女優の松本若菜が、昨年のブレイクを経て、その人気を確固たるものにしている。松本は、現在放送中の日曜劇場『ザ・ロイヤルファミリー』(TBS系)で、主要キャラの野崎加奈子を熱演中。
妻夫木聡が演じる主人公・栗須栄治の元恋人であり、現在は実家の生産牧場で働くシングルマザーという、複雑な背景を持つ役柄を演じている。

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さらに、松本は12月28日放送の『ラストマン-全盲の捜査官- FAKE/TRUTH』(TBS系)への出演を控えており、他にも『Dr.アシュラ』(フジテレビ系)で主演を務めるなど、2025年も大活躍の一年となった。今年は「ベストジーニスト」にも選ばれるなど人気絶頂にある松本だが、ここに至るまでの女優人生は決して順風満帆ではなかった。

松本のデビュー作は、2007年放送の『仮面ライダー電王』(テレビ朝日系)である。佐藤健が演じた主人公の姉役として出演し、大人びた美しい若手女優としてすぐに注目を集めた。その後、グラビア活動でも話題となり、2009年公開の映画『腐女子彼女。』で映画初主演を果たす。しかし、ヒット作に恵まれず、女優として長期にわたり低迷期を過ごすことになる。

徐々に主要キャストから遠ざかるようになり、刑事ドラマなどで脇役が定位置となっていった。映画を含めるとかなりの作品に出演していたにもかかわらず、長らく松本の演技に注目する視聴者は少ない状況が続いていた。

そんな松本が再び脚光を浴びたのは、2022年放送のドラマ『やんごとなき一族』(フジテレビ系)だ。土屋太鳳が主演を務めた同作で、松本は主人公の義姉・深山美保子を演じ、その強烈なキャラクターで話題となった。


江戸時代から続く名家を舞台に、主人公・篠原佐都(土屋)が嫁いでくることでトラブルが巻き起こるストーリーの中、美保子(松本)は、佐都をいびり倒し嫌がらせをするのだが、コロコロと表情を変えて激昂する松本の演技が名物となり、「松本劇場」と呼ばれ大人気となった。

このブレイクを駆って、松本は続けて出演した主演ドラマ『復讐の未亡人』(テレビ東京系)で、衝撃のシーンを演じる。深夜ドラマとして放送された同作は、漫画原作で夫の死を巡り復讐する女性の異常な行動が描かれた。松本が演じた主人公は、夫の関係者に次々とハニートラップを仕掛け、艶めかしい濡れ場が多く登場した。さらに、同時期に配信ドラマの『金魚妻』でも濡れ場を演じ、体当たり演技もこなせる女優として高い注目を浴びた。その後、ヒット作に多数キャスティングされるようになり、転機は2024年に訪れる。

松本は、2024年に『西園寺さんは家事をしない』(TBS系)、『わたしの宝物』(フジテレビ系)で主演を務めたほか、参加した映画『はたらく細胞』も大ヒットを記録。一躍、主演クラスの女優として大ブレイクする。

そんな松本の魅力は、数多くの作品出演を通じて培ってきた表現力の高さと安定感にある。下積み時代は出番の少ない役が多く、キャラクターをしっかり理解し、限られた時間の中で制作側の求める演技を形にしなければならなかった。その経験があるからか、松本はキャラの特性をつかむのが上手い。

近年においても、『西園寺さんは家事をしない』では家事ができないキャリアウーマンをコミカルに、一方で『わたしの宝物』では托卵に翻弄される専業主婦を繊細に演じきった。
さらに『Dr.アシュラ』での変わり者のスーパードクター役、『ザ・ロイヤルファミリー』での気の良い牧場女性役と、設定が全く異なるキャラクターでありながら、どれも「ハマり役」と言われるほど完璧に演じ分けている。

遅咲きブレイクした後も、着実に話題作で結果を残し人気を得てきた松本。来年以降も、数多くのドラマや映画で大活躍してくれることだろう。

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