「ミスSPA!2024」グランプリ、そして50着以上の自作衣装「のえぐら」でグラビア界に新たな風を吹かせる三田のえ。その独創的な活動で注目を集める彼女だが、素顔は「とても恥ずかしがり屋」だと語る。
かつてはコタツに隠れて幼稚園を休もうとし、アイドル活動ではファンとの交流に悩み挫折を経験した。そんな彼女が、いかにしてコンプレックスを乗り越え、唯一無二の存在感を放つに至ったのか。その原点と葛藤の軌跡を辿る。(前後編の前編)

【写真】ミスSPA!2024グランプリ・三田のえの撮り下ろしカット【12点】

――SNSでの投稿を拝見して意外だったのですが、ご自身では「恥ずかしがり屋」だと感じているとか。

三田 そうですね。とても恥ずかしがり屋だと思います。考えすぎてしまって、余計に恥ずかしくなるタイプで……。

――昔からそういう性格だったのでしょうか。

三田 幼稚園の時はとにかく泣き虫で、人と話すのが苦手だから友達作りもできなくて。いつも先生のそばにいるような子でしたね。参観日でお母さんが来ている日は、絶対に泣いてしまって、途中で一緒に帰らせてもらうくらい大変な子でした(笑)。とにかく幼稚園に行くのが嫌で。
バスが迎えに来る前にコタツの中に隠れていれば、バレずに休めるんじゃないかと思って隠れたり、家の柱にしがみついて先生に引き剥がされたりしていた記憶があります。

――そんな内気な少女が、なぜ人前に出る芸能界に興味を?

三田 高校生の時、クラシックが好きで音楽科に入ったんですけど、楽器の演奏が特別得意なわけではなくて……。周りは本当に上手い子たちばかりで、クラスの中には演奏の上手さで決まるカーストみたいなものがあったんです。それで「自分はここに居場所がないな」って毎日悩んでいました。将来はクラシックの面白さを伝えられる先生になりたいと思っていたんですけど、自分が子供だったら絶対に上手い先生に習いたいだろうなって。そう考えたら、私なんかが先生になるのは申し訳ないなって思ってしまって。

自分には何ができるんだろうって悩んでいた時に、テレビ番組の企画でアーティストさんが学校に来たんです。

――それがキッカケ?

三田 アーティストさんたちを見た時の、他の生徒たちの熱狂ぶりが信じられなくて。授業を放棄して走ってくる子もいたし、次の日にアーティストさんが立っていた場所を見て泣いている子までいて。「こんなに誰かを喜ばせられる、興奮させられる人たちってなんてすごいんだろう」って衝撃を受けました。その時に、私もこういう世界を知りたい、やってみたいって思ったんです。

――それが大きな転機になったと。


三田 その番組があった1ヶ月後くらいに、ちょうど養成所のオーディションの締め切りが迫っているのを見つけてすぐに応募しました。高校3年生だったので、平日は地元の高校に通って、土日だけ東京に出てきて養成所でレッスンを受ける生活をしていました。そして高校卒業と同時に、本格的に活動するために双子の兄と一緒に上京しました。

――すごい行動力ですね。養成所ではどんなことを?

三田 総合コースに入って、演技、歌、ダンス、モデルと、一通りのことを学びました。その中で、自分が何に向いているか見つけられたらいいなと。やっていくうちに、一番面白いと感じたのが演技でしたね。

――では、女優を目指して活動を?

三田 そのつもりでした。養成所の卒業時には、事務所が100社くらい集まるオーディションがあって、何社かお声がけいただいた中で面接をしたんですけど、芸能界のことを何も知らないから、「一番自信がありそうな人についていこう」って思いました(笑)。その方に「アイドルに興味ある?」って聞かれて、「演技がやりたい」ってはっきり答えると「アイドルやらなくても大丈夫だよ」と言われたので、じゃあここにしようと。

――もともとアイドル活動もされていましたよね?話が違った、と。

三田 はい(笑)。
所属が決まったら、「いや、アイドルやらないと」って言われて。「え、やらなくていいって言ってたのに……」と思ったんですけど、もう後には引けなくて。まあ、何も知らない世界だから、とりあえず頑張ってみようかなって。そうして、アイドルグループの一員としてデビューすることになりました。

――実際にアイドル活動を始めてみて、いかがでしたか?

三田 ……それが、やっぱり自分の性格に合っていなかったんだと思います。一番大きかったのは、ファンの方とのコミュニケーションですね。特典会とかでうまく喋れなくて。

――考えすぎてしまう性格が影響したのでしょうか。

三田 まさに。応援してくれて本当に嬉しいし、大好きだって思っているのに、その気持ちをどう表現したらいいか分からなくて。「私がファンの方の名前を呼んだら馴れ馴れしいって思われるかな」「『好き』なんて言ったら、釣ってるって思われるかな」とか。デビューライブも緊張で泣きながらステージに立ったくらいなので、そんな私が急にフレンドリーになったら「キャラ変したのかな」って思われるんじゃないかとか……。


――ファンの方に申し訳ないという気持ちが。

三田 強かったですね。それに、私はクラシックをやっていたので、「完璧なものを届けなきゃいけない」という意識がすごく強くて。アイドルが持つ「成長過程をファンに応援してもらう」という文化が、どうしても理解できなかったんです。ライブで少しでも音を外すと「あ、終わった……」ってなって、笑顔でいることができなくなってしまう。もっとうまくやれる、ファンを楽しませられる子がやった方が、お客さんも幸せだろうなってずっと思っていました。

――それで卒業を決意したんですね。

三田 はい。辞めてから、アイドルのライブを外側から観て、「完璧じゃなくても可愛いってこういうことか」って理解できたんです。もっと早く気づけていたら、違ったのかもしれないですけどね。

▽三田のえ(みた・のえ)
2002年2月13日生まれ、栃木県出身。T151、B80(Fカップ)・W55・H84。

高校時代に芸能界に興味を持ち、卒業と同時に上京。アイドルグループ「Fragrant Drive」のメンバーとして1年半活動後、卒業。現在はグラビアモデルとして撮影会を中心に活動する傍ら、50着以上にもなる自作衣装「のえぐら」を制作し、その独創性で注目を集める。2024年、「ミスSPA!2024」でグランプリを獲得。カメラマン(映像アシスタント)としての一面も持つ。

【後編】アイドル挫折から「ミスSPA!」女王へ…三田のえ「水着より人前で歌う方が恥ずかしいです」
編集部おすすめ