている小学生でした。帰りのホームルームで「○○公園で遊ぶので、来れる人は来てください」って言われたら絶対に行くみたいな、外で遊ぶのが好きな子でした。

──習い事は何かしていたんですか?

西野 書道を14年間やっていました。金賞を獲ったりしていましたね。

──では中学生では書道部に?

西野 入りたかったんですが、お姉ちゃんの影響でバドミントン部に入っちゃったんです。
でもバドミントンは全然できなくて嫌でしたね(笑)。高校では書道部に入りました。ただ、習い事でも書道をしていたので、部活と習い事の活動日が被ってしまっていて、あんまり部活に行けてなかったです。

──書道は熱が入っていますね。

西野 書いていると落ち着くんです。勉強や友達のことで悩んでいると、それが字にも現れてきちゃうんです。なので、心が乱れている時は「あ、帰ります」と言って帰っていました(笑)。そういう風に自分のペースでやれていたからこそ、続いたのかもしれないですね。

──アイドルを意識したのはいつ頃からですか?

西野 高校の時は全く考えていませんでした。専門学校の頃、放課後に友達とカラオケに行った時に、今所属している事務所の方からスカウトを受けて、そこからです。

──それが初めてのスカウトだったんですか?

西野 それまでも何度かスカウトされたことはあったんです。でも、私じゃ無理って思っていました。
女の子っぽい服装もできないし、特別歌が上手いわけでもないし、ダンスも全然できないし。事務所に所属した時のアンケートでも、進みたい方向性としてアイドルと歌手だけ選択しないようにしていました。

──当時、目指していた方向性は?

西野 私が所属している事務所は、YouTuberさんも所属していて、動画やSNSの扱い方を教えてくれるところなんです。YouTuberになれるならなりたい!って思っていたぐらいでした(笑)。

──それがなぜ白キャンに入ることに?

西野 事務所の方に「白キャンに入りませんか?」って言われたんです。「(事務所と)契約初日に言われることはなかなかないよ」って強く押していただいて、レッスンを見に行ったら面白そうだなと思い、入りました。

──女の子っぽい服装をしない理由は?

西野 恥ずかしいからです。昔はよく男の子に間違われていたんですよ。おばちゃんとかから「僕ね~」って言われていたので、それっぽくなりたいって思って、髪の毛も短くしはじめました。

──今日もパンツルックですが、スカートは……。

西野 一切持ってないですね。スースーしちゃいます。


──アイドル活動をしていると、衣装で着ることもあると思うんですが、そういう時は気にならないんですか?

西野 衣装は吹っ切れているので穿けます。あれだけスカートを履くのに抵抗があったのに、今思うとぜんぜん大丈夫ですね(笑)。ただ、やっぱり私服では履きませんね。

──アイドル活動をしていると、ファンから女の子っぽさを求められることもあると思いますが、そのあたりはいかがですか?

西野 アイドル活動でも女の子っぽいところは全然出してないですね。私が無理にキャラを作ってもボロが出ちゃうと思うし、素を好きになってほしいので、あえて何も作らずにやっています。それで「話しやすい」とか「好き」って言ってくださる方もいるので、そういうアイドルもありなのかなと思っています。

──子供の頃からアイドルが好きだった方は、目標とするアイドルがいると思うんですが、もともと興味がなかった西野さんにとって憧れの人はいるんですか?

西野 自分で創り上げればいいと思ってやっています。自分も楽しく活動して、お客さんも楽しんで帰ってくれれば、いいと思うんです。私はしゃべることが好きなので、特典会が終わった後はいつもルンルンで帰るんです。たまに辛い時とか悩み事がある時でも、ファンの方と話していると忘れられるんです。

──アイドル活動を続けていく上で悩みもあったと思うんですが……。

西野 ダンスも歌も頑張らないといけないから、休みもそんなに多いわけではなくて、ずっと余裕もなく必死でした。
もちろんちゃんと悩むこともありましたけどね。

──どんなことに悩んでいたんですか?

西野 お披露目ライブの時、先輩メンバーがライブしている中、途中からステージに登場するという段取りだったんです。でも、出演前に歌詞や振付が全部飛んじゃったんです。それでステージ脇で「できない、できない、できない」ってずっと泣いていました。私は元々ロックが好きなので、バンドのワンマンライブやフェスを大きな会場で見たことがあったんです。だからそれまで、アイドルがライブをする箱って小さいと思っていたんです。でも、自分がいざステージに立つ立場になったらお客さんもたくさんいるし、それまでしたことがないくらい緊張しましたね。

──メンバーにはなんて声をかけられました?

西野 「大丈夫だよ頑張ろう」って言ってくれました。みんな優しいんですよ。白キャンは年齢とか入った時期とか関係なく仲がいいんです。加入当初は私も敬語で話していたんですけど、先輩メンバーから「堅苦しいし、お客さんから上下関係あるって思われたら嫌になっちゃう人もいるかもしれないから、タメ口で話して欲しい」言われて、次第にタメ口になりました。今は私もそっちの方がやりやすいなと思っています。


──アイドル活動をしていたこの1年間で一番の悩みってなんですか?

西野 今もなんですけど、ダンスが本当に苦手です。グループに加入した当初はもっと酷くて、復習のために自分のライブ映像を観ることがあるんですけど、恥ずかしすぎてずっと観ていられなかったんです。それもあって全然上達しなかったんですけど、頑張って観るようにしてから、今はちょっとずつ成長している最中です。

──ダンスに自信も出てきました?

西野 ファンの方は「千明ちゃん、変わったね」って言ってくれます。「え、そうなんだ。頑張ろう」って思える機会が増えました。逆に「前はやばかったよね、心配だった」って今でも笑われることもあります(笑)。でも、その分、成長するストーリーがあるから「見応えがある」とか「伸びしろがある」とも言われます。

──3月18日にはメジャーデビューシングル『桜色カメラロール』がリリースされます。どんなシングルに仕上がっていますか?

西野 出会いと別れの楽曲です。学校が一緒だったけど、卒業したらバラバラになってしまう人たちへの応援ソングです。

──では最後に今後の目標をお願いします。


西野 メジャーデビューは先輩たちのおかげだと思っているので、まだ実感はわいていません。今後はグループでもっともっと上を目指したいです。先日、ワンマンライブを渋谷クアトロでやったんですが、今度はもっと大きなステージ立ちたいです。

▽西野千明
にしの・ちあき。5月25日生まれ。千葉県出身。3期生。2018年に行われた単独公演「Thanks HEISEI @東京」で、アイドルグループ「真っ白なキャンバス」のメンバーとして加入した。

▽「真っ白なキャンバス」
”重なり合ったそれぞれの色は、真っ白な光になる。そんなキャンバスに夢を描いてゆく”をコンセプトに活動するアイドルグループ。2019年に行われた東名阪ツアー「NOW STEP ON TOUR」ファイナル公演にて、3月18日にメジャーデビューすることが発表された。

▽『桜色カメラロール』3月18日(水)発売
キングレコードよりリリースされるメジャーデビューシングル。春における別れと未来への葛藤が表現された楽曲。日本レコード大賞を受賞した作家陣が全て担当している。
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