コスプレイヤーとして活動を始めた輪湖チロルがたどり着いたのは、コンカフェでのオーナー業。「売上500万円でも給料は数10万円」という理不尽をバネに、自ら理想の店『Bisquedoll(ビスクドール)』をオープンした。
現在は東京・大阪で7店舗、100人以上のキャストを抱える経営者となった彼女が語る、独立の経緯と経営のリアルとは。(前後編の後編)

【写真】経営者としても活躍している人気コスプレイヤー・輪湖チロル【6点】

――現在、コスプレイヤー、グラビアアイドルでありながらコンセプトカフェの経営もされています。コンカフェを始められたきっかけは何だったのでしょうか。

チロル 仕事を辞めて、フリーのコスプレイヤーになった後、歌舞伎町の『Lazward(ラズワルド)』というコンカフェで1年間店長をやらせてもらいました。そこで経営の仕組みとか、お店の回し方を学びましたね。

――それはいい経験ですね。

チロル はい。いろいろなノウハウを学べたのはとてもよかったんですけど、ただ……自分の給料があまりにも少なくて。

――そんなに少なかったんですか?

チロル たとえば、お店の売上が500万円あっても、自分に入るのは数十万円。キャバクラ時代の経験から考えると、そのギャップに納得がいかなかったんです。

――なるほど。その不満が独立の原動力になったんですね?


チロル はい。
店長をやっていた1年の間に、これなら自分で店を作ったほうがいいと思うようになりました。

――どのようにしてお店つくりをはじめたのでしょうか?

チロル 『Lazward』の閉店後は1年間、ずっとお店の構想を練ったり、物件探しをしていました。私はコスプレイヤーだったので「着せ替え系のコンカフェがいいかな」「お人形さんみたいなゴシックの雰囲気がいいかな」など自分の理想を詰め込んで『Bisquedoll』をオープンしました。

――やはり、開店準備は大変でしたか?


チロル 大変でしたね(笑)。でも、友達だけはすごく多いんですよ。制服のデザインはコスプレイヤーの友達にお願いして、物件は麻雀仲間のオーナーさんに紹介していただけたんです。

――たくさんの人に助けてもらいながらお店を作られたんですね。

チロル そうですね。他にも、私は事務的な作業が苦手なので、それもまた別の友達に手伝ってもらいました。たくさんの人の協力があって、なんとかお店を作れましたね。

――正直なところ、経営は順調なのでしょうか。

チロル 詳しいことはお話できませんが、歌舞伎町の中ではトップだという自信があります。
他店のSNSを見ていると、どれだけシャンパンが空いているのかわかるので、それで大体計算ができてしまいますから。

――現在は東京だけではなく、大阪にもお店を出されています。

チロル はい。今では東京に5店舗、大阪に2店の合計7店舗まで展開しています。最初は1店舗だけでも必死だったんですけど、店舗数をなんとか増やしました。経営者としてやりがいを感じています。

――ちなみに、なぜ大阪に出店されたんですか?

チロル 「コンカフェ」っていう業界に絞って稼いでいくってなると、もう店舗数を広げる以外には新しい事業、関連する事業を始めるかしかないと思っていて。東京だけだと売上に限界があるので、関西にも店舗を作って増やして、売上を伸ばすしかないと考えたからです。

――そうなんですね。東京、大阪と複数の店舗があり、多くのキャストさんが働いているとお伺いしました。

チロル 今は100人以上が働いています。

――そんなに多くの人が働いているとなると、経営能力が問われます。


チロル はい。私の経営に100人以上の生活がかかっています。みんなを食べさせていかないといけないと思うと、自然とコンカフェ事業に気持ちが向きますね。

――店舗もキャストも多くなり、お店を大きくしていると思うのですが、今後はどのような展望をお持ちなんですか?

チロル 経営者としての活動がメインになっていくと思います。1つの店舗の売上には限界があるけど、5店舗、10店舗と増やせば、もっと上を目指せますから。

――経営者としての考え方ですね。最後に、今後のコスプレ、グラビア活動の展望も教えてください。

チロル コスプレ、グラビア方面でも「チロル」の知名度を上げていきたいと思っています。私自身の知名度をあげることが、お店にとってもプラスになると思うので。コスプレやグラビアの活動は辞めずに、同時進行でやっていきたいですね。

▽輪湖チロル
1996年6月19日生まれ、長野県出身。2016年頃よりコスプレイヤーとして活動を開始。
SNSを中心に撮影会や即売会、コンセプトカフェのキャスト、ファンイベントなど多方面で精力的に活躍。2022年12月には、自身がオーナーとして歌舞伎町にコンカフェ「Bisquedoll」をオープン。2024年には「ミス・アクション2025」でグランプリを受賞し、今後のさらなる飛躍が期待される注目されている。

【前編】長野の山奥から歌舞伎町のオーナーへ──輪湖チロルが歩んだ“異色の成功ロード”
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