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まず押さえておきたいのは、“夏曲”の持つ位置づけだ。乃木坂46に限らず、アイドルにとって7月~8月にリリースされるシングルは、ツアーと連動する重要な1曲になる。センターはそのツアーの座長として、ファンとともに夏を盛り上げる主役のような存在だ。乃木坂46も、7月5日から「真夏の全国ツアー2025」がスタート。夏曲のセンターは、パフォーマンス面でも精神面でもグループの顔となる存在が求められるのだ。
そして過去を振り返ると、夏曲は新センターが誕生しやすいタイミングであることがわかる。たとえば、6thシングル『ガールズルール』では、これまで5作連続でセンターを務めた生駒里奈に代わり、白石麻衣がセンターに。さらに15thシングル『裸足でSummer』では、初期はアンダーメンバーとして活動することが多かった齋藤飛鳥が初のセンターに抜擢されている。
続いて18thシングル『逃げ水』では、当時加入したばかりだった3期生から大園桃子と与田祐希、33rdシングル『おひとりさま天国』では、5期生から井上和が抜擢され、夏曲は常に変化を伴ってきた。
だからこそ、今年の夏曲でも新センターの誕生が期待されていたのだ。6期生のお披露目センターは早いにしても、5期生の活躍を見ていると、井上和、中西アルノ以外の表題曲センターが誕生するのは自然な流れだろう。特に一ノ瀬は、お披露目イベント「5期生 お見立て会」で『ガールズルール』のセンターを務め、すでに夏曲のイメージがあるメンバーだ。“さくみく”としてコンビ人気の高い川崎とWセンターを務めれば、話題沸騰だったに違いない。
しかし、結果的に選ばれたのは、すでにセンター経験豊富な賀喜遥香だった。なぜこのタイミングで彼女が起用されたのか。そこには3つの理由が考えられる。
1つ目は、「同期とのバランス調整」。賀喜と同じ4期生の遠藤さくらは、37thシングル『歩道橋』で4度目のセンターを経験。今回、賀喜が追い付くように4回目のセンターに選ばれている。深い意図があったかは不明だが、2人のキャリアバランスを整えた可能性もあるだろう。
2つ目は、「6期生との兼ね合い」だ。今回の全国ツアーには、初参加となる6期生が加わる。彼女たちにとって初めての本格的なライブとなるこのツアーでは、グループを牽引できる安定感のあるセンターが求められるだろう。となると新センターが座長というのは、やや心もとない印象だ。その点、賀喜はグループ内で“夏曲の顔”としても認知されており、座長を任せるには最適な存在である。
そして3つ目は、「川崎&一ノ瀬のポテンシャルを見極めるため」。賀喜は4度のセンター経験のうち、(9月発売の28thシングル『君に叱られた』も含めて)4分の3が夏曲であり、“夏担当”のイメージが強い。しかし、4期生の卒業が視野に入る時期に入りつつある中で、次世代の“夏センター”を育てていく必要がある。そこで白羽の矢が立ったのが、川崎と一ノ瀬だったのではないだろうか。井上のように一気にセンターへと駆け上がるタイプではなくても、着実に経験を積ませ、未来のセンター候補として準備を進めている……そんな戦略が隠されているのかもしれない。
以上の3点を踏まえると、賀喜がセンターに選ばれたのは、「守り」ではなく「次への布石」としての選択とも考えられる。今作で新センターは誕生しなかったが、グループの未来に向けての準備は着実に進んでいるはずだ。
再びアイドル戦国時代となりつつある令和の今、坂道グループの“長女”として安定感を見せる乃木坂46。今年の夏曲『Same numbers』は、グループの“今”と“次”をつなぐ大切な1曲になりそうだ。
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