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ふと。そんな懐かしい作品の出演者を見ながら、とある事象に気づいた。10年経過したからこそ分かったことでもあるが『とと姉ちゃん』は、朝ドラヒロインを目指す女優たちの“粘り”に溢れていたのだ。
◆妹役だけでは終わりたくない思い
読者のみなさまも情報を知っているかもしれないが、朝ドラのヒロインはほぼオーディションで決定する。その他ヒロインの恋のお相手や、夫となる俳優など多くの出演者も同じくスタッフによる選考によるものが多いと聞く(当然、オファーもあり)。
国営放送で毎日15分間、主演を張るのは俳優としての誉れであり、誇り。が、対するように撮影の拘束時間も長いし、一部では民放放送や動画配信サービスよりもギャランティーが低いという噂もある朝ドラヒロイン。不条件なんぞ気にすることなく、多くの俳優が朝ドラ主演の道を目指している。
こと『とと姉ちゃん』に関してはヒロインの高畑充希をはじめ「何度もオーディションを受けて勝ち取ったヒロインの座」と思わせる、俳優の熱量が高い。
そして常子の妹・美子(よしこ)役を演じているのは、杉咲花。『とと姉ちゃん』では末っ子らしく、可愛らしいキャラクターを振り撒いている。ヒロインの妹役では役者魂が消化できることはなかったのか、4年後の2020年『おちょやん』で、主人公・竹井千代役を勝ち取った。夫の天海一平(成田凌)の浮気が発覚した際の「は?」の一言、パンチがあって本当に良かった。
◆ヒロインの恋のお相手も最終話まで出演したい
主人公の家族よりも遠い立ち位置で虎視眈々と(?)、ヒロインの座を狙う者だっている。
川栄李奈は小橋一家が戦前に住み込みで働いていた、老舗仕出し弁当店の娘・森田富江役を演じていた。
が、2022年『カムカムエヴリバディ』に川栄李奈は3人ヒロインのうちの一人、大月ひなたとして映っていた。約9年間と長い時間をかけてでも欲しかった朝ドラヒロインの座は、どんな気持ちで臨んだのだろうか。
ここまで3人の女性たちについて記したが、男性俳優にも奮闘があった。常子の恋人だった星野武蔵役を演じた、坂口健太郎だ。恋は実らず、戦時中に二人は別れてしまった。つまり朝ドラ半ばにして出演は終わってしまった。が、2021年放送『おかえりモネ』では菅波光太朗役、ヒロインの恋の相手役として、最終話まで坂口の姿があったのだ。もちろん、坂口も含めて全員がオーディションによって役を掴んだのかどうかは不明。それでも作品内でトップに立ちたいと思う気持ちには、変わりはないと思う。
さて俳優陣の並々ならぬ心意気が凝縮された『とと姉ちゃん』の再放送。私もリアルタイムで毎朝追いかけていたし、ここ数年間で放送された朝ドラの中では格別の思いがある。その理由はいくつかある。まず常子の出身地が遠州=静岡県浜松市である共通項が地元民としてはうれしかった。(朝ドラヒロインにしては珍しく)生涯独身で、『暮しの手帖』を制作した編集者とあれば、出版社出身の私としては共感が膨らむ。再放送も見られる限りは10年前を懐かしく思いながら、視聴中だ。
次はいったいどんな名作が再放送される予定なのだろうか……?
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