「いつ死んでも後悔しないように生きたい」――その想いの根底にあるのは、日常の感情や弱さを切り捨てず、泣いている自分、元気じゃない自分、体型が変わった自分、すべてを受け止める覚悟だった。グラビアやコスプレなどを通して自分を表現し続ける、こまめ。
表現者として、そして一人の人間として辿り着いた死生観に迫る。(前後編の後編)

【写真】少女のようなルックスが魅力のコスプレイヤー・こまめ【21点】

――コスプレだけでなく、いわゆるポートレートの作品も多いですが、そちらに挑戦したキッカケは?

こまめ 声をかけてもらう機会が増えたんですよね。コスプレと違って、ポートレートは“素の自分”じゃないですか。やってみるとすごく難しかったです。

――さらけ出すような感覚があったと。

こまめ 初めてのポートレート撮影は、緊張でガチガチでした。ただの“記念写真”みたいになってしまって、出来上がった写真を見ても、「これは作品としてアップできないな」って思ったんです。そこから、表現の勉強を始めました。そこから“自分自身”で表現する方が好きになりましたね。嬉しいとか楽しいだけじゃなくて、悲しいとかのマイナスな感情も含めて、全部を作品として昇華できる気がするんです。

――マイナスな感情も作品になる、というのは?

こまめ 去年、精神的に参っていた時期があって、そのときに「元気なときも、そうじゃないときも、毎日自分を撮り続けよう」とふと思ったんです。そうしていくうちに、どんな自分も「ちゃんと生きてるな」って思えるようになって。
「そんな自分も美しい」と感じられるようになりました。着飾っていなくてもいいし、髪がぐしゃぐしゃでも、眉毛がボサボサでも(笑)。泣いている瞬間に「あ、撮らなきゃ」とカメラを向けると、不思議と涙が引っ込むんですよ。それで涙が止まるなら、いいじゃんって。

――すごいですね……。

こまめ それまでは、元気がない時に撮影に行こうなんて思えなかったし、家に引きこもっている自分を撮ろうとも思わなかったですもん。

――差し支えなければ、なぜ参っていたかお聞きしても?

こまめ 東京に引っ越してきた時、環境の変化や忙しさで気持ちが滅入ったんです。体型管理もすごく気にしていたのに、過食で一気に太ってしまって。それが原因で、かなりマイナスな気持ちになりました。でも、その時に自分の写真を撮りためて「逆にこれを作品にしてしまえばいいんじゃないか」ってひらめいたんです。

それで、『もぐもぐミント症候群』という、過食をテーマにした作品撮りをしました。作品にすることでネガティブな気持ちもポジティブに変えられるし、後から見返した時に「こういう時もあったな」って振り返ることもできる。
だから、感情や体型の変化も含めて、全部残していきたいと思うようになりました。

――透明感があって深みのある写真の理由がわかった気がします。そうやってご自身としっかり向き合っているこまめさんですが、ファンの方との交流も大切にされていますよね。

こまめ そうですね。事務所に入って上京したのも、もっとファンの方とコミュニケーションを取りたいと思ったのがキッカケなんです。SNSだけの活動だと、本当に存在しているのか、お互いに実感が湧きにくいじゃないですか。ちゃんと交流することで、いろいろな活動につなげていけたらいいなと。最近は、ファンの方同士がすごく仲良くなって、私がいないところでオフ会を開いたりもしていて(笑)。

――素敵な関係です。

こまめ 嬉しいです。私、“瞳フェチ”みたいなところがあって、人の瞳に映っている自分を見るのが好きなんです。鏡で見る自分って左右反転していて、本当の自分じゃない。
でも写真なら、みんなが私のどこに魅力を感じて、どう見てくれているのかが分かる気がして。

――撮られた写真の中に、他者が見ている自分がいると。

こまめ そう。「こういう瞬間を綺麗だと思ってくれたんだ」とか、「ここを可愛いと思ってくれてるんだ」って知れるのがすごく嬉しい。だから撮影会でいろんな人に会って、写真を撮ってほしいんです。「あなたの見ているこまめを見せてほしい」って。

――では、昨年12月に発売された1st写真集『無邪気と誘惑の夏少女』についても教えてください。

こまめ これは2年かけて撮影した写真集で、1年目はショートヘアの時に小豆島で撮りました。理由は「こまめ」って読めるから(笑)。2年目は髪が伸びた状態で、私の地元・長野県で撮影しています。1年目と2年目の夏では、全然違うと思うので、その変化も楽しんでもらえたら嬉しいな。無邪気な私も、ちょっと大人っぽい私も、どちらも詰まった一冊になっています。


――どういう人に届いてほしいですか?

こまめ よく「昔好きだった子に似てる」って言われることが多いんです。なので、青春時代をもう一度思い出したい人に見てほしいですね。

――今後はどういった活動をしていきたいですか?

こまめ イベントに海外の方が来てくれることもあるんですけど、私が英語を話せなくて。一生懸命日本語で話しかけてくれるのに、応えられないのが悔しいからもっとグローバルに活動したいです。

――活動の幅がさらに広がりそうですね。

こまめ はい。そしてこれはいつも思っていることなんですけど、私、「いつでも死んでもいい」って思ってるんです。

――と、言いますと?

こまめ いつ死んでも後悔しないように生きたいんですよ。だから瞬間瞬間を大切に生きている。その瞬間を残せるのが、写真だと思っています。だからファンの人たちにも、その瞬間を一緒に生きてほしいなって思います。

▽こまめ(Komame)
長野県出身。
6月12日生まれ。T154、B91・W60・H90。
コスプレをキッカケに活動を開始し、現在はポートレートや作品撮り、グラビアなど“自分自身”を被写体にした表現へと軸足を移している。透明感あふれる美肌と、少女のようなあどけないルックスが魅力。泣き顔や弱さといったマイナスな感情も肯定し、写真として残す姿勢を大切にしている。1月23日~25日、「渋谷 Oak Cube」にて写真展『雪肌と、溶ける』を開催する。

【前編】ゾウ使いの資格、雪国の記憶、そして「2次元になりたい」謎多きコスプレイヤー・こまめの半生
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