バレーボールの名門校・共栄学園での日本一きつい練習を乗り越え、インドアとビーチの両方で「負ける気がしなかった」という自信を手にした衣笠乃愛。しかし、順風満帆に見えたアスリート人生は、大学4年生のときに、前十字靭帯断裂という大怪我を負ったことで暗転する。
SNSでの注目が生んだ葛藤、そして「当たり前」を失って初めて気づいた感謝の気持ち。最大の試練を乗り越えた彼女が見据える、2032年の夢とは。(前後編の後編)

【写真】明るい笑顔がまぶしい!プロビーチバレーボール選手の衣笠乃愛【5点】

――高校卒業後は、高校時代の監督やチームメイトの皆さんと明海大学に進学されたと伺いました。

衣笠 はい。高校のときの監督がそのまま明海大学に行かれたので、共栄学園の選手はみんな明海大学に行く、みたいな流れができていたんです。試合に出ているメンバー7人中6人が共栄出身、なんてこともありました。

――まさに「チーム共栄」ですね。インドアとビーチの両立も続けられ、順風満帆な大学生活かと思いきや、大学4年生のときに大きな怪我を負われています。

衣笠 大学4年生のとき、インドアの集大成となる一番大事な試合の前日に、前十字靭帯を断裂してしまったんです。復帰までに1年かかりました。

――1年間のリハビリ生活は、精神的にもかなり辛かったのではないですか?

衣笠 最初は車椅子、そこから松葉杖で……気持ち的にはかなり沈みました。それまではバレーをすることが当たり前の環境で「今日の練習だるいな」なんて思うことも正直ありました。


――この怪我により、競技に打ち込む気持ちが変わったのではないでしょうか。

衣笠 ガラッと変わりましたね。怪我をしたことで、毎日当たり前にプレーできていたことが、決して当たり前じゃなかったんだって気づかされました。復帰してからは、練習できることへの感謝の気持ちが大きくなりましたね。

――正直なところ、怪我の影響は今も残っていますか?

衣笠 復帰してからは、再断裂への怖さが常にありますし、まだ脳と足の動きが一致しないようなバグが起きるときもあります。定期的なケアは欠かせません。でも、気にしない程度には動けるようになってきました。

――完全復活も近いですね。インフルエンサーとしての顔も持たれていますが、この活動は一体いつ頃から始められたんですか?

衣笠 就職活動を考え始める大学3年生のときに、なぜか「SNSのフォロワーを増やした方が有利なんじゃないか」と思ったことをきっかけに始めました。最初は、ブラジルの世界大会に出場したときの写真をインスタに載せたんですが、当時フォロワーは700人くらいしかいなかったのにすごくバズって、一気に3000人くらいまで増えたんです。

――すごいですね。そこから一気に火が付いたと。


衣笠 バズったことで面白くなりましたね。それからは似たような写真を投稿していたんですが、あっという間に1万人を超えました。この流れでTikTokに動画を投稿したらまたすごくバズったんです。「これ、楽しいかも」って思いましたね。

――それが現在のお仕事にも繋がっているんですね。

衣笠 そうですね。アルゴリズムは全然わからなかったんですけど、フォロワーはどんどん増えていって、試合会場で声をかけていただくことも多くなりました。大学4年生くらいからは「ちゃんと収益化していきたい、自分の力でマネタイズしていきたい」と思うようになって。ビーチバレーはお金がかかる競技ですし、世界で戦うためにもSNSを強くした方がいいなと思ったんです。

――活動が注目され「ビーチバレー界のニューヒロイン」や「第2の浅尾美和」と呼ばれることも増えたかと思いますが、どう感じていますか?

衣笠 素直にうれしかったです。でも「第2の浅尾美和さん」と言われたときは、少し違うんじゃないかなとも思いました。もちろん、浅尾さんと同じように扱っていただけるのは本当にうれしいですし、尊敬もしています。
でも、比べられるのはちょっと嫌で。浅尾さんと私はプレースタイルも違うので「私は私」として見てもらいたいなっていう気持ちがあります。

――では、プロビーチバレーボール選手の「衣笠乃愛」として、今後の目標を教えてください。

衣笠 まずは、国内の最も大きな大会であるジャパンツアーで優勝すること。そして、小さな大会でも勝ち続けてポイントを貯めて、世界でも勝てる選手になることです。競技活動を支えてくださるスポンサーさん探しも、今後はさらに力を入れていこうと思っています。

――オリンピック出場についてはどのように考えているのでしょうか。

衣笠 もちろんオリンピックも目指していますが、3年後の2028年というよりは、その次の2032年の方が現実的かなと思っています。

――楽しみです。最後に、芸能活動の目標もお聞かせください。

衣笠 テレビに出演することです。バラエティ番組に出てみたいですし、人前に立つことで言ったら関西コレクションのようなファッションイベントのランウェイも歩いてみたいと思っています。
実現のために、今後はよりSNSに注力して、フォロワーや再生回数の増加を目指していきたいと考えています。

▼衣笠 乃愛(きぬがさ のあ)
2001年8月13日生まれ、滋賀県出身。バレーボール一家に育ち、小学2年生から競技を始める。中学時代は滋賀県の選抜チームで活躍し、高校はバレーの名門・共栄学園へ進学。高校3年時には、インドアでインターハイ準優勝・春高バレー3位、ビーチバレーでマドンナカップ優勝・国体優勝。明海大学在学中には前十字靭帯断裂の大怪我を負うも、リハビリを経て復帰。現在はプロビーチバレー選手として国内外のツアーに参戦。インフルエンサーとしても活動し「ビーチバレー界のニューヒロイン」として注目を集めている。

【前編】衣笠乃愛が“ビーチの女神”になるまで――原点になった「日本一きつい練習」
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