【写真】ももいろクローバーZ、『Momoiro Christmas 2025 ODYSSEY』の模様【28点】
まずはオープニング映像。会場となったさいたまスーパーアリーナは、宇宙旅行のために用意された特別な宇宙船"銀河遊覧船スターダスト・モノノフ号"という設定だ。ももクロメンバーは宇宙船のCAとなり、宇宙で最初の『ももいろクリスマス』開催を試みる。そして、そんなももクロとモノノフの宇宙旅行をサポートするのは小型AIの「アイちゃん」(『美少女戦士セーラームーン』などで知られる声優の三石琴乃が声を担当)。開演時間が近付くと、アイちゃんの指揮によりメンバー4人はワープスタンドから『Momoiro Christmas 2025 ODYSSEY』のメインステージへと転送されていく。
メインステージ後方全面に設置された大型LEDビジョンに"ODYSSEY"というタイトルロゴが映し出され、ステージ上にスモークが漂う中、メンバー4人が登場。冬曲「今宵、ライブの下で」でライブはスタートした。ステージのせり上がりと共に、サビの4人によるユニゾンで多幸感が一気に高まると、後半、鈴の音だけが響き渡り、場内にひと時の静寂が訪れる。すると、百田夏菜子の「ここにいるよ ずっとここにいる」というセリフで大歓声が上がりラストのサビへ。
メンバーのコミカルなダンスや可愛らしい手振りとポーズが左右のビジョンに映し出され、ペンライトを振るモノノフの手にもメンバーに送られるコールにも力が入っていくのが感じられた。そして、ビジョンに満月と流れ星が映し出されると、歓声が上がり「MOON PRIDE」へ。さらに、今年7月リリースの最新シングル「Event Horizon」へと続く。『美少女戦士セーラームーンCrystal』と『機動戦士ガンダム アーセナルベース FORSQUAD』の主題歌ということもあり、今回のテーマにも相応しい楽曲だ。バキバキのレーザー演出も加わり、会場のモノノフの熱量がさらに高まったところで最初のMCパートへ。
『ももいろクリスマス』は今年で15回目(15年目)だということ、今回のテーマは"宇宙クリスマス"であること、最初の衣装は宇宙船のCAをイメージしていることなどが告げられると、自己紹介を経て、「Event Horizon」のカップリング曲「Cosmic Commotion」を披露。サウンドからも宇宙や近未来を想起させるこの曲は、音楽ユニットPAS TASTAが書き下ろしたももクロの新境地的なナンバーだ。前日DAY1で初披露されたばかり。曲の後半でビジョンが四分割され、パフォーマンスする4人の姿が大きく映し出されると、ひと際大きな歓声が上がった。
まさに最初の5曲で"宇宙クリスマス"の世界観を表現。
ここで再び映像パートへ。メンバーが宇宙船のコックピットに戻ると、高城れにがシルクハットを使った手品の練習に励んでいる。練習ではスカーフや恐竜のフィギュアなどを使っているのだが、本番ではAIのアイちゃんに手伝ってもらい、驚くようなものを出すと宣言。そのまま急いでステージへと向かうのだが、ここでコックピット内の色々なものが倒れ、最終的にAIのアイちゃんも床に転倒、水に塗れて故障しかけてしまう。画面にエラー表記が出た状態のままで映像パートが終了すると…。
次のブロックは大型ビジョンに巨大なクリスマスツリーが映し出され、「サンタさん -ZZ ver.-」からスタート。中盤、お決まりの高城のマジックパート。ドラムロールを受けてシルクハットから飛び出し、大型ビジョンに映し出されたのはももクロのメンバーカラーの4羽の巨大なペンギン。マジックのネタもデジタルへと進化した形だ。そして、モコモコしたボリューム感のある白のコートに衣装チェンジしたメンバーがファンサしながらトロッコでアリーナを進んでいき、最後列まで到着して「メリークリスマス!」と叫んで曲が終わると、アイちゃんが故障でバグってしまった影響により会場に不穏な空気が漂い、アリーナの角から恐竜が登場して場内を闊歩。
モノノフから驚きの声が上がる中、ライブは「夢の浮世に咲いてみな」へと続き、メンバーは恐竜から逃げ切るようにトロッコに乗って、再びメインステージを目指していく。その後、センターステージに移動すると、ダンサーを従えてアルバム『祝典』収録の「MYSTERION」を披露。歌詞にもあるように"祝祭の始まり"を告げると、大型ビジョンに巨大化したAI布袋寅泰が登場して「サラバ、愛しき悲しみたちよ」へ。巨大化した布袋の手によって操られるメンバーのダンスやファイヤー演出など今までに見たことないようなサラバの演出で、会場のボルテージはさらに高まっていく。このように、ところどころに定番曲や人気曲を盛り込みつつも、AIなど最新技術を駆使したエンタメ演出を盛り込み、新たなももクリ像を次々と描いていった。
