2023年に解散したBiSHの元メンバーであり、現在は「CENT」名義で音楽活動、「加藤千尋」名義で俳優業を行うなど、多方面で活躍しているセントチヒロ・チッチ。自身初となる写真集『セントチヒロ・チッチ写真集 千尋』も好評の彼女に、写真集に込めた思いや、撮影時のエピソードを聞いた。
(前後編の前編)

【写真】1st写真集を発売したセントチヒロ・チッチの撮り下ろしカット【5点】

◆ホーチミンで撮影、チームと共に生まれた二面性の表現

――今回の写真集は「セントチヒロ・チッチ」と「加藤千尋」の“二面性”を表現しているそうですが、チッチさん自身の意向も反映されているんでしょうか。

チッチ 私もアイデアを出させていただきましたが、チームの皆さんと一緒に作った写真集です。たとえばベトナムのホーチミンで撮影したいと提案したのは私ですが、事前にここで撮ろうと決めて行った場所もあれば、現地で出会った場所で撮影もしていて、自分一人ではできなかった作品です。

――なぜホーチミンで撮影したいと思ったのでしょうか。

チッチ 8年ぐらい前にプライベートでホーチミンに行って、素敵な場所だなと思ったんですよね。東南アジアらしい街並みを残しつつ、美しい建造物もあって、素敵な人も多かったので、ぜひ写真に残したい場所だなと思って選びました。

――二面性というテーマはどのように表現したのでしょうか。

チッチ アーティスティックな部分と、一人の女の子としての素顔が見えるような部分、それぞれを表現するためにスタイリングをしていただきました。フィッティングの段階で、たくさんのお洋服を着させていただいて。自分らしい服もあれば、挑戦的な服もあったり、今まで着たことのないお洋服もあったり、その場で生まれるものも大事にしながら、毎回新鮮な気持ちで撮影させていただきました。いろんなセントチヒロ・チッチが見られるんじゃないかと思います。

――写真集のタイトルに二つの名前を並べた理由を教えてください。


チッチ BiSHを結成してから、セントチヒロ・チッチとして生きてきましたが、1人の女の子として千尋という軸がある中での表現もしています。2人の私みたいなものが一つになって、1冊にまとまっているのが自分としては重要なポイントでした。なので両方の名前が入っていることは、すごく意味のあることです。

――撮影中も二面性は意識されたのでしょうか。

チッチ 正直、あんまり意識はしていなくて。というのも考えないほうが自分らしいのかなと思ったんです。そこはフォトグラファーの大辻隆広さんが引き出してくれるものを素直に出すことを逆に意識したというか、自分では作り込まないようにしました。

――過去にも大辻さんとお仕事したことはあったんですか?

チッチ 前から大辻さんの写真が大好きで、ずっと撮っていただきたいなと思っていた憧れの存在でした。写真集の前に撮影していただく機会をいただいて、そのときのチームが素敵だったんですよね。それで、このチームで写真集を作りたいなと強く思って、スタイリストの二宮ちえさん、ヘア&メイクのクジメグミさん(L&Co.)と、皆さんと一緒にベトナムに行きました。

――チームの雰囲気はいかがでしたか?

チッチ オモロかったです(笑)。みなさん明るくて個性的で、それぞれにちゃんと自分があって、意見があって、いいものを生み出そうっていうパワーがあるチームでした。
ふざけるところはちゃんと一緒にふざけてくれて、美味しいものを食べたときは「美味しい」と言い合って、そのおかげで良い表情が生まれたんじゃないかと感じています。

――撮影に向けて、ボディメイクなどの事前準備はされましたか?

チッチ グループ時代は、ほぼやってこなかったので、あまりボディメイクに興味がなくて、ただただ健康的に生きることを意識していたんですよね。でも今回、人生初の写真集ということだったので、今の自分を最大限出して、最高な形を残したいという思いがあったから、食事に気をつけたり、ジムに行ったり、いろんなことにチャレンジして、後悔しないように自分らしさを追求しました。誰かになりたいと思うタイプではないので、自分と見つめ合って、今ベストと思えるものにするということを心がけていました。

――「健康的に生きる」という考え方から変化があったのでしょうか。

チッチ 当時は体作りとかはどうでもよくて。健康的に生きることを意識しないと、ぶっ倒れちゃうんですね(笑)。もちろん今も、心と体を健康にすることを理想にしていますが、それ以上に楽しく生きていられたらいいなと思っています。

――ホーチミンで特に印象に残っているロケーションは?

チッチ ピンク色の教会で撮影したのですが、そこにたどり着くまでが大変で、行こうと思った日にミサがあって入れなかったりしたんです。やっと入れて撮影を始めたら、ちょうどきれいな日差しが入ってきて、その瞬間を大辻さんが残してくれました。いろんなことがあったけど、いい写真が撮れてよかったねと、みんなで思えた1枚でした。

――異国での撮影は大変でしたか?

チッチ スムーズじゃないときもありましたが、その国特有の時間の進み方や、宗教の違いなどもあるから、そういうアクシデントも自分たちにとっては意味のある出来事かなと思いながら過ごしていました。


――完成した写真集をご覧になっていかがでしたか。

チッチ どういうものができるのか想像もつかなかったですし、そもそも自分が写真集を残すこと自体が予想外の事件みたいなものなので、誰よりも私自身が楽しみにしていました。みんなの愛が詰まった作品だから、写真集を手に取ったときは感動しましたし、うれしくてたまらなかったです。これまでの自分になかった表情もありましたし、物怖じせずにできた大胆なカットもあって、私自身がハッとした写真がたくさん収められています。

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価格:3,300円(税込)
出版社:講談社
仕様:A4変形/128ページ

【後編】音楽も演技も自分らしく――セントチヒロ・チッチが語る“CENT”としての新境地
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