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♦高校生同士のピュアな恋愛模様『修学旅行で仲良くないグループに入りました』
まず紹介したいのが、10月期放送の『修学旅行で仲良くないグループに入りました』(ABCテレビ)だ。高校で同じクラスになった日置(藤本洸大)と渡会(簡秀吉)が、次第に惹かれ合っていく様子が描かれる。
渡会は学校内で“四天王”と呼ばれるイケメン集団の一人。一方で日置は、クラスではあまり目立たない存在だ。接点のなかった二人は、修学旅行で同じグループになったのをきっかけに、少しずつ距離を縮めていく。
本作で印象的なのは、二人とも「同性に恋をした」ことを強く意識しているわけではない点だ。同性が好きというよりも、「渡会だから」「日置だから」惹かれていった。渡会と一緒にいる日置はより愛らしく見え、日置といる渡会はより包容力にあふれて見える。この相乗効果こそが、“わたひお”人気を支えた大きな理由だろう。
また高校が舞台ということもあり、キャスト陣が非常に若いのも特徴だ。日置役の藤本洸大は20歳、渡会役の簡秀吉も23歳。他の主要キャストも19歳~26歳と平均年齢が低い。
今の若い世代の価値観が自然と反映されているのか、周囲は二人の関係性を特別視せず、常にフラットな空気感で包み込んでいる。加えて、渡会役の簡がBL好きを公言している点も象徴的だ。BLは特定の層のためのもの、という固定観念を軽やかに飛び越える作品だった。
♦セクシャリティへの葛藤も描かれた『雨上がりの僕らについて』
続いて紹介するのは、7月期ドラマ『雨上がりの僕らについて』(テレビ東京)。主人公の奏振一郎(池田匡志)と真城洸輔(堀夏喜/FANTASTICS)は高校時代の同級生で、6年ぶりの再会をきっかけに恋が動き出す。
恋愛経験がない奏は、真城の何気ない言動一つ一つに心を揺さぶられ、スキンシップのたびに顔を赤くする。初キスのあと、思わず両手で顔を覆ってずるずると床に座り込んだ奏と、「お前、そんなんでどうするんだよ、この先」と余裕を見せる真城。その対比が実にたまらない。
『修学旅行』との大きな違いは、奏が自分のセクシャリティに葛藤を抱えている点だ。
二人の恋愛模様に胸キュンさせられながらも、「彼らの幸せのために私たちは何ができるのか」までをも考えさせられる一作だった。
♦風間俊介がBLドラマに挑戦『40までにしたい10のこと』
続いては、『雨上がり』と同クール・同局で放送された『40までにしたい10のこと』(テレビ東京)。風間俊介が主演を務める、職場×年の差BLだ。
風間が演じる十条雀は、会社では頼れる理想の上司。しかし私生活では、10年以上恋人がいない自分にコンプレックスを抱えている。そんな雀が書いた「40までにしたいことリスト」を、部下の田中慶司(庄司浩平)が偶然見てしまったことから、二人の関係は少しずつ変化していく。
本作の魅力は、恋愛以前に、二人の先輩後輩としての信頼関係が丁寧に描かれている点だ。10歳以上年が離れている二人だが、仕事シーンが充実していることで、「ああ、お互いのこんなところを見て好きになったんだな」と納得できる。
「タコパ」「服の趣味を変える」「恋人を作る」とリストを一つずつ消化していく過程もワクワクし、BL初心者でも肩ひじ張らずに楽しめる一作となっている。
♦濃厚なベッドシーンも話題『25時、赤坂で シーズン2』
4作品目は、10月期放送の『25時、赤坂で シーズン2』(テレビ東京)。2024年6月に放送されたシーズン1の続編で、主人公の羽山麻水(駒木根葵汰)と白崎由岐(新原泰佑)はすでに恋人同士。
羽山と白崎は、BLドラマでの共演をきっかけに交際へと発展した俳優同士、という役どころ。BLドラマの中でBLドラマが描かれるメタ構造が面白く、芸能人同士の秘密の恋をのぞき込んでいるような背徳感がある。
恋愛ドラマは両想いがゴールになっていることが多く、“両想い後”の展開は単調になってしまうリスクもある。だが本作では、二人が俳優同士であるという設定がうまく機能し、マネージャーから別れを促されたり、オーディションでライバルになったりと、一筋縄ではいかない展開が待ち受けている。
シーズン1で話題になった濃密なベッドシーンはシーズン2でも健在。とはいえ、性的なシーンだけを見せ場にするのではなく、家族との葛藤や仕事の悩みなども丁寧に描かれたところが好印象だった。
♦手越祐也の7年ぶりドラマ復帰作『ぼくたちん家』
最後に紹介するのは、10月期放送の『ぼくたちん家』(日本テレビ)。手越祐也の7年ぶりドラマ復帰作としても注目を集めた作品だ。
主人公は、動物園の飼育員として働く50歳・波多野玄一(及川光博)と、中学教師の38歳・作田索(手越祐也)。二人とも自分のセクシャリティを自覚し、それぞれの折り合いのつけ方で日常を過ごしている。
やがて二人は恋人関係になるが、本作を単なるBLドラマ枠にとどめておくのはもったいない。
そのほかにも、多種多様な生き方を選んだ登場人物たちが、自身の人生と向き合っていく様子がポップに描かれる。結婚していても、していなくても、誰を好きでも、誰も好きでなくてもいい。自分だけの“かすがい”を大切にして生きることを、そっと肯定してくれる作品だった。
もはやBLドラマは、限られた層のためのジャンルではない。物語の中には、仕事への向き合い方や、家族との距離感、自分自身をどう受け止めるかといった、誰もが一度は考えるテーマが丁寧に織り込まれている。
恋愛の形が多様化する今だからこそ、2025年のBLドラマは、より多くの人にとって「自分の物語」として響く存在になったのではないだろうか。
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