続くMCパートでは、ファミリー席のチビノフの様子などにも触れつつ、「〇〇代の人~?」という恒例のコール&レスポンスを展開。今回も会場には10代以下から80代以上までのモノノフが集結。ももクロの人気とファン層の幅広さを感じさせると、百田が「年齢問わず楽しめるライブになっていますので、引き続き、宇宙の旅をお楽しみください」と語り、再び映像パートへ。
ももクロメンバーがコックピットに戻ると、倒れて水浸しになったAIのアイちゃんの姿が…。佐々木彩夏がドライヤーで乾かすと見事に復活。気になる今回の4人のキービジュアルが次々と映し出され、アイちゃんはメンバーそれぞれの故郷の星についての解説を始める。4人が困惑する中、最後に「ももいろクローバーZは過去も現在も未来も人々を笑顔にするために集い、何度でも立ち上がるのです。
その後、天女のような衣装にチェンジした4人がMUSIC VIDEOの神殿をバーチャルセットとして再現したステージに登場すると「Heroes」で後半戦がスタート。ダンサーと共に移動しながらパフォーマンスする様子をステージ上のカメラマンが動きながら撮影。両サイドのビジョンに映し出され、メンバーを近くで感じられるような没入感溢れる演出に。続いて、スモークとレーザー演出が加わると、布を使って舞い踊るダンサーと共に「月色Chainon」をパフォーマンス。さらに、ピアノの音色が印象的なバラード曲「きみゆき」と「白い風」へと続いていく。
この2曲ではコールや声援を送ることなく、楽曲の世界観に浸りながら4人の姿を見守るモノノフがとても印象に残った。特にせり上がったセンターステージで歌われた「白い風」では、玉井詩織の歌い出しから楽曲の世界へと一気に引き込み、大量のシャボン玉がふわふわと舞う中、Cメロから1人ずつハイトーンで歌い繋いでいく展開とミラーボールが回り、百田の落ちサビからラストへ向かっていくエモーショナルな流れ、今年のももクリのハイライトのひとつだったと言っても過言ではないだろう。
そして、壮大な宇宙旅行の末に、待ち受けていたのは"モモクロニック・スーパーノヴァ"という超常現象だ。その後、真っ暗なセンターステージの空間で4人が歌い始めたのは「idola」。2024年リリースの7thアルバム『イドラ』に収録されていながら、ライブでは一度も披露されてこなかった楽曲(この曲も前日のDAY1で初披露)。真っ白なマントを纏い4人が歌う姿がモノクロ映像で映し出されるなど荘厳な始まり方にモノノフも息を飲んで見守る。8分ほどの大作とも言える楽曲だが、今回のようなコンセプチュアルなライブだからこそ、セットリストに組み込むことができたのだろう。
間奏では光る玉を持ったダンサーを従えて、まさに"闇の儀式"とも言えるような壮大な演出に。そして、曲の中盤、ロック調のアレンジに展開したところで、バンドメンバーがステージ上に登場し、センターステージに移動した4人が纏っていたマントを脱ぎ去ると、この日初めてメンバーカラーの衣装にチェンジ。すると、緊張感から解放されたモノノフの盛大なコールも加わり、楽曲のエンディングへと向かっていく。"ODYSSEY=長い旅路と冒険"を経たことで、ももクロの4人を英雄からイドラ(偶像)へと昇華させた物語のクライマックスを表した形だ。
「彼女達はその光で人々を救い続ける。
リリックビデオ風に歌詞が次々と映し出されると、畳みかけるように「CONTRADICTION」へと続く。そして、大きく揺れていた会場のペンライトの光がクリスマスカラーの赤や緑などに制御されて、「SECRET LOVE STORY」へ。さらに、再びダンサーが加わり、Mrs. GREEN APPLEの大森元貴が手がけた「レナセールセレナーデ」を披露。長い旅路を経て辿り着いたこのパートは、ももクロの原点からスタートし、最新のアンセムまで一気に歌い繋いでいくという熱く濃いブロックとなった。
最後のMCパートで、ここまでのライブを振り帰りながらラストスパートに向けてモノノフを煽ると、「可視光線」からラストブロックに突入。こちらもDAY1で初披露された今年リリースの新曲だ。ミラーボールに照らされた高城の落ちサビが新鮮に響いたほか、生バンドとの相性の良さや4人の声の魅力とユニゾンの心地良さが再確認できるようなパフォーマンスだった。リリース時のインタビューでは"令和版「コノウタ」"だと語られていただけに、これから先も大事に歌い繋いでいく曲になってほしいと願ったファンも多かったことだろう。
