「ママ、助けて!」──イベント会場で困った娘のもとへ、母が“シュッ”と駆け寄る。そんな温かいエピソードを話すのは徳島発の現役高校2年生のコスプレイヤー・ててのさんと、同じくコスプレイヤーであり、時に友達、時に最強のボディガードでもある母・クロスケさん。
実の親子であり、相棒でもある二人が語る、唯一無二の絆とこれからの物語を訊いてみた。(前中後編の後編)>>前編・中編は下の関連記事からご覧ください。

【写真】現役JKレイヤー・ててのとママレイヤー・クロスケの親子コスプレカット【11点】

――親子でコスプレ活動をされていますが、周りからの反応はいかがですか?

クロスケさん 「親子なんですか!?」って大体びっくりされますね。

ててのさん うん、びっくりされるね。

――イベントへはいつも2人で参加するのですか?

クロスケさん 基本2人でイベントに行くのですが、現地に着いたら各々で楽しむことも多いですね。

ててのさん なにか困ったことがあったら、だいたいママ、ママ……って呼びます(笑)。

クロスケさん そうね(笑)。ちょっと困ってるかなと思ったら私がシュッと入ります。

ててのさん 一番信頼できて安心できるので。

――まさに最強のボディガードですね。コスプレを始めたことで、ご自身の内面に変化はありましたか?

ててのさん 中学生の時は、「ガチの人見知り」でした。全然喋れない……。
今でも苦手ですけど。

クロスケさん でも、最近はマシになってきたよね。「知らない人と喋れてる!」と思う場面を見る機会が増えました。

――その変化のキッカケは何だったのでしょうか?

ててのさん コスプレを始めたのもありますし、いい友達に出会えたのも大きいと思います。でも交流とかまだまだ苦手で…。他のレイヤーさんに声をかけたいんですけど……急に声かけたら迷惑かな、みたいに思っちゃって。自分から行くのは難しいです。

――なんと優しい……。でも、ててのさんのような素敵な方に声をかけられて、嫌がる人はいないと思いますよ。

クロスケさん そうそう。「何この子!大好き!」ってなりますよね(笑)。

ててのさん えぇー、でも「誰この人?」ってなりません?怖い……。


――ててのさんにとって、お母さんはどんな存在ですか?

ててのさん うーん……とりあえず優しいです。友達みたいな感覚もあります。なのでお母さん6割、友達4割ぐらいですかね。

――では、クロスケさんにとって娘さんは?

クロスケさん え、私も自分が「お母さん」っていう感覚があんまりないんで、本当に友達っていう感じですね。できることなら「姉妹」って言いたいな(笑)。

――お互いに「友達」と思えるのは共通の趣味があることも大きな要因ですよね。

クロスケさん それは大きいと思います。一緒にコスプレイベントへ行って、アニメを観て。だいたい馬鹿なことして一緒に遊んでますね。ただ、推しの好みは全然違うんですよ。私は2次元のイケメンが好きで、ててのは可愛い女の子が好き。だから推し被りすることもなく気持ちよくオタクできていると思います。


――では、お互いに「ここを直してほしい」という点はありますか?

クロスケさん 片付けてほしい(笑)。

――(笑)。それは日常的に?それともイベントの時ですか?

クロスケさん イベントの後かな。メイク道具とか、全部広げるのはいいんですけど、そのままにしちゃうんで(笑)。

――ててのさん、反撃のチャンスですが、お母さんに直してほしいところは?

ててのさん (食い気味に)NG、NGです!これは言えません!

クロスケさん ねえ!やばい人みたいじゃん(笑)。

――仲良しですね(笑)。現在ててのさんは高校生ですが、今後の活動はどのようにお考えですか?

ててのさん 卒業したら、東京に上京しようと思ってます。

――上京ですか!それは、何か学びたいことがあるとか?

ててのさん いや、東京の方がイベントがいっぱいあるので。「コミケ」も東京だし、「東京ゲームショウ」とか「ニコニコ超会議」とか、大きいイベントがたくさんあるから。遠征だと交通費もかかるんで、東京に住みます。

――娘さんの上京、お母さんとしては……。

クロスケさん 寂しいけど……まあ、でも、一番コスプレが楽しい時期にね、やりたいことをやった方がいいのかなって。


――すごく寂しそうです。

クロスケさん そりゃ寂しいですよ。もしかしたら東京について行ってるかもしれません(笑)。

――では上京して、さらにコスプレ活動に力を入れていくと思いますが、具体的な目標はありますか?

ててのさん オフィシャルのコスプレイヤーをやってみたいです。自分の知らないキャラクターでもしっかりインプットをして、その子にあった表現をやりたい。

クロスケさん この子は、コスプレをやるって決めたキャラのことはとことん考えるんです。メイクもそうだし、ポージングについても、前日に「このポージングどうかな?」「どこまで足上げたら(原作に)近くなるかな?」と鏡の前で練習したりする時もあるよね。

――お二人での目標というのは何かありますか?

クロスケさん 親子のキャラクターを、“本物“の親子で併せをするという夢はもう達成したんです。だから、これからは2人で何かを成し遂げるというよりは、それぞれが楽しんでいきたいねって話しをしています。私は、いつまでコスプレができるかわからないのでね。……まさか40歳手前になるまでやってるとは思っていなかったですし(笑)。でも、まだやりたいキャラがどんどん出てきて終わらない。
やめるまでは、一緒に遊びたいなとは思ってます。

【前編】娘と楽しむコスプレ、親子レイヤーが語る趣味と子育ての両立「一緒にやれて本当に良かった」
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