◆葬儀の意味とはなんだろう? と自問自答

葬式に参列した経験がある人は、当時の様子を少し思い出してほしい。故人との関係性は色々あれど、人生の最期の別れとは……気持ちが沈む。
その傍らにはセレモニーを支える葬祭プランナーがいる。身内に不幸があった人なら分かると思うが、血縁者の死亡に落ち込む中、葬式の手はずを整えて、送り出してくれる人たちだ。ただ気が動転している最中、彼らの存在にまで気遣いはできないし、時にはうとましく思うシーンもあっただろう。見送りのパターンが多様化する中、葬式をあげる意味とは一体なんだろうか。その答えを導き出す、映画『ほどなく、お別れです』が、2月6日(金)から始まった。

【写真】浜辺美波&目黒蓮W主演映画『ほどなく、お別れです』の場面カット【4点】

『ほどなく、お別れです』は、葬儀会社『坂東会館』の葬祭プランナーたちが物語の主軸となる。大学生で就職活動全敗中の清水美空(浜辺美波)が、たまたま参列した葬儀会場で、家族に伝えたいことがある亡くなった女性と遭遇する。そう、美空は亡くなった人の姿形が見えるだけではなく、コミュニケーションを取ることができるのだ。困惑した美空は思い切って、会場のスタッフである漆原礼二(目黒蓮/Snow Man)にその旨を伝える。

「気味悪いですよね! 信じてもらえなくて当然です……」
「信じます」

美空の力に可能性を感じた漆原は、すぐに葬祭プランナーとしてスカウトをする。ただ自分の進路には予定していなかった職業ゆえに、戸惑う美空。悩んだ末に美空はインターンとして、漆原たちと共に働き、遺族たちと向きあっていくのがあらすじ。
半人前の葬祭プランナーの奮闘記でもある。

◆理想の葬祭プランナーの完成形

当然だが美空は日々、さまざまな別れに立ち会う。当初は感情が溢れ出して泣いてしまうこともあったが、漆原の厳しい(?)指導があって、少しずつ成長していく。その様子を映画で観ていると、葬儀会社とは悲しいドラマを支えているのだと知る。人の死とはけしてレースでも、順番でもなく、突発的なもの。24時間で別れの準備を整えて、遺族たちに“区切り”をつけなくてはならない。『坂東会館』の面々も皆、奔走していた。

劇中にはいくつも葬式が登場する。妊娠中の妻を亡くした夫、病気で幼い我が子が亡くなってしまった両親。女手一つで育ててくれた母親が事故で急逝し、残された子どもたち。そう、同じ生命の始まりがなければ、終わりもないのだ。皆、それぞれに物語がある。
セレモニースタイルも、故人と遺族の希望がある。その思いに応えようとする美空と漆原たち。これから自分に巡ってくるであろう、喪主の際には彼らのようなスタッフがいてくれたらいいのにと、鑑賞中に素直な気持ちが漏れた。美空は決して漆原のように冷静沈着で、有能な葬祭プランナーではない。でも次第に高まっているように見えた、仕事に対する熱量は遺族を支えていた。

この映画を鑑賞するために映画館へ足を運ぶ人たちは、観客ではなく、葬式の参列者。帰り際には胸に何か去来するものがあって、家族に会いたくなるだろう。

(作品情報)
『ほどなく、お別れです』
監督 三木孝浩/出演 浜辺美波、目黒蓮、森田望智、古川琴音、北村匠海、志田未来、渡邊圭祐、野波麻帆、西垣匠、久保史緒里、原田泰造、光石研、鈴木浩介、永作博美、夏木マリ ほか/配給 東宝/2026年2月6日(金)より全国劇場にて順次公開

ⓒ2026「ほどなく、お別れです」製作委員会 ⓒ長月天音/小学館
https://hodonaku-movie.toho.co.jp/

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