日本マクドナルドが期間限定メニューのCMで、90年代に人気を博したコミック『ろくでなしBLUES』とコラボしたことが話題になっている。これに限らず、同社は40代~50代前半の世代に刺さるコラボを連発しているが、その背景には何があるのだろうか。


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同社は、1月14日から期間限定で販売されている「スパイシーチキンマックナゲット 黒胡椒ガーリック」のCMで『ろくでなしBLUES』とコラボ。俳優の眞栄田郷敦が主人公の前田太尊を演じ、原作さながらの学生服&リーゼントヘアで登場している。

『ろくでなしBLUES』は、漫画家の森田まさのり氏が1988年~1997年まで「週刊少年ジャンプ」(集英社)で連載。東京・吉祥寺周辺の高校を主な舞台にした伝説的なヤンキー漫画で、激しいバトルや随所に散りばめられたギャグが読者にウケて熱烈に支持された。今回のコラボでは、森田氏による新規の描き下ろしイラストなども公開されている。

同作は過去にも実写版の映画やドラマが制作されたことはあるが、今回のコラボCMはサブキャラクターも含め、再現度の高さが原作ファンにも非常に好評。ネット上では「この時代に前田太尊を復活させたマックは神」「CMの再現度めちゃ高いし、最後に髪を振り乱す中島までいるの完璧すぎる」「ろくでなしBLUESコラボに触発されて久々にマック食べた」「ろくでなしブルースは青春だったからアツすぎ」などと興奮交じりの称賛コメントが数多く寄せられた。

コミックの「実写化」は厳しい意見が寄せられることも珍しくないが、今回のコラボCMは全体的なクオリティの高さもあり、多くの原作ファンが「令和の時代に新たな実写版ろくでなしBLUESを見ることができた」ことを素直に喜んでいるのが印象的だ。とくに、連載当時に原作を夢中になって読んでいた40代~50代前半の世代に刺さっているようだ。

同社は他にも、40代~50代前半の世代に刺さるコラボを実施。1月から人気ゲーム『ドラゴンクエスト』シリーズとのコラボメニューなどが展開されているが、そのCMではマスコット的キャラクターのスライムなどのほか、40代~50代がリアルタイムで熱狂した『ドラゴンクエストIII そして伝説へ…』のラスボスだった魔王ゾーマが大きくクローズアップされている。

さらに同社の公式SNSでは、ネット掲示板「2ちゃんねる」(現・5ちゃんねる)発祥の有名なドラクエネタ「イオナズン面接」のアスキーアート風動画を公開。
ドラクエの魔法「イオナズン」が特技だと主張する学生とそれにツッコミを入れる面接官のやり取りを表現したもので、やはりこれも40代前後の世代に刺さる内容だ。動画ではキャラクターに声がついており、受験者役を野沢雅子、面接官役を宮村優子と花江夏樹という豪華声優が担当している。

昨年1月には、90年代に大ヒットしたアニメ『新世紀エヴァンゲリオン』とのコラボを実施。コラボバーガーやフィギュアなどが販売され、爆発的な人気となっていた。『エヴァンゲリオン』は近年も新作が公開されている作品ではあるが、とくにテレビアニメ版や旧劇場版に熱狂していた40代以降への訴求力が強いと指摘されている。

またコラボではないものの、近年は瑛太と竹原ピストルが等身大のミドルエイジを演じたマクドナルドCMの「ビッグマックなんて、ペロリだよ」というキャッチコピーも話題になった。これも40代以上のミドル世代に向け、「まだまだイケる」「年を取ったから無理だと決めつけな」と鼓舞するメッセージを発信する狙いがあったとみられている。

もちろん同社は若者層やファミリー層などさまざまな世代に向けたコラボを展開しているが、最近は40代~50代前半をターゲットにしたものが目立っているように見える。その理由としては、この年齢層が世代人口的に大きな「ボリュームゾーン」であることが一つの要因になっていると考えられる。

40代~50代前半はいわゆる「就職氷河期世代」(ロスジェネ世代)と呼ばれ、全国に1700万人以上いると推計されている。「不遇と冷遇の世代」ともいわれるが、少子化が進んだ若者世代よりも人口のボリュームが大きく、昨年夏の参院選では各党が大規模な票田となり得る氷河期世代を狙い、支援策を続々と打ち出した。これは企業にとっても、今後の重要な顧客層である。


とくにマクドナルドは2002年に「ハンバーガー1個59円」のキャンペーンを実施していたこともあるなど、40代前後の人々にとっては、若いころに気軽にお腹を満たすことができた「青春時代の思い出の味」でもある。そうした背景から、マクドナルドは40代~50代前半をターゲットにしたコラボやCMを積極的に展開しているのだろう。

今後はファストフードに限らず、他のジャンルでも40代~50代前半を狙い撃ちする企業が増えていくのかもしれない。

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