【写真】トミー・バストウ、高石あかり、北川景子、堤真一、『ばけばけ』場面カット【4点】
第113作目の連続テレビ小説『ばけばけ』は、松江の没落士族の娘・小泉セツとラフカディオ・ハーン(小泉八雲)をモデルに、西洋化で急速に時代が移り変わっていく明治日本の中で埋もれていった人々を描く。「怪談」を愛し、外国人の夫と共に、何気ない日常の日々を歩んでいく夫婦の物語だ。
物語は、江戸時代から明治時代への転換期からスタート。朝ドラで明治時代が描かれるのは、2015年度後期の『あさが来た』以来、10年ぶりとなる。
制作統括の橋爪氏は、時代設定について「明治時代初期と現代って、似ているなと思う」と語る。だからこそ「今の人たちに刺さるドラマになるのでは」と期待を寄せた。
また、演出の村橋氏は「ふじきみつ彦さんの台本を、明治時代でやるということが一つの挑戦でもあったと思います」と話す。ふじき氏が手掛ける作品はリズミカルな会話劇が特徴のため、「ふじきさんの良さを消さずに、時代劇らしさを残すのがすごく難しかった」という。
俳優陣には「いわゆる時代劇、時代劇しなくていいですよ」と伝え、あえて現代的な言い回しを残す方向で調整。「それによって“一般の人が普通に生きている話”として、視聴者に伝わりやすくなっていると思います」と話した。
ヒロインの松野トキは島根県松江市生まれ。松江ロケも行われており、橋爪氏は“松江らしさ”にとことんこだわったという。
「多くの制作スタッフ、美術スタッフに、実際に松江を訪ねてもらい松江の様子を見てもらいました。その感覚を持った上で、セットを作ったり、撮影に取り組んでもらったりしました。松江の風景についても、NHKの松江局に協力をいただいて、景色が綺麗なベストタイミングで撮影をしてもらっています」と、橋爪氏。
さらに、「普段大河ドラマで使っているカメラを使い、加工・編集技術についても、普段の朝ドラの数倍の金額をかけて作っています」と語った。
また、“松江らしさ”を追求するために、光や照明の扱いにもこだわっているのだという。村橋氏は「小泉八雲さんやセツさんが生きていた時代って、生活の近くに暗闇があったと思うんですよね。怪談もいわゆる暗闇への畏怖とか、『見えないものを認める』みたいなことから生まれたんだと思うんです」と熱く語る。
「自分の手が届かないものがある、人間ではどうしようもないことがあるという感覚を、視覚的に表現するためには、ちゃんと“暗闇”を作る必要がある」と村橋氏。「夜は、基本的にろうそくの明かりをベースに撮影しています」と、照明を過度に使わずリアルな暗闇を映し出していると話した。
そして本作には、トキの親戚・雨清水傅役で堤真一、雨清水タエ役で北川景子の出演が決定している。松江随一の名家・雨清水家は、松野家とは異なる独特な雰囲気を持つ一家。橋爪氏は雨清水家のキャスティングについて「名家として説得力がある人たちに出ていただきたいと思った」と話す。
「そういった演技ができる女優さんは北川景子さんしか思いつかなかったですし、それを温かく全部包み込んでくれるような方は、堤真一さんしかいないとお声かけしました」と、起用理由を話した。
村橋氏は、自身が演出として参加した2023年放送の大河ドラマ『どうする家康』で、北川の演技に惚れ込んだのだという。「北川さんと堤さんは『私たちがいるときだけ大河ドラマみたいだね』と話しているくらい、朝ドラらしくないシーンをずっと撮影しています」と裏話を明かしてくれた。
2025年度後期のNHK連続テレビ小説『ばけばけ』は、9月29日(月)よりスタート。制作陣・キャスト陣のこだわりが、どう作品に反映されているのか。明日の初回放送を楽しみに待ちたい。
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