そして、ラストは「月と銀紙飛行船」。間奏に乗って、高城が「私達とのODYSSEY、楽しんでくれましたか? 15回目のももクリ、そんな節目を皆さんと過ごせてとっても嬉しいです」、佐々木が「寒い中来てくれて本当にありがとうございました。みんなの笑顔が何よりもクリスマスプレゼントです」と感想を伝えると、玉井も「今日のことがみんなの記憶に残って、一緒に笑い合えるような1日になっていたらとても嬉しいです」と語り、百田が「2026年も私達と一緒に過ごしてくれますか? みんないつもありがとう。大好きだよ。メリークリスマス!」と締め括る。
そして、4人がステージ中央に集まると紙吹雪が舞う幻想的なラストのサビへと突入。バイオリンの優しい音色も加わり幸せ溢れる空気感に包まれる中、"今日も明日も 僕らの旅は…"と歌い上げると、宇宙船は遥か遠く宇宙空間へと消えていき、温かい拍手に包まれて"宇宙旅行クリスマス"はフィナーレを迎えた。
すぐさま、客席からアンコールが沸き起こると、左右のビジョンにはサンタ帽を被ったチビノフの姿が次々と映し出され、その場にいる誰もがほっこりとするようなお馴染みの光景が広がっていく。そして、今回のライブグッズTシャツに着替えたメンバーが再びトロッコに乗って登場。モノノフへの感謝を伝えながら「L.O.V.E」と「泣いちゃいそう冬」の2曲を披露しながらアリーナを一周するアンコールらしい多幸感溢れる時間を経て、メインステージに戻るとグッズ紹介の時間に。すると、ここで高城が勝手に「れにちゃんのエンジェル通信」なるコーナーを開始。
3人と会場が困惑する中、2026年のももクロのスケジュールとして、『ももクロイマーシブ映画祭「Momoclo Cinematize!!!!」』、『ももクロ結成18周年記念イベント 東京ももクロランド』、『ももクロ秋の桃神祭』、『ももクロクリスマスツアー』、そして、まさかの大晦日開催の『第10回 ももいろ歌合戦』などを次々と発表。高城は満足げにコーナーを終えた。
突然のサプライズ発表に多くのモノノフが歓喜する中、いよいよアンコールもラストスパート、残り2曲に。まずはセンターステージへと移動しながら「いちごいちえ」を披露。4色のペンライトで染まった圧巻の景色が広がる中、終盤の百田の落ちサビからモノノフとのお馴染みの"きやがるんだな"コール、そして、数秒間のブレイクを経てラストのサビへ。大型ビジョンには「ありがと」の文字が大きく映し出されていた。そして、最後の1曲は「モノクロデッサン -ZZ ver.-」。
ステージ上を移動しながら、時に手を繋いだりハイタッチしたりしながら歌う4人の姿はとても愛おしく感じられたのではないだろうか。後半、ダンサーとバンドメンバーの紹介を挟み、ラストのサビへ。"どの色が欠けてもこの夢の続き描けてないから いろいろあったけどめげずにいくのさ"という歌詞はこのタイミングで聴くからこそ、より心に沁みわたったことだろう。最後は「せーの!」の合図でモノノフと一緒にジャンプして曲が終わると銀テープが舞い上がり、15回目の『ももいろクリスマス』は終了した。
今回のももクリは"宇宙旅行"という壮大なテーマを掲げたことで、次元や歴史をも超えられるももクロ楽曲の強さを再確認。さらに、AIなどのデジタル技術を取り入れながら全世代を楽しませるテーマパークやアトラクション的なももクロのライブのエンタメ力の高さも再認識。どのタイミングでモノノフになったファンでも楽しめるよう王道と定番をしっかりと押さえつつも、新たなエンタメをふんだんに盛り込んだももクロらしい唯一無二の特別なクリスマスライブとなっていた。
今年は数年ぶりに『春の一大事』、『夏のバカ騒ぎ』、『ももいろクリスマス』という季節の三大ライブすべてが開催され、来週の大晦日には恒例の『ももいろ歌合戦』も控えている。今年も4人全員のソロコンサートが開催され、本当に駆け抜けた1年という印象だったが、アンコールで来年のライブやイベント情報が続々と解禁されたことで、また会える約束と喜びを分かち合うことができたのではないだろうか。2026年もまだまだももクロの挑戦とストーリー、そして、モノノフとの"ODYSSEY"は続いていく。
(文/ASTUSHI OINUMA)
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