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SNSでも放送直後から話題沸騰で、「阿部さん、松さんコンビだから面白いに決まっていると楽しみにしてたけど、予想通り今回の夏ドラマの中で一番」「小説読んでるかのようなドラマだった! 阿部サダヲと松たか子ってところがさらに良い」「普通のコメディドラマかと思ったら最後衝撃! やっぱり松たか子も阿部サダヲも最高だ~」「阿部サダヲと松たか子ペアのシュールさは無限に味がする」といった反応が続出しており、“夏ドラマNo.1”の呼び声も高い。
物語は、“マリッジ・サスペンス”というキャッチフレーズが掲げられ、独身主義を貫いてきた人気弁護士・原田幸太郎(阿部)が、謎に満ちた高校美術教師・鈴木ネルラ(松)に突如として惹かれ、スピード結婚するという導入で始まる。しかし、ネルラには重大な秘密があり、物語は単なるホームドラマにとどまらず、心理的な緊張感と予測不能な展開を孕んでいく。
この作品の魅力のひとつに、阿部と松という“安心と信頼のペア”の存在がある。阿部が「最も共演歴の多い女優」と語るように、2000年代から映画や舞台で幾度も共演してきた2人は、視聴者にとってもすでに“完成された夫婦像”を思わせる熟成された関係性を築いてきた。映画『夢売るふたり』(2012年)、『ジヌよさらば~かむろば村へ~』(2015年)、『スイッチ』(2020年)では、夫婦や元恋人など設定はさまざまだが、“しあわせ”とは程遠い関係性が描かれることが多かった。そんな過去を踏まえたうえで、松も今回、「幸せな夫婦を目指したい」と語っており、その結末も楽しみの一つだ。
阿部は番宣やインタビューで、松への全幅の信頼を口にしている。「松さんでなければこの“難しくて不思議な女性”は演じきれない」と評している。『スイッチ』出演時には、「セリフを変えても全部受け止めてくれる。僕が急に言ったことにも反応してくれる。
その信頼関係が伝わってきたのは、番宣の一環として配信されたポッドキャストでのこと。相手に聞きたいことを質問するコーナーで「温泉行くならどこ?」「太いタイヤの自転車ってどう思う?」といった気ままなやりとりが展開され、視聴者からは「本物の夫婦みたい」との声も多数寄せられた。まるで長年連れ添った夫婦のような空気感で会話を繰り広げる様子に2人の関係性がにじみ出ていたが、ドラマ本編に先行して“信頼”と“安心感”を提示できる俳優コンビは稀有だろう。
奇をてらった演出や過激な展開に頼らずとも、2人が画面に並ぶだけで物語に深みと説得力が生まれる。この“しっくり感”こそが、阿部×松の最大の強みであり、今作の中核をなす魅力であろう。
『しあわせな結婚』というタイトルが示すように、物語の本質は“夫婦の愛とは何か?”という普遍的なテーマにありそうだが、今度こそ“しあわせ”な夫婦になれるのか――その結末を見届けるのが、いま最も楽しみな夏の夜である。
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