7月より順次スタートした2025年の夏ドラマ。今回はその中で、必見もののおススメベスト3を挙げていきたい。


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◆同率第3位
松本潤主演『19番目のカルテ』(TBS系)

松本が人気シリーズ『99.9-刑事専門弁護士』以来、約7年ぶりに日曜劇場主演に帰ってきた。どの診療科でも診断が出来ない複雑な症状を抱える患者を診る総合診療科の医師・徳重晃を演じている。他の専門医では異常が見られずたらい回しにされる患者の苦しみを見落とすことなく、冷静な判断力と鋭い観察眼で隠された病気を明らかにしていく徳重。

落ち着いた柔和な雰囲気は、2023年大河ドラマ『どうする家康』(NHK総合)主演を経て、40代に突入した松本だからこそ出せる深みだ。それが、難しい状況が続く中でも徳重なら何とかしてくれるだろうという視聴者の信頼感に繋がっている。

◆同率第3位
斎藤工主演『誘拐の日』(テレビ朝日系)

韓国同名ドラマの日本リメイク作品。間が悪くてお人好しな誘拐犯・新庄政宗を斎藤が、さらわれた記憶喪失の天才少女・七瀬凛を永尾柚乃が演じている。こんなにあわあわとしておっちょこちょいな斎藤の姿は珍しいが、新庄の根の優しさには共感が持てる。強気で口が達者な天才である凛は永尾に宛書きされたかのようで、そのおませぶりにはクスリと笑ってしまう。ただ、彼女の心の傷は深そうだ。

ひょんなことから二人は共犯関係にあるバディとなり、警察や怪しい男に次々と追われながら逃亡劇を繰り広げる。“巻き込まれ型”ヒューマンミステリーだけに先の展開が読めず、次回が気になって仕方がなくなる作品だ。


◆第2位
中村アン・小澤征悦主演『こんばんは、朝山家です。』(ABCテレビ・テレ朝系)

中村演じる“キレる妻”朝山朝子と、小澤演じる“残念な夫”賢太、そして二児を含めた四人家族が織りなすホームドラマ。脚本家である賢太は、家事・育児もそこそこに終日エゴサーチばかりする気弱なダメ夫だ。妻であり彼の事務所の社長でもある朝子は、家庭でも仕事場でも賢太にたまった鬱憤をぶつけ罵倒を繰り返す。朝子の言葉遣いは行き過ぎる時もあるが、言っていることには全国の妻が「うんうん」と首がもげるほど頷いてしまうのではないだろうか。

小学6年生で発達障害を抱える長男・晴太が不登校気味で周囲と協調できないことにより、夫婦のいざこざもヒートアップしていく。特筆すべきは晴太演じる嶋田鉄太のリアルすぎる演技だ。晴太の個性をよく捉え表現し、朝山家をぐずぐすとひょうひょうとかき乱していく。そんな晴太にかかりっきりの両親に反抗する高校1年生の長女・蝶子(渡邉心結)も含め、家族のドタバタ劇は毎度お馴染みになっている。

ドキュメンタリータッチで、視聴者は朝山家にお邪魔してその混沌の中で立ち尽くすような感覚に陥るのではないだろうか。この朝山家にどんなことが待っているのか、目が離せない。

◆第1位
阿部サダヲ主演『しあわせな結婚』(テレ朝系)

阿部演じる元検事の人気弁護士・原田幸太郎と、松たか子演じるミステリアスな高校の美術教師・鈴木ネルラによる令和の“マリッジ・サスペンス”。
ネルラは奇妙な点も多いが、それでも「女神」として受け入れ、彼女と電撃結婚した幸太郎。結婚後も、股関節の動きがおかしいクセの強い歩き方や、パンくずをバラバラとこぼす豪快なクロワッサンの食べ方からして、「大きな秘密」を抱えているというネルラが常人でないことは痛切に伝わる。それをキュートにしてみせる松もさすがだ。

第2話までで、ネルラには15年前に彼女の婚約者が死亡した事件の殺人容疑がかかっており、再捜査が行われることが明らかになる。事件の肝心な部分について記憶が無いと言うネルラや、幸太郎夫婦と鈴木家所有の4階建てマンションで同居するネルラの父、叔父、弟の異質な存在感について、早くも考察合戦が繰り広げられている。

真相に関わらず幸太郎はネルラを愛しぬくことが出来るのか、今後のネルラの寝相はどう変形していくのか、阿部&松コンビの行く末には期待しかない。

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