【関連写真】田中みな実、『VOCE』で見惚れるほど美しい背中を披露
田中みな実ほど、世間からのイメージを自らの武器にしてきた女子アナは珍しい。局アナ時代は、とことん振り切ったぶりっ子キャラで注目を浴びた。2014年にTBSを退社するまで、徹底して「求められる田中みな実像」を演じ切ったといえる。その後フリーに転身してからもしばらくはキャラクターを継続していたが、次第に美容家としての一面をのぞかせ始めた。
2020年に雑誌『VOCE』(講談社)で“最も美しい人”に選ばれたときには、すでに女性から圧倒的な支持を獲得していた。同時期にMCを務めた『あざとくて何が悪いの?』(テレビ朝日)では、こじらせ女子的な一面をさらけ出し、さらにドラマ『M 愛すべき人がいて』(テレビ朝日)では眼帯姿の怪女を怪演。こうして彼女は、かつてのぶりっ子キャラから少しずつ距離を置きながら、新しい顔を提示していった。
それでも世間の印象は「ぶりっ子」「あざとい」といったものが根強く、出演作品でも一癖ある役柄を演じることが多かった。
転機となったのは、2023年放送の『あなたがしてくれなくても』(フジテレビ)である。ファッション誌の副編集長というバリキャリ役に抜擢された田中は、華やかな世界で仕事を最優先し続けた結果、夫とセックスレスになってしまう女性を演じた。流行りのファッションに身を包み、仕事に没頭する姿は、田中がもしアナウンサーになっていなければこんな人生を歩んでいたのでは、と想像させるほど。キャリアと私生活に揺れる繊細な感情を丁寧に表現し、新境地を切り開いたのだ。
以降、田中は『ばらかもん』『ギークス~警察署の変人たち~』と、フジテレビ作品に立て続けに出演。そして現在放送中の『愛の、がっこう。』へとつながっていく。
本作で田中が演じる百々子は、テレビ局の報道番組デスクで働く35歳。取材に追われる日々を送りながらも、親友である愛実に的確なアドバイスを送り、物語を整理する役割を担っている。キャラクターとしては『あなたがしてくれなくても』に通じる部分もあるが、今回はより女性性をそぎ落とした“ハンサムさ”が際立つ。
男社会を生き抜いてきたということもあってか、服装は極めてシンプルで仕草も男性的。足を大きく開いてワイルドに座る仕草も印象的だった。美容やファッションにこだわり、自らの女性性を強調してきた田中とは対照的な役柄だが、その演技は驚くほど自然だった。
飾りを削ぎ落とし、媚びずに立つ姿は、むしろ素顔の田中みな実を垣間見ているような説得力すらある。計算し尽くされた美しさで注目を集めてきた彼女が、今度は“引き算の魅力”で観客を惹きつける。そのギャップこそが、新しい田中みな実の武器となっていくのだろう。
ぶりっ子キャラを卒業し、女優として進化を続ける田中みな実。40代を前に、どのように自らのキャラクター像を操っていくのか。これからの彼女の活躍が楽しみである。
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