放送前から注目作が多かった2025年秋ドラマだが、民放GP帯ドラマ(長期シリーズものを除く)はすべて初回を終えた。本稿では主にネット上での反響を見るため、配信サービス・TVerのお気に入り登録数から、スタートダッシュに成功したといえる秋ドラマトップ5を紹介したい。


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まず、視聴率の面では、妻夫木聡主演の日曜劇場『ザ・ロイヤルファミリー』(TBS系)が、唯一の全話平均世帯視聴率10%超え(ビデオリサーチ調べ、関東地区。以下/同)。大泉洋主演で野木亜紀子脚本の『ちょっとだけエスパー』(テレビ朝日系)が8%台、夏帆と竹内涼真がW主演の『じゃあ、あんたが作ってみろよ』(TBS系)が7%台を記録するなど好調だ。

ただ、視聴率で苦戦していても、若年層やドラマのコアファンを中心に反響があれば、TVer登録数は伸びる傾向にある。

10月28日執筆時点でTVer登録数1位は129万の『じゃあ、あんたが作ってみろよ』。初回放送から竹内演じる時代に取り残された化石男がSNS上でも話題沸騰となり、前評判を大きく覆し堂々のNo.1。時代錯誤男から必死に変わろうとする竹内の演技には心打つものがあり、今後も語り継がれるハマり役となった。現時点で100万台を突破している唯一の作品でもある。

2位は、間宮祥太朗と新木優子がW主演の『良いこと悪いこと』(日本テレビ系)で85.9万。小学校時代の同級生の連続不審死の謎を追う、ノンストップ考察ミステリー。全話平均世帯視聴率は5%台ながら、毎話ターゲットが変わっていく怒涛の展開で飽きさせない。主演の2人を含めすべての同級生が怪しく感じられ、1話も見逃すことが出来ない作品になっている。


3位は、視聴率ではトップの『ザ・ロイヤルファミリー』で83.9万。競馬の世界を描いているため、若年層向けの題材ではない。だが、馬と馬、馬と人、人と人の繋がりを丁寧に描き、レースシーンは手に汗握る大迫力で、競馬に興味の無かった層も取り込んでいる。脇を固める豪華共演陣も相まって、題材は斬新ながらストーリーは王道の日曜劇場だ。

4位は波瑠と川栄李奈がW主演の『フェイクマミー』(TBS系)で80.2万。イメージ通り淡々と冷静に家庭教師役を演じている波瑠だが、小学校受験を機に他人の子どもの偽の母親を演じることになる。全話平均世帯視聴率は4%台だが、ありえない設定でも、波瑠と川栄と子役の心温まる交流が胸を打ち、自然と偽母がバレないように応援したくなる作品だ。

5位は桜田ひよりと佐野勇斗がW主演の『ESCAPE それは誘拐のはずだった』(日テレ系)で76.2万。こちらも全話平均世帯視聴率4%台だが、誘拐犯だったはずの佐野と、人質だったはずの桜田が共犯関係になる逃亡劇は、スピード感があり、先が読めない。共に民放キー局GP帯ドラマ初主演の桜田と佐野だが、確かな演技で今後さらにブレイクしそう。

以上が現段階でのTVer登録数トップ5で、ここまでがネット上でスタートダッシュに成功した秋ドラマと呼べそうだ。“ドラマのTBS”と呼ばれる通り、TBS系が5作品中3作品を送り込んでいるが、残り2作品は日テレ系だ。
日テレ系作品は、主に中高年層の視聴が反映される世帯視聴率では伸びずとも、若年層をターゲットに近年TVer登録数の上位作品を多く輩出している。

どれも3話まで放送が終了しているTVer登録数トップ5に対し、少し遅れて放送開始となった6位の『ちょっとだけエスパー』は、初回のみ放送終了時点で72.3万を突破している。同作は、ほんの少しエスパーの力を持った大泉洋が、世界を救うために奔走する。それに加え、妻という設定の女性と同居しながらも、人を愛してはいけない謎ルールにかき乱される様が、面白おかしく、小気味よく描かれている。

同作は、トップ5作品同様に3話辺りまで話が進めば、さらに上位に食い込んでくるだろう。現時点でのTVer登録数圧倒的1位の『じゃあ、あんたが作ってみろよ』と、視聴率トップでTVer登録数3位の『ザ・ロイヤルファミリー』をどこまで差すことが出来るのか、今後も目が離せない。

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