「ミス東大」「ミスオブミス」のWグランプリという華々しい経歴とともに芸能デビューした神谷明采。賛否両論となったグラビアデビュー、バラエティ出演、そして「港区女子」への鋭い指摘など、これまでさまざまな話題を呼んできた。
常に冷静な自己分析で道を切り拓いてきた彼女が、東大受験やミス東大、グラビア挑戦によって経験したこととは――(前後編の前編)。

【写真】ミス東大・ミスオブミスのWグランプリ受賞、ミス東大・神谷明采【4点】

――まず、東大を目指すようになったきっかけから教えていただけますか。

神谷 高校1年生の春、部活ばかりしていた自分の学力が、公立中学に進んだ友人たちよりも低いことに気づいたんです。その自分自身を許せなかったことが最初のきっかけです。

――部活ばかりしていたと。

神谷 高校2年生まで、週6日で新体操部の活動、それに加えて週3日でクラシックバレエのレッスンという生活を送っていました。勉強する時間はゼロでしたね。

――新体操とバレエ、どちらも非常に厳しい世界ですよね。

神谷 特に新体操は、幼い頃から骨格レベルでの柔軟性を持っていないと活躍できない厳しい世界です。上下関係もものすごく厳しいので、中学1年生のときは、高校2年生の先輩が本当に怖くて……。練習中に怒鳴られるのは当たり前ですし、理不尽なことで怒られているときの表情が悪いと「なんだその顔は」とさらに怒られる。「帰れ!」と言われることもありましたが、そう言われて本当に帰ったらダメだということは、部活動で学びました(笑)。


――そんな生活から一変し、学業の世界に。

神谷 部活動と同じで「考えるより動く」という根性で取り組んでいました。なので、自分は頭がいいという意識は全くなかったです。

――勉強もスポーツと同じということですか?

神谷 そうです。スポーツって最初はできないことだらけですが、繰り返しているうちに何も考えずに自然とできるようになる。英語も同じで、最初は何も読めなくても、毎日大量の英文に触れているうちに、気づいたらスラスラ読めるようになっている。「あれ?なんか簡単だぞ?」って。

――根性論で受験を乗り越えていたとは思いませんでした。一浪の末、東大に合格されますが、この1年間の浪人経験は、今振り返るとどういったものですか?

神谷 人生で最も大きな経験だったことは間違いありません。現役で不合格になったとき、本当に大きな屈辱を味わいました。自分の人生で初めて「負けた」という経験でしたから。その挫折があったからこそ、変なプライドがなくなって、今の自分があるんだと思います。


――もし現役で合格していたら、違う人生があったと思いますか?

神谷 東大の応援部(チアリーダーズ)を4年間続けて、いい会社に就職して……という、先が見える安定した人生を送っていたと思います。ミスコンにも出ていなかったでしょうね。

――では、浪人したこと、そしてその後のコロナ禍が、芸能活動への道を開いたと?

神谷 そうです。浪人で時空が歪み、それをコロナ禍がさらに加速させてくれたことでミスコンに出場し、芸能活動にここまで打ち込むことができました。そういう意味では、私にとってコロナ禍は自身を見つめ直すきっかけなのかもしれません。

――2023年にはグラビアデビューされましたが、賛否を呼ぶ結果となりました。まず、グラビアに挑戦した理由をお聞かせください。

神谷 差別化のためです。ミス東大でグランプリを獲った直後は、テレビにも呼んでいただけてすごく楽しかったんです。でも、当時の私はまだ若くて「賢く見せたい」というプライドが邪魔をして、うまく立ち回れませんでした。結果、次第に画面から消えていきました。

――挫折を経験されたと。


神谷 はい。毎年、新しいミス東大は生まれるし、上にも下にも同じような経歴の子はたくさんいる。みんな「賢く見られたい」「コメンテーターになりたい」と思っていて、美貌も知性もアピールする。その中で、どうやって自分を差別化するか考えたときに「変なやつになるしかない」と思ったんです。誰もやっていないことをやらなければ、埋もれてしまう。その答えが、私にとってはグラビアでした。

――まさに戦略的な決断だったんですね。

神谷 仕事を取るため、目立つため。もう、それだけです。もちろん、性的な目で見られるという面には、抵抗はあります。でも、仕事だからできる。営業マンはお客さんの機嫌を取るために頭を下げたりしますよね。
仕事のためなら、多少抵抗があることでもやる。それと全く同じ感覚です。

――そして、グラビアデビューは「東大生がケツ出してんじゃねえ」というフレーズと共に、大きな炎上を巻き起こしました。

神谷 炎上は、ある程度は予想していました。今までのミス東大出身者で、あそこまでグラビアをやった人はいなかったですから。正直、そんなに大きな騒ぎになるとは思っていませんでしたが、それ以降炎上すると「またあいつか」「またバカなことやってる」と言われるようになりました。結果、私に注目が集まって仕事が来る。そう考えたら「ありがとうございます。もっと言ってください」という気持ちでした。「あなたたちのおかげで、私に仕事が来るんですよ」って(笑)。

――現在はエッセイの連載もされていますが、そこで「港区女子がアイドル化している」という表現をされていました。「アイドル化」とは一体どういうことなんでしょうか。


神谷 今、SNSを見ると、キャバ嬢やラウンジで働く女の子たちが、ものすごい数のフォロワーを抱えて、神格化されていますよね。彼女たちがブランド品を身につけてキラキラした生活を発信すると、それを見た同世代の女の子たちが「かわいい」「私もあんな風になりたい」と憧れの対象にしてしまう。これが、私が言う「アイドル化」です。私から見れば「害悪の極み」でしかないんです。

――かなり強い言葉ですね。

神谷 若さをマネタイズすることは否定しません。でも、なぜ自分の力でキャリアを築こうとしないのか。なぜ男性から搾取することしか考えないのか。すごく人生がもったいないじゃないですか。人それぞれ考え方が違うことは理解していますが、経済的に自立していなければ、いざという時に離婚もできないし、住む場所も変えられない、海外で働くこともできない。自分の人生の決定権を、他人に委ねてはいけないんです。知的資産でも経済的な資産でも、何でもいい。
自分の足で立つための武器を持たずに、人の言うことを聞いて生きていくなんて、私には考えられません。「自分の人生は、自分で決めなさい」と、強く言いたいです。

▽神谷明采
2000年4月19日生まれ、埼玉県出身。東京大学在学中の2020年に「ミス東大」、翌年「ミス・オブ・ミス」グランプリを受賞し注目を集める。モデル・タレントとして活動する傍ら、SNSでの発信やイベント出演など多方面で活躍。2023年にグラビアデビューを果たすも、「東大生が脱ぐこと」への賛否がネット上で巻き起こり、大きな話題となった。2024年に東京大学経済学部経済学科を卒業し、現在は東京大学公共政策大学院に在籍中。
公式Instagram
https://www.instagram.com/asa_kamiya 

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