【写真】純烈リードボーカル・白川裕二郎の撮り下ろしカット【3点】
――健康センターで歌うようになったきっかけを教えてください。
白川 歌うところがなかったんですよ。当時はキャバレーで歌わせてもらうこともあったんですが、基本的に男性が女性を口説きに来る場所なので、僕たちのターゲット層である女性のお客さんは行きにくい場所でした。そんなときに、たまたまテリー伊藤さんがキャバレーに来てくださって、「お前ら、平成の時代にムード歌謡をやってて面白いじゃないか」と言ってくださったんです。当時、テリーさんは日テレの『スッキリ!!』に出ていらっしゃって、「番組で取り上げるから出ろよ」と密着取材をしてくださいました。その前にテリーさんのラジオにも呼んでくださったんですが、そのときに告知することってキャバレーしかなかったんですよね。でも、健康センターの人たちが『スッキリ!!』を見てくれて「彼らは面白いね」ということで呼んでくださったんです。
――健康センター側から直で声がかかったんですか!
白川 初めて健康センターに行ったときは、飯は食えるし、風呂に入れるし、おまけにギャラももらえる。「ここは楽園だ」と思いました。これは次も頑張らなきゃいけない、何もなかった僕たちにとっては「しがみついて離さないぞ!」という感覚でした。当時、そこまでファンの数もいなかったんですが、初めて健康センターで純烈を見た方にも、「アンケートに純烈良かったねと書いてね」と頼みました。
――個人的に健康センターは大衆演劇や歌謡ショーのイメージが強いです。
白川 健康センターでやり始めた頃、周りからは「一回バーンって世に出た人たちが都落ちして健康センターでやってる」みたいなことを言われたんですよね。それを僕たちも鵜呑みにして、健康センターをやめた時期もあったんです。でも、そんなことはないだろうと続けました。そしたら、いつの間にか多数のメディアで取り上げてくださって、いつしか「スーパー銭湯アイドル」と呼ばれるようになって。それが今、全国的に広がって、僕たちだけじゃなくて、後輩の歌い手さんたちも健康センターで活動するようになりました。
――純烈の登場で健康センターの客層も変化したでしょうね。
白川 僕たちのファンになった方々は、もともと健康センターに行かない人がほとんどでした。もちろん重鎮と言われる常連さんもいるんですが、初めての人たちがたくさん来るようになって。いつしか健康センターがすごい熱気になって、お風呂に入る場所なのに、お風呂に入らないで、みんなでお酒を飲みながら純烈を見る人たちが増えたんです。
――初期の頃は、どんな雰囲気だったんですか。
白川 僕たちも若かったし、ファンの人たちも若かったから、すごくエネルギッシュでした。当時は黄色い声援で、ちゃんと声も出ていたんですが、だんだん声がグレーになっていきましたね(笑)。今は30代、40代の方も増えましたが、当時は年配の方に混じって10代の高校生もいて、不思議な光景でした。あと「星降る街角」なんかを歌うと、後ろのほうで踊るおばちゃんやおじちゃんがいて、中にはテンションが上がり過ぎて、ジュリアナみたいに椅子の上に乗っちゃう人もいました(笑)。
――純烈にとってのターニングポイントを教えてください。
白川 東野幸治さんがMCをやられていた『なにゆえのカリスマ!?』という番組があって、まだ世の中には認知されていないけど、ある場所に行くと、すごく人気があって盛り上がっているものを紹介する内容でした。その番組がファンのおばちゃんたちに密着してくれて、スタジオにも呼ばれるんですが、「この人たちが応援している純烈です」みたいな感じで純烈も出演したんです。それがオンエアされた翌日からマネージャーの電話が鳴りっぱなしで、業界の人たちも食いついてくれました。
――ファンの熱量が注目されたということでしょうか?
白川 そうです。あまりにもファンの人が面白くて、「え!? こんなにすごいの?」みたいな。僕たちはそれが当たり前だと思っていたんですけど、他の人からしたら衝撃的だったみたいです。
――演歌歌手のファンの方とはちょっと違う?
白川 演歌歌手の方たちは先生がいらっしゃって、「〇〇先生が作っていただいた曲を、心を込めて歌わせていただきます」みたいに、きっちりされているじゃないですか。
――面白さは最初から狙っていた部分もあったのでしょうか?
白川 当初は台本があったんですよ。特に僕はおしゃべりが苦手だから、小田井さんが台本を作ってくれて、「あなたはここで何々を言って」みたいなことが書かれていたんですが、徐々に台本通りやらなくなったんです。それをやっちゃうと、みんなの面白さがなくなっちゃう。出たとこ勝負、素で行っちゃおうぜみたいな。それが面白さにつながっていく。そうやって早めに切り替えていったことがプラスになったんです。いろいろな意味で純烈は前例のないグループなんですよね。
『純烈ドキュメンタリー 死ぬまで推すのか』
2025年9月5日(金)よりTOHOシネマズ日比谷ほか、1週間限定上映!
「純烈」酒井一圭 白川裕二郎 後上翔太
岩永洋昭 林田達也 小田井涼平 スーパー・ササダンゴ・マシン 小池竹見
ナレーション:今林久弥 プロデューサー:高根順次 監督:岩淵弘樹
配給:NAKACHIKA PICTURES 企画:三角フィルムズ
公式サイト:https://junretsu-film2025.com/
公式Instagram:https://www.instagram.com/junretsufilm2025/
公式X:https://x.com/junretsu2025
【前編】純烈・白川裕二郎が明かす挫折と決意──俳優業の限界、貯金を食いつぶし「絶対無理」と言われても