俳優の岸谷五朗と歌手の岸谷香の長男で、実業家・インフルエンサーとして活躍する岸谷蘭丸氏の言葉をきっかけに「親の七光り」論争が湧き起こっている。政界まで巻き込む騒動になっているが、有名人二世のメリットとデメリットについて改めて考えてみたい。


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発端は岸谷氏が、11日に公開された政治家との対談動画で立憲民主党に厳しい意見をぶつけたこと。これに対して、同党の米山隆一衆院議員が自身のXに「まだ起業しただけで、海のものとも山のものともつかないのが、親の七光りと特異な経歴で注目を浴び、それを自分の実力と勘違いして、知らない政治について大上段で放言したら時流に合って受けました、という方に見えます」(現在は削除)と投稿し、岸谷氏に反撃した。

これを受けて、岸谷氏はXで「『親の七光り』みたいな僕の出生持ち出して批判してくるのマジで卑怯だし、それをいう事で立憲民主党とご自身の印象がまた悪くなる事がわからないんですかね」と反論。

さらに、「親の七光り、って何なんですかね?僕は別に俳優や歌手をやってるわけでもなく、極力親と被らない教育事業や社会系で頑張ってるつもりなんですよね。極論、全ての能力は親に与えられた教育環境の賜物だし、何をしたら七光りじゃなくなるんだろうか?会社が上場でもすればいいんだろうか?苦しいです」「現状の僕はバラエティに出るでもなく親の話をして金を稼ぐでもなく、自分への批判をしっかり受ける様な生放送や対談中心に出てるつもりです」と、親の七光りという言葉への思いを吐露した。

ちなみに岸谷氏は、「芸能人の二世」として見られたくないとの思いから「柚木蘭丸」名義でインフルエンサーや実業家として実績を残した後、昨年12月から「岸谷」姓を名乗っている。本人が言うように親の名前を利用してきた印象はないが、「岸谷」を名乗り、両親の情報がオープンになってからメディアでの注目度が跳ね上がったというのは事実だ。

この騒動に対し、元自民党幹事長で政界引退を表明した石原伸晃氏が反応。「私も68歳になった今でも『親の七光り』でああだこうだ、と心無い言葉を日々浴びせられています」と切り出し、「ひどい時には、親(慎太郎)の七光り×叔父(裕次郎)の七光り×弟(良純)の七光り=石原家の二十一光りなどと書かれていることもあります(笑)」と有名人一家に生まれたがゆえの苦労を明かした。

こうしたやり取りに対して、ネット上の反応はさまざまだ。「スタート時点では無名より有利だろうけど、親が有名人の二世って苦労してる人の方が多いイメージ」「親の七光りだって別にいいじゃん。注目や評価をされ続けるのは間違いなく本人の力なんだから」といった同情の声がある一方、「有名人の二世だと何かしらの恩恵があるのは事実でしょ」「スタートラインに立つことすら難しい世界でも二世は楽に入ってこれるから、ふつうの人からしたら『ずるい』って思っちゃう」という意見もあり、賛否が分かれている。


芸能界では「二世タレント」が増え、政治の世界でも二世・三世ばかり。こうした現実を見れば「親の七光り」確かにはメリットと言えるだろう。

一方で、藤圭子さんの娘で歌手の宇多田ヒカル、渡辺謙の娘で女優の杏、沢村一樹の息子で若い女性からの人気が沸騰している俳優の野村康太など、親が有名人であることを前面に出さずにデビューした例も少なくない。岸谷氏も、当初は有名人の二世であることを明かしていなかった。そう考えると「親の七光り」はメリットばかりではないことが想像できる。

「親の七光り」のメリットとデメリットについて、端的に語っていたのが昭和の大スター・鶴田浩二さんの三女で女優の鶴田さやかだ。TBS系ドラマ『渡る世間は鬼ばかり』やNHK大河ドラマ『義経』などに出演してきた名女優だが、彼女はデビュー直後から父親譲りの端正な顔立ちで話題になり、まったく苦労することなくドラマや映画のオファーが続々と舞い込んできたという。

鶴田は過去にトーク番組で「本当なら演技の勉強を重ねて苦労しながら一歩ずつ階段を上っていかなければならないのに、私は『ここから上りなさい』と高い位置からのスタートが用意され、なんの疑問も持たずにそれを受け入れていた」と当時を振り返り、その状況を「自分の実力」だと思い込んでいたと明かした。
 
ところが、大スターの父が亡くなると状況が一変。彼女をチヤホヤしていた関係者が離れ、仕事も失い、“二世タレントの転落”を経験した。

「自分は何者でもなかった」と痛感した彼女は、それから大スターの娘ではなく一個人として奮起したことで再起を果たしたが、勘違いしたまま立ち直れないケースも少なからずある。有名人二世はなにかと色眼鏡で見られ、正当な評価を受けにくいのは大きなデメリットだ。


岸谷氏が吐露した苦悩も決して“ぜいたくな悩み”ではなく、それぞれ立場によって他人にはわからない苦労があるのだろう。結局、有名人の二世であろうと、最終的に問われるのは「本人の実力」であり、親の七光りだけで通用するような甘い世界ではないのだろう。

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