俳優・アーティストののんが主演を務めるオリジナルドラマ『MISS KING / ミス・キング』(全8話)が、9月29日(月)20時より「ABEMA」にて無料配信開始、Netflixで世界同時配信される。今回、主人公・国見飛鳥を演じる、のんの囲み取材が実施された。


【写真】主人公・国見飛鳥を演じるのんの囲み取材会【7点】

「ABEMA」オリジナルドラマ『MISS KING / ミス・キング』は、天才棋士の父に人生を奪われた主人公・国見飛鳥が、その深い憎しみから開花させた才能と、まっすぐに突き進む意志の強さで、自らの人生を取り戻していくヒューマンドラマ。

辛い過去と向き合いながらも、前に進もうとする力強い女性の姿が丁寧に描かれる。“盤上のダークヒーロー”となる主人公・国見飛鳥を演じるのは、今年の話題作に立て続けに出演し、俳優としての進化が大きく評価されている、のん。

そして飛鳥とバディを組み、飛鳥の父へ復讐を企てる"元棋士のヒモ男"藤堂成悟を藤木直人、復讐計画を見守る藤堂の恋人・堺礼子役には倉科カナ、飛鳥が人生を懸けて復讐する父親であり“天才棋士”の結城彰一役に中村獅童が出演する。

さらに奥貫薫、森愁斗、鳴海唯、西岡德馬山口紗弥加ら豪華キャストが集結。本作の世界観を凝縮した本予告映像も公開となり、反響を集めている。

本予告映像からも伝わる、のんの“新境地”とも言える本作。今回、主人公・国見飛鳥を演じるのんの囲み取材会が実施され、『MISS KING / ミス・キング』の見どころや、撮影時の共演者とのエピソード、さらには将棋に感じた魅力などが明かされた。

――脚本を読んだ感想を教えてください

のん とにかく「凄く面白そう!」と思いました。将棋という題材もこれまで頂いた事のないものだったのでワクワクしましたし、飛鳥が徐々に自分を開放して将棋にのめり込んでいく様子も魅力的で、やり甲斐を感じました。私は将棋のルールも知らなくて駒にも触ったことがなかったので、最初は「私に理解できるかな?」という不安がありました。でもそれ以上に飛鳥が好きを止められなくなっていく過程と物語に面白味を感じました。


――どん底からスタートする国見飛鳥を、明るいイメージののんさんが演じるギャップも注目です

のん ここまで笑顔を見せないキャラクターは、私自身初めてかもしれません。不幸を背負うとかみじめな思いをするとか、そういう背景を持つ役は今までやったことがなくて、脚本を読んでいる時はどのような解釈で飛鳥を演じようかと楽しい気持ちでいましたが、いざ現場に入って演じてみたら…毎日が重たい(笑)。シーン的に飛鳥の気持ちが荒んでいる状況が続いたりすると、自分もそのシーンを疑似体験することになるので、飛鳥と一緒に重たい感じになっていました。理由はわからないけれどダルいとか、撮影は早く終わったのに何故か疲れているとか、引きずり込まれる感覚がありました。

――初体験の将棋はどのように体得されていきましたか?

のん 将棋監修の先生からの「1日100回指せば絶対上手くなりますから!」という言葉を胸に、撮影に入る1か月くらい前から毎日コツコツやっていました。手に駒が馴染むように、朝起きてご飯を食べながら空いている手で駒を掴んだり“ながら将棋”もしていました(笑)。先生は駒を掴んで持ち替える時に、中指をアーチ状にまげて摘まむようにしていましたが、そのアーチ状を作るのがまず難しかった。最初の頃は駒が四方八方に吹っ飛んでいましたが、練習を重ねるうちにアーチ状を保てるようになって。そうなると10回に1回しか上手く指せなかった駒が徐々に安定して5回に1回、3回に1回になってくる。やっていくうちに駒の掴み方、滑らせ方のコツがわかるようになって、もしかしたら力の調節に必要な指の筋肉が発達したのかもしれません(笑)。

――技術面に加えて棋士の所作も研究されたそうですね

のん 撮影に入る前はABEMAの将棋番組を見て色々と勉強させてもらいました。ドラマや映画の対局シーンはカットが割られて、表情や状況が切り取られるのでドラマチックに見えますが、実際の対局は全体的に静謐。
棋士が何を狙って何を考えて指しているのかわからないし、考えている仕草も無意識の中に色々なバリエーションがあって、演技ではないからこその奥深さを感じました。

――実際に対局場面の撮影に臨んだ感想は?

