SNSを中心に謎の美女として注目を集めるグラビア、コスプレモデル・一詠(ひとよ)。多くを語らないミステリアスな雰囲気とは裏腹に、そのルーツには小学生時代から漫画とアニメに没頭したオタク時代があった。
自然な流れでコスプレデビューを果たしたというが、当時していたのは今の姿からは想像がつかない男装だったという。自身のスタイルを武器に活躍している現在とは正反対であった、彼女の過去に迫った。(前後編の前編)

【写真】グラビアやコスプレで注目を集める一詠の撮り下ろしカット【7点】

――SNSでは「謎の美女」という印象があります。ご自身のことをあまり話されてこなかったのは、意図的に?

一詠 いえ、単純に自分のことを話すのが得意じゃないだけなんです(笑)。もともとコスプレを高校生のときから趣味でやっていて、最初はX(旧Twitter)でグラビア写真を撮って投稿している、そのへんのお姉さんっていう感じでした。去年の11月くらいから今の事務所にお世話になって、やっと少しずつ自分の情報をメディアに出すようになってきたという感じです。

――活動の原点はコスプレなんですね。そこに至るまで、どんな子ども時代を過ごしてきたのかお伺いしたいです。

一詠 もう、がっつりオタクです。小学生の頃からずっと漫画とアニメばっかり見ていました。周りに男友だちが多くて、その子たちが『週刊少年ジャンプ』を貸してくれたことをきっかけにハマりました。

――世代的にはどのあたりの作品ですか?

一詠 『銀魂』や『家庭教師ヒットマンREBORN!』、『BLEACH』の世代です。
オタクに目覚めてからは、家のパソコンで二次創作のファンサイトを見るようになって、どんどん沼にハマっていきました。

――オタクなのは中学校生活も変わらず?

一詠 はい、オタクを貫いていましたね。人生の半分以上ずっとオタクです(笑)。ただ、中学のときは部活のほうが楽しかった記憶があります。剣道部だったんですよ。

――剣道!それはまた意外な。何かきっかけが?

一詠 漫画やアニメの影響です(笑)。オタクだったので「剣ってかっこいいな」「竹刀振りたいな」って。でも、結構本格的にやっていて、部活が休みの日も地域の剣友会みたいな別の団体に練習しに行ってました。

――しかし、剣道漫画はあまり多くないイメージです。

一詠 剣道漫画というより、剣を使うキャラクターに影響されていたんです。『銀魂』では、銀さんが木刀を使って戦うじゃないですか。


――そして、高校生でいよいよコスプレデビューを飾るわけですね。

一詠 高校生になっても周りにオタクが多くて、その中にたまたまコスプレをしていた女の子がいたんです。その子に誘ってもらって、一緒にイベントに行ったのが最初でした。

――初めてのイベントは覚えていますか?

一詠 確かTFT(コスプレ博)で、キャラクターはボーカロイドのKAITOでした。実は、デビュー当時は男装が多かったんです。

――今のお姿からは想像がつかないです。

一詠 そうですよね。昔から男性キャラがすごく好きで。一緒に行った友だちも詳しかったので、ウィッグや小道具のことを教えてもらいながらコスプレしていました。

――初めてイベント会場に立ってみて、いかがでしたか?

一詠 カメラマンさんの知り合いがいたわけじゃないのに、結構いろいろな人が話しかけてくれました。その場で繋がって、後日メッセージでやり取りして撮影に行ったりもして。当時は全くの無名で、ウィッグのセットの仕方も知らないような状態だったのに、人の輪が広がったのが印象的でしたね。


――そこからコスプレにどっぷりハマられたと。

一詠 ハマりましたね。繋がりができたことで「次はこのキャラのコスプレがしたい」ってやりたいことがどんどんできちゃって。

――とはいえ、高校生だと衣装やウィッグなど費用面で厳しいものがあると思います。

一詠 月に2、3回はイベントや撮影に行っていたんですが、費用はセブンイレブンでアルバイトをして捻出していました。それでも足りない場合は、家の備品を小道具として勝手に持って行ったり(笑)。あと、お母さんの靴を勝手に白く塗装したり、妹のローファーを履き潰しちゃったこともあって、2人にはすごく怒られました……。経費削減のために必死でしたね。

――それは怒られそうです(笑)。ちなみに、そのスタイルであれば女性キャラもすごく映えそうです。周りから「やらないの?」と言われたりは?

一詠 男キャラをやっていると周りも男装レイヤーで固まるので、特に言われることはなかったです。むしろ、自分の胸は邪魔だと思っていました。
胸つぶしのBホルダーを使っても大きすぎて全然潰れないんですよ(笑)。男キャラをやっても胸のせいで屈強な感じになるのが嫌で「これ(胸)、手術で取れないのかな」って本気で思っていたぐらいでした。武器だと思ったことはなかったですね。

――それが今や、グラビアでその体を最大の武器にしています。グラビアはいつ頃から?

一詠 同人グラビアを始めたのは、今の「一詠」という名前にしたのと同じくらいのタイミングなので、5年ぐらい前です。

――コスプレイヤーがグラビアも始める、という流れはよくありますが、どんなきっかけがあったんですか?

一詠 私より先に同人グラビアをやっている人たちの写真がたくさんXで流れてきたんです。写真の雰囲気もいいし、コスプレ衣装だと見えない女性の体の曲線みたいなものが、グラビア写真だとすごくきれいに見えたんです。それで「私もこういう作品を残したい」と思ったのがきっかけです。

――グラビアをされている方だと、思春期に胸が大きいことでコンプレックスを抱えていた、という話をよく聞きますが。

一詠 私の場合は全くなくて。確かに小学4年生ぐらいからすごく大きくなり始めたんですけど、中学生のときは剣道部で男まさりだったこともあり、コンプレックスを感じる暇もないくらい男の子みたいな遊び方をしていました。

――周りの男子からからかわれたりすることもなかったと。


一詠 周りの男の子たちは、私のことを女だと思っていなかったです(笑)。学生時代に誰かと付き合うことも全然なかったですし「ゴリラ」って呼ばれていましたから!体だけが先に女っぽくなったけど、気持ちが全然ついていってない、心は少年みたいな感じでしたね。

▽一詠(ひとよ)
千葉県出身。158cm、B87・W62・H86のヘルシーなボディと色気のあるルックスで注目を集めるグラビア、コスプレモデル。撮影会やイベント、SNSを中心に活動中。イメージDVD『愛しいひとよ』『極飛旅行』などの作品を通じて、しなやかなスタイルと大人の艶っぽさを存分に発揮。2025年10月20日には1st写真集『抱きたいカラダ』 (新欠片)を出版した。

【後編】謎のグラビア美女・一詠が語る究極に自由な表現方法「自分の性癖を投影しているだけ」
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