話題作が目白押しだった秋期ドラマも次々と終わりを迎えています。この秋、特筆すべき演技でMVP級の活躍を見せ視聴者を魅了した女優3選と、ネクストブレイク女優筆頭候補を筆者の個人的チョイスで紹介します。


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まずMVP女優1人目は、今期一番の話題作となった『じゃあ、あんたが作ってみろよ』(TBS系)で竹内涼真さんとW主演を務めた夏帆さん。竹内さんが時代に取り残された亭主関白男・海老原勝男役で「勝男フィーバー」を巻き起こしていましたが、その元彼女で“モテ”に全ベットしてきた忍耐女・山岸鮎美を、夏帆さんが巧みに演じていたからこその現象だったと思います。

モラハラ気質の勝男に好かれようと、料理をけなされても健気に尽くす。耐えに耐えて前触れも無くプロポーズを断り一気に別れを告げる。そこからタガが外れたように自分を変えていく解放感と、もう一度冷静に現状を見つめ直そうという葛藤を繊細に演じていました。

特に最終回で、一度はヨリを戻した勝男へ、やはり一緒にいられない理由を涙を堪えながらに語るシーンには、演技派・夏帆さんの真骨頂で、胸を打たれた視聴者も多かったのではないでしょうか。

今作TVerお気に入り登録数は、歴代ドラマで5位の175万超に達しました。同じく社会現象となりTVer登録数歴代ドラマ1位の『silent』(フジテレビ系)でも、聴覚障害者の女性という難しい役どころを好演し、ドラマの屋台骨を支えていた夏帆さん。あらためてその実力を見せつけ、今期ドラマ全体の盛り上がりに貢献していました。

2人目は、『ちょっとだけエスパー』(テレビ朝日系)で、主人公・文太(大泉洋さん)と偽夫婦になる四季を演じた宮﨑あおいさん。記憶喪失で、赤の他人の文太を本当の夫だと思い込み、漬物石のように重い愛を全力でぶつけてくる様が非常にキュートでした。

今作で、13年ぶりの民放ドラマ出演となった宮﨑さん。
今年40歳とは思えない透明感で、ブランクを感じさせない演技巧者ぶりを発揮。

ちょっとだけエスパーの力を手に入れ、文太らとエスパー仲間になれた際の無邪気な笑顔も生き生きとして素敵でした。“人を愛してはならない”という会社のルールを、文太が破ってしまいたくなるのも納得です。

終盤、実際の夫・文人(岡田将生さん)との記憶を取り戻し、 文太との間で揺れ動く姿も、見ているこちらまで切ない気持ちになるほど丁寧に描かれていました。

3人目は、『ESCAPE それは誘拐のはずだった』(日本テレビ系)で、ポンコツ誘拐犯・林田大介(佐野勇斗さん)と共に逃亡劇を繰り広げた社長令嬢・八神結以を演じた桜田ひよりさん。不器用ながら必死に結以を守ろうとする林田に徐々に惹かれつつ、父親への反抗心で帰るに帰れない複雑な乙女心を、多彩な表情で表していました。

子役時代から確かな演技力で場数を踏んだ後、夏帆さんと同じく『silent』に出演し、難聴の青年の妹役を好演していた桜田さん。

昨年『あの子の子ども』(カンテレ・フジ系)で主演した際にも、妊娠する女子高生というナイーブな役柄を、リアルなセリフ回しと迫真の演技で実在する人物かのように見せていました。今作でもその実力がいかんなく発揮されています。

ゴールデン・プライム帯の連続ドラマには、今作で初主演となりましたが、今後もドラマのメインどころへ引っ張りだこになること間違いなしの活躍ぶりでした。

ネクストブレイク女優の筆頭候補に挙げたいのは、『ぼくたちん家』(日テレ系)で、主人公・波多野玄一(及川光博さん)と同じアパートに住む少女・楠ほたるを演じた白鳥玉季さん。

玄一に父親のふりをすることを頼むなど、かなり無茶で子供らしいところもありながら、不思議な存在感と力強い眼差しで、この子の願いなら叶えてあげたいと思わせる説得力を醸し出していました。


この秋期も様々な女優達の素晴らしい演技に魅せられた3ヶ月となりました。また冬期、どんな作品が待っているのか期待したいと思います。

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