のん 演技をしながら指すとなると本当に難しくて、何も考えず“ながら将棋”をしていた時は結構上手く出来ていたはずなのに、いざ現場に行ってカメラが回って飛鳥としての感情を込めてみると「え!?どうして…」という瞬間が多々ありました。将棋盤を挟んでミニマムな場所の中で演技をしていくので、対局シーンは長かったりすると色々なリアクションが必要です。駒を動かすのにも理由があるわけで、山岸聖太監督や将棋監修の先生方から感情面の説明をしていただきつつ、それに合わせた表情をする。棋譜と差し手を覚えながら、そこに演技を掛け合わせていくのが難しかったです。

――偉大な棋士であると同時に飛鳥の復讐相手である父・結城彰一を演じた中村獅童さんの印象は?

のん 中村獅童さんはお父さんでありながら飛鳥にとって最大の復讐相手でもあるので、緊張感を保つためにあえて遠い距離感で接してくれました。対局の撮影中はほとんど会話を交わすことがありませんでしたが、最終日にはとても優しく話しかけてもらえて、私のインスタをフォローしたことを教えてくれました。実は私も密かに獅童さんのインスタをチェックしていて、フォローをしたら変かなと躊躇していたので…。その話を伺ってすぐにフォローして相互フォローの関係になりました(笑)

――飛鳥が本音を吐ける堺礼子(倉科カナ)の店での撮影はいかがでしたか?

のん 倉科カナさんとの撮影は癒しでした。礼子さんは優しい一方で啖呵を切るようなカッコいい一面がありますが、倉科さんが包み込むような優しさで礼子さんを表現してくれたからこそ、飛鳥が礼子さんに心を開いた理由がわかったし、私自身もとても楽しかったです。ただ礼子さんのお店でもシリアスな場面が結構あるので、倉科さんに癒されたと思ったらまた緊張して…という緩急に、まるで癒しと緊張のミルフィーユだなと感じました(笑)

――師弟のような関係を築く藤堂成悟(藤木直人)とのバディ感も見どころですね

のん バディを組む藤木さんとは、最初にお会いした時「めっちゃカッコいい!」と思ってテンションが上がりました。佇まいや表現、仕草に色気があって痺れました。
藤木さんが藤堂さんのような荒っぽい役を演じられるのも意外で新鮮だったので、藤堂さんの荒っぽさと藤木さんの色気が合わさってメチャクチャカッコいい役だなと思いました。気遣いも細やかで、夜遅くの肌寒い日に熱々の肉まんを機械ごと差し入れてくださって、私は2個も食べてしまいました!

――今回のドラマを通じて感じた将棋の魅力はなんでしょう?

のん 将棋の世界には“感想戦”という文化があって、はっきりと勝ち負けがでる中で負けた方もポジティブに取り組まなければならなくて、これは将棋ならではの独特な世界だと思いました。勝って終わりではなく、最後の最後まで将棋や対局相手と対話するというのが面白くて、そんな将棋を突き詰めようとする人たちが沢山いるという事実にも心が震えました。将棋の事だけを考えて一心に指す。時には一手に何時間もかけることもあったりして、対局の盤面に集中力を張り巡らせる感覚は他にはないものだなと思いました。

――のんさん自身、飛鳥のように将棋の面白さにハマりましたか?

のん それぞれの駒がどう動くのか役割程度は理解できましたが、コンピューター相手にしか戦ったことがないので、もう少し極めたいとは思います。撮影後に将棋監修の先生から「のんさんは筋が良いので私が指導したら段を与えることも出来ますよ!」と仰っていただいたので、少しだけでも戦えるようになりたいという欲が実は出てきています(笑)

――最後に、視聴者に向けてメッセージをお願いします

のん ここまで不幸な役はやったことがないと思うくらい、飛鳥はみじめな思いをし続けますが、将棋と出会って将棋の世界に飛び込むことで逆境に立ち向かいます。倉科さん演じる癒しの礼子さんという存在にも触れながら、将棋を通して心を開いて、その道にのめり込む飛鳥の姿から勇気を感じ取ってもらえるはずです。生きていると嫌なことやみじめな思いをすることもありますが、今回のドラマはそんな時に背中を押してくれる物語だと思います。

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