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同ドラマは、数々の人気刑事ドラマシリーズを生んだテレビ朝日伝統の「水曜午後9時枠」で10年ぶりに誕生した新作。NHK大河ドラマ『龍馬伝』やフジテレビ系『HERO』などで知られるヒットメーカー・福田靖氏が脚本を手掛け、防犯カメラによる犯人追跡などの分析・追跡捜査を担当にする警視庁の「SSBC(捜査支援分析センター)」を舞台にした新しい刑事ドラマとなっている。
相葉は中途採用ながら警察庁からSSBCに出向してきた「キャリア組」で機動分析担当の名波凛太郎を、大森は問題を起こして捜査一課からSSBCに異動してきた名波の教育係・伊垣修二を、松下は警視庁捜査一課の主任・青柳遥を演じている。
佐藤浩市、遠藤憲一、伊藤淳史ら脇を固める共演陣も豪華で、公式サイトには「10年ぶりに新シリーズが始動」とシリーズ化を前提にしていることを示唆する文言が躍っている。
第1話は平均視聴率が世帯9.7%、個人5.3%(ビデオリサーチ調べ、関東地区/以下同)で好発進。第2話は世帯8.6%、個人4.7%、第3話が世帯8.3%、個人4.5%と微減傾向ながら、前クールに同枠で放送された井ノ原快彦主演『特捜9 final season』の数字を上回っている。
ネット上でも「芸達者な役者さんが多いからとにかくいろんなシーンが面白い」「相葉くんと遠藤憲一さんの掛け合いが最高」「松下奈緒さんの目の演技、見ていて震えた」などと高評価の声が続出しているようだ。
その一方、相葉の演技について批判的な意見も目立つ。SNSでは「相葉くんに刑事役が合っていない」という声が多いのだ。
相葉というと、バラエティで垣間見せる「いい人」の印象が強く、ドラマでもそのイメージを生かした作品は好評だった。2015年のフジテレビ系『ようこそ、わが家へ』、2021年のテレビ朝日系『和田家の男たち』、2024年のTBS系スペシャルドラマ『ひとりぼっち -人と人をつなぐ愛の物語-』などのホームドラマや、動物や飼い主に寄り添う優しい獣医師を演じた2018年のテレビ朝日系『僕とシッポと神楽坂』で演じた優しい獣医師役などは、まさにハマリ役だった。
2023年に主演したテレビ朝日系『今日からヒットマン』は殺し屋役に挑んだが、人当たりのいい平凡なサラリーマンが家族を守るためにヒットマンの仕事を請け負うことになるというコメディタッチの内容であり、無理なく演じられていた。
しかし、シリアスな刑事ドラマとなると「当たり役」がなく、ネット上の評価も割れがちだ。それが今作の賛否につながっているとみられる。
とはいえ、今回の名波凛太郎は従来のドラマの刑事像とは大きく異なる。刑事ドラマの主人公といえば、抜群の推理力を持った頭脳派か、悪に立ち向かう肉体派というパターンが多いが、凛太郎は今のところそのどちらにも当てはまらない。
むしろ捜査を混乱させることすらあるが、中途採用でキャリア組になった異色の経歴の持ち主で、伯父は内閣官房長官にして元警察庁長官というエリート家系。なにかの目的があってSSBCに異動してきたフシもあり、どこか謎めいたキャラクターとなっている。
今後、キャラクターの設定が徐々に明らかになっていけば、「なぜ相葉雅紀を刑事役に起用したのか」という制作側の狙いが見えてくる可能性もある。そう考えると、序盤での演技批判は時期尚早かもしれない。
局側はシリーズ化を前提にしているとみられ、今作が成功すれば相葉にとって俳優としての代表作となるのは間違いないだろう。従来の「いい人」イメージからの脱却できるかどうか、今後の演技に注目が集まりそうだ。
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