俳優の風間俊介が、さまざまな作品で光る演技を見せている。現在、風間は『40までにしたい10のこと』(テレビ東京系)で主演を務め、月9ドラマの『明日はもっと、いい日になる』(フジテレビ系)に出演中。
さらに、NHKの大河ドラマ『べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~』では、クセのある鶴屋喜右衛門を演じるなど、全くキャラの違う3役を丁寧に表現している。どんな役でも変幻自在に演じてしまう役者を“カメレオン俳優”などと呼ぶケースがあるが、まさに風間にピッタリの言葉だと思えるくらい、役ごとに抜群の存在感を見せている。

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例えば、主演を務める『40までにしたい10のこと』では、40歳を目前にしながら年下のイケメン部下と恋をする十条雀をキュートに熱演。雀は、仕事ができるものの、10年以上恋人がいないまま、家と職場を往復するだけの毎日を送る39歳の会社員だ。同性愛者であることは周囲に隠しながら、どこか満たされない気持ちを抱える主人公である。この雀が、ひょんなことから庄司浩平が演じる部下・田中慶司と「40までにしたい10のこと」を一つずつ叶えていくことに。雀は、事あるごとにアプローチしてくる慶司に戸惑いながら徐々に心を通わせていくのだが、積極的なイケメン部下に乙女のようにドギマギする姿を風間が繊細に見せている。

また、自宅ではもこもこしたルームウェアを着るかわいらしい一面のある雀だが、ドラマなどに登場するようなステレオタイプのわかりやすい同性愛者として描かれてはいない。それだけに、演じるのはかなり難しいはずだが、表情や微妙なセリフの強弱でイケメン部下に心を惹かれていく様子をうまく表している。風間のストレスを感じさせない演技は完璧で、「テレ東ドラマ公式ドラマチャンネル」で、第1話が132万回の再生数を突破する人気を得ている。

また、注目作である『明日はもっと、いい日になる』では、ベテラン児童福祉司の蜂村太一を担当。蜂村は、児童相談所の中間管理職で、空気を読みながら物腰の柔らかさで周囲をまとめる板挟みの役回りだ。
しかも、一児の父親だが離婚しているため子どもにあまり会えず、家庭と仕事の問題でいつも振り回されている。いわゆる「いい人」の設定で、まさに風間の雰囲気にピッタリのキャラだ。

かと思えば、『べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~』で演じる鶴屋喜右衛門は、主人公の蔦屋重三郎と対立するライバルの地本問屋の主人。事あるごとに重三郎の邪魔をし、登場した当初は嫌味な口調で視聴者から嫌われた曲者だった。序盤で悪役として存在感を発揮し、ドラマを牽引している。

ここ最近、各局で放送するドラマの本数が増えたとはいえ、主演を含め3本もの注目作で重要な役を演じるのはなかなか無いことだ。しかも風間は、作品ごとに全く性格が異なる役を見事に演じ分けており、まさに神業と言える表現力を見せている。

さらに今年は、映画化もされた『それでも俺は、妻としたい』(テレビ大阪・BSテレビ東京)で主人公の一人・柳田豪太も担当。この豪太は売れない脚本家で、MEGUMI演じるチカに徹底的に罵倒されるというダメ男ぶりを見事に風間は演じきった。

かわいい同性愛者から人の良い中間管理職、さらに大河ドラマの悪役からダメ男まで、多種多様な役を短期間で完璧に演じられる俳優は、風間以外にそうそういないだろう。

風間の魅力は、まさにカメレオン俳優と呼ぶにふさわしい、どんな役でも演じられる変幻自在の表現力だ。ビジュアルにピッタリの良い人の役が多いが、2024年公開の映画『先生の白い嘘』では、極悪非道な裏の顔を持つエリートサラリーマンを狂気的に演じている。
同映画以外にも、悪役や事件の犯人を演じたことがあるが、どの作品でも持ち前の癒し系雰囲気は封印されていた。作品に応じた役作りの技術が極めて高いのだ。

風間は『3年B組金八先生』(TBS系)で演じた兼末健次郎がヒットしてから、ドラマを中心にとんでもない量の作品に出演している。もともとの演技力に加え、さまざまな役柄をこなしてきたことで、現在の圧倒的表現力が培われたのだろう。演技力という面では、「40代最強俳優の一人」と言っても過言ではない。

そんな風間だが、SMILE-UP.(旧ジャニーズ事務所)を退所したことで、さらに進化が期待できる。2023年12月31日をもって退所したのだが、それ以降の仕事でこれまで以上に幅広い役に挑戦しているように見える。風間はアイドルではなかったので事務所からの縛りはほとんど無かったと思われるが、それでも旧ジャニーズのタレントという立場から受けられなかった役もあっただろう。そうしたしがらみがなくなったことで、より自由に仕事ができているように感じるのだ。

今年は9月公開予定の映画『ふつうの子ども』に出演予定の風間だが、この作品ではどんな演技を見せてくれるのか? 楽しみにして公開を待ちたい。

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