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このドラマ10だが、過去には鈴木京香主演の『セカンドバージン』や、原田知世主演『紙の月』、小芝風花主演『トクサツガガガ』など、話題作を多く生み出してきた。ここ数年は特にドラマファンからの評価が高まっており、2024年には『正直不動産2』『燕は戻ってこない』『宙わたる教室』を放送。さらに今年に入ってからも『東京サラダボウル』『しあわせは食べて寝て待て』と、2作の名作を立て続けに放送している。
なぜ、ドラマ10は良質なドラマを次々に制作できるのか? その裏側を民放のドラマ制作に関わるスタッフに聞いた。
「近年のドラマ10作品は、ほとんどが漫画や小説などの原作があり、NHKの制作陣によるチョイスがじつに絶妙だ。山下智久さんが主演を務めた『正直不動産』が良い例です。嘘をついても営業成績をあげてきた不動産の営業マンが、とある出来事で嘘がつけない体質になり、正直にトラブルを解決するという内容だが、漫画らしい荒唐無稽な設定をうまくドラマで見せている。また、『東京サラダボウル』や『しあわせは食べて寝て待て』のような隠れた名作を見つけるのもうまい。NHKらしく予算をかけて撮影しているので映像もきれいで、民放ドラマ以上のクオリティでファンを増やしている」
そんなドラマ10は、俳優たちにとっても“出演したいドラマ枠”になっているという。
「大河ドラマや朝ドラは、確かに主演を務めれば箔が付きCM契約にも有利。ただ近年では、どちらも視聴率が低下していて、ニュースになるのはマイナスな情報ばかり。たとえば、橋本環奈さんが主演を務めた『おむすび』は、内容より視聴率が悪いことばかりが報じられてしまった。結果として、長期間のスケジュールを押さえて朝ドラや大河に出演しても、主演俳優にはリスクが大きくなっているんです。
これは日曜劇場や月9も同じで、過去の大ヒット作のイメージが強く、どうしても視聴率ばかり取りざたされる。その点、ドラマ10はそもそも高視聴率を狙うようなドラマ枠でなく、主演を務めてもデメリットが少ない。そのうえで、話題になる可能性が高く、撮影も丁寧に進められるため俳優たちから大人気なんです」
確かに『東京サラダボウル』と『しあわせは食べて寝て待て』については、ネガティブな記事はほとんどなく、ドラマの内容と主演女優を絶賛するニュースばかりが目立っていた。SNSでも批判コメントが少なく、それぞれで主演を務めた奈緒・松田龍平、桜井ユキは評価を上げることに成功しているようだ。
俳優陣たちからの支持が集まっていることで、今後はさらに良質な作品がドラマ10から誕生しそうだ。前述のドラマ制作スタッフもこう語る。
「ドラマ10の成功例が増えたことで、キャスティング面で自由度がぐっと上がる。今後は、朝ドラや大河の主演クラスの俳優も起用することができるでしょう。たとえばコアな内容の映画にも出演している広瀬すずさんなどは、ドラマ10にピッタリです。新垣結衣さんや、有村架純さんなどを主演にキャスティングしてもおもしろい。枠の価値が急速に上がったことで、制作側の選択肢も広がっています」
次回作は、9月から大東駿介が主演の『シバのおきて~われら犬バカ編集部~』の放送が決定しているドラマ10。今後、どんな作品が作られるのか、注目すべき放送枠になりそうだ。
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