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◆波瑠&川栄李奈『フェイクマミー』
波瑠と川栄李奈がW主演の『フェイクマミー』(TBS系)は子どもがいる視聴者を中心に共感を集めるイメージがあったが、さまざまな立場の視聴者の心に刺さる作品であった。
日高茉海恵(川栄李奈)はいろは(池村碧彩)を一人で育てながら社長業をこなしている。仕事の都合で帰宅が遅れて困惑したり、娘の通学準備を眠い目をこすりながら行ったり、働くママ“あるある”が多く挿入されている。茉海恵が、校風に合い、かつ東大卒の花村薫(波瑠)に“ニセママ”を依頼するのは法的にはアウトだが、母親の役割をシェアするという発想は今の子育てに必要な考え方かもしれない。
また、本作には薫を通して、未婚女性の社会における居心地の悪さも描かれている。薫は会社で“多様性”の名のもとに見落とされ、ワーキングマザーの補佐役に回されたことに傷つき、退職を選んだ。加えて、母・聖子(筒井真理子)からの“優秀だから子育てと仕事を両立すると思っていた”という言葉にも心を乱されていた。
今の社会は独身に寛容に見えるものの、支援の対象から外れやすく、会社では都合よく使われ、親からは孫を期待され、おひとりさまが本当に生きやすい社会とは言いがたいと思う。
ネット上では“独身vs既婚”“子持ちvs子なし”の対立がよく見られるが、どちらが優れているとか、どちらの負担が少ないかとかいう話ではなく、誰もがそれぞれの立場でがんばって生きているのだ。
第9話のラストでは、薫は“ニセママ”の責任を一人で被ろうとしていた。また、九条玲香(野呂佳代)らが学園に寛大な措置を求めて動くシーンが予告で流れたが、どのようなラストを迎えるのであろうか…。
◆妻夫木聡『ザ・ロイヤルファミリー』
妻夫木聡主演の『ザ・ロイヤルファミリー』(TBS系)は競走馬を軸にした物語だが、馬を通して描かれる家族の絆、競争社会での葛藤など、さまざまなテーマが深く心に響く作品だ。
本作において「継承」は重要なキーワードとなっている。有馬記念優勝という夢の途中でこの世を去った山王耕造(佐藤浩市)の想いは、美紀子(中嶋朋子)との間に生まれた息子・中条耕一(目黒蓮)へと受け継がれた。そして、有馬記念優勝をねらう馬はホープとハピネスの子であるロイヤルファミリーだ。
時代が変われば、そのポジションに座る人も世代交代するものだが、ジョッキーも同様である。ロイヤルファミリーに乗ってレースに出場するのが佐木隆二郎(高杉真宙)から彼に憧れていた野崎翔平(市原匠悟)に代わったシーンは、翔平の躍進に喜びつつも、どこか切なかった。
耕造のように惜しいところまでいって道半ばに終わることは少なくない。“信じれば叶う”“努力は報われる”ともいわれるが、現実はうまくいかないことが多い。しかし、一代では成し得なかったことでも、次の世代が実現することはある。大きな夢は時間をかけて叶えるものなのかもしれない。
結婚しない人が増えた現代だからこそ、本作における「継承」というテーマが重く響く。耕造や耕一のような大きな夢でなくとも、誰もが何かを残そうと、想いを持っているはずだ。
ロイヤルファミリーには耕一が願うように自らの生活費となる賞金を獲得し、引退後はおだやかな日々を送ってほしいと強く思う。
◆天海祐希『緊急取調室』
天海祐希主演の『緊急取調室』(テレビ朝日系)のシーズン5は最終回を間もなく迎えるが、劇場版『緊急取調室 THE FINAL』の公開が12月26日に控えている。
有希子(天海祐希)率いるキントリメンバーが劇場版で追う重要参考人は、内閣総理大臣・長内洋次郎(石丸幹二)だが、この人物は今シーズンの1話から登場している。洋次郎は大規模蓄電施設の建設をめぐり、一部の国民から強い反発と恨みを買っている。さらに、5話では総理の関係筋が、民自党の幹事長・矢代樹(高橋ひとみ)の長男が起こした殺人事件の公表を控えるように働きかける場面があり、総理が国民ファーストの善人とは言いがたい印象を与えている。
また、今シーズンには、政府が推進する事業への反対者、パパ活女子、動画配信者、契約社員のシニア男性など、現代の日本においてその声に耳を傾けるべき人物が登場している。彼らは人びとが抱える孤独、生きづらさ、世の中の理不尽を体現していると感じる。
さらに、最終章は警察学校の射撃訓練中に起きた事件をめぐるストーリーとなっているが、有希子の夫・匡(眞島秀和)の死や組織の闇を彷彿させるものがある。
本作は天海にとっても大切な作品だが、今シーズンの被疑者役には天海の親しい俳優たちがほぼすべての放送回に出演していた。大親友である若村麻由美、尊敬しプライベートでも親しくしている加賀まりこ、舞台を共に駆け抜けた清水くるみと大原櫻子、映画で共演した大橋和也など...。キントリメンバーの仲のよさはよく知られているが、俳優間のあたたかなつながりが垣間見えるのも今シーズンの魅力だと思う。
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