声優を軸に、グラビア、DJと表現のフィールドを広げ、今年はインドやマカオでの海外公演も控える由良朱合。その華やかな現在からは想像もつかないが、彼女のキャリアは決して一直線ではなかった。
STU48の合格通知を“迷惑メール”で見逃すという運命的なすれ違い、20歳で訪れた「もうやりきった」という達成感、そして一度ステージを降りたからこそ見えた“空白の時間”。アイドルとして走り切った彼女が、再び芸能の世界へ戻るまでの軌跡を辿る。(前後編の前編)

【写真】声優、グラビア、DJと活躍の場を広げる由良朱合の撮り下ろし【8点】

――アイドル活動から声優、そしてDJへと活動の幅が大きく広がっていますね。

由良 去年は国内イベントにたくさん出させていただいたので、今年は少し落ち着くのかなと思っていたんです。でもありがたいことに、海外イベントにも声をかけていただいて。マカオでDJイベントに出演することが決まっています。

――海外でもアニソンDJを?

由良 はい。アニメイベントの中で、日本のアニソンをかけるコーナーという形です。DJを本格的に始めて、まだ1年ちょっとなんですけど、お仕事がどんどん決まっていって……。正直、気持ちが追いついていないです(笑)。

――DJを始めたキッカケは?

由良 声優として出演している『D4DJ』という、DJがテーマのコンテンツがキッカケです。DJイベントも多くて、DJができない子は事前に作った音源を流す形だったんですけど、「それなら自分でやりたいな」と思って始めました。


――実際にやってみて、いかがですか。

由良 すごく楽しいです。半分は趣味みたいな感覚かもしれません(笑)。セットリストは、8割くらいはみんなが楽しめる曲、残り2割は自分の好きな曲を入れています。

私は根っからのオタクなので、ちょっとマニアックなゲーム音楽をかけると、ほとんどの人は「?」って顔をするんですけど、たまに「あー、わかってるな!」って反応してくれる人がいるんですよ。その瞬間に「やってよかったな」って思います。

――ステージに立つ感覚は、アイドル時代と似ていますか?

由良 全然違いますね。歌って踊ることは11歳の頃からずっとやってきたので、アイドルのときはそこまで緊張しなかったんです。ファンの方にレスを送る余裕もありましたし。でもDJは余裕がまったくなくて(笑)。

お客さんに手を振りながらも、頭の中では「次の曲を流すタイミングは大丈夫かな」とか、「失敗したらどうしよう」ってずっと考えています。やっているフリがうまいだけなんですよ(笑)。


――芸能活動の原点はどこにあるのでしょう。

由良 転勤族だったので、子どもの頃に千葉へ引っ越したことがあって。そのとき、クラスにダンスがすごく上手な子がいて憧れたんです。それで同じダンススクールに通い始めました。でも1年もしないうちに、また広島へ戻ることになってしまって。

――そこから「アクターズスクール広島」へ?

由良 はい。姉が「塾に乃木坂46に受かった子がいるんだけど、その子がアクターズスクール広島に通ってたらしいよ」って教えてくれて。最初は本当に軽い気持ちでした。

でも周りは、PerfumeさんやBABYMETALのSU-METALさん、元モーニング娘の鞘師里保さんみたいな存在を目指している子ばかりで、「自分には実力がないな」ってすぐに分かりました。

――相当ハイレベルな環境ですね。

由良 だから早々に「私は愛嬌でいきます」って先生に宣言しました(笑)。スキルで勝負するより、かわいく歌って踊るほうが自分には合っているなって。


――そしてSTU48のドラフト会議で加入するわけですが……。

由良 実は、その前に1期生オーディションも受けていて……。合格してたんです。でも合格通知のメールが、迷惑メールフォルダに入っていて(笑)。

――それは衝撃的ですね。

由良 ちょうど受験期で、あまり携帯を触らないようにしていた時期だったんですよね。あとから気づいて「私もメール来てたんだ」って。でも今思うと、その出来事があったから今の自分があるのかなって。すごく運命的だなって感じます。

18歳で加入して、20歳を過ぎた頃には劇場公演にもたくさん出させていただいて、自分の中で「やりきったな」という感覚があったんです。それで卒業を決めました。

――卒業後は、どんな時間を過ごしていたのでしょう。


由良 広島で大学生活を送っていました。何の予定もなく、友達と川で遊んだりして、すごく楽しかったです。時間がたくさんあったので、ゲームもめちゃくちゃやっていて、『スマブラ』はVIPに入るくらいやり込みました。

――かなり充実しているようにも見えますが。

由良 でも1年くらい経った頃に、「楽しいだけで大丈夫なのかな」って急に不安になったんです。11歳からずっと、ステージに立ったり、オーディションを受けたり、常に戦う環境にいたので、何もない日々が逆に怖くなってしまって。「もっと苦しい思いをしないといけないんじゃないか」って思いました(笑)。

――そこから、再び芸能の世界へ。

由良 アイドル時代にお世話になっていたスタイリストさんが「東京に出てきなよ」って声をかけてくださって。「一回行ってみよう」と思ったんです。そしたら、ちょうどコロナ禍でロックダウンになってしまって、広島に帰れなくなって。それが結果的に、完全に上京する決め手になりました。


▽PROFILE
由良朱合(ゆら・あかり)
1999年3月12日生まれ、広島県出身。幼少期より芸能活動に親しみ、アイドルとしてキャリアをスタート。グループ活動を経て、グラビアやDJなど表現の幅を広げている。近年は声優としてアニメやゲーム、舞台作品にも出演し、芝居と音楽の両軸で存在感を発揮。

【後編】元STU48・由良朱合が声優業界に飛び込みもがいた2年間「レッスン3つ掛け持ち」「100回受けて1回も受からない」
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