【写真】3年ぶりにアニメ映画で主演を務めた原菜乃華の撮り下ろしカット【4点】
――インタビュー前半で、よくご自身のことをネガティブと話していました。それでも今作での声優や、『【推しの子】』有馬かなとしての歌やダンスなど、演技にとどまらない活躍をしてきたと思います。原動力は?
原 ネガティブだからこそ、人よりも頑張って皆に追いつこうという気持ちになれるんだと思います。楽観的にはなれなくて、不安になったり、できないかもという気持ちを原動力にしてきたのが私ですね。
――その分、努力では負けない、というプライドも?
原 いえ、要領も悪くて不器用なので(笑)、人の倍やらないとうまくなれないんです。台本の覚えも早くないですし……子役でいた頃から現場でも求められることを敏感に察知できる方ではなくて「うまくできないな」って悔しく思ってばかりでした。だから努力を誇るような気持ちもなくて、私にとって頑張ることは焦りや不安の裏返しです。
――それでも役者の仕事が好きなんだと思いますが、その原点は。
原 物心ついた時からお芝居が大好きでした。小学生の頃は、外で遊ぶよりも家に早く帰って、一人でドラマを観たり、好きなドラマの文庫本を買ってきて、鏡の前でセリフを読んで遊んだりしていましたね。
――そうして子役から芸能界入りしましたが、例えば他の職業への興味はなかったのでしょうか。
原 なかったですね。
――アニメ・大河ドラマ・朝ドラと、毎年のように出演作品が話題になり、注目の俳優の一人に数えられていると思いますが、何か実感はありますか。
原 実感は全然ないです(笑)。なので、出させていただいた作品を街角で見かけたりしても不思議な気分ですね。でも作品の感想などをお手紙でもらえると、勇気がもらえますし活力になります。
――そんな中で、大切にしている習慣はありますか。
原 文章を書くことが好きです。作品を観たり、誰かと話したりして心が強く動いた時に、その気持ちを文章にすることで、もやもやした感情が整理されていくんです。人には見せないんですが、その時感じたことを思い出せるように、自分の心と向き合う大切な習慣になっています。
――沢山の作品に出演してきましたが、憧れの俳優、といえる存在がいたら教えてください。
原 今の事務所の社長でもある小栗旬さんです。後輩の私にもいつも優しく声をかけてくれて、皆さんから慕われています。
――今、22歳の原さんにとって、今後挑戦してみたい役柄はありますか?
原 声優としては、これまで人間の役が続いたので、次は動物とか、モノとか(笑)、人間以外のキャラクターを演じてみたいです。実写では制服を着る役が多かったので、大人の職業に興味があります。医療ドラマや弁護士の役など、専門用語をたくさん使うような役柄に惹かれます。でも実は、「こうなりたい」という具体的な目標はあまりないんですね。
――具体的な目標がない。ということは、今はひたすら演じることが好きで、芝居を究めている時間が楽しい、という日々でしょうか。
原 そうですね。「お芝居をずっと続けていて、気づいたらおばあちゃんになっていた」というのが私の理想の人生です。これからも一つ一つのお仕事と真摯に向き合っていきたいです。
▽原菜乃華 はら・なのか
2003年8月26日、東京都生まれ。子役で芸能界入りし、2017年に『はらはらなのか。
【前編】「自分の声が嫌いだった」――原菜乃華が明かすネガティブと再生、3年ぶり声優挑戦の舞